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習近平は必ず金正恩を殺す!? 北朝鮮との国交正常化に向けて日本が持つべき視点とは
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40293
2014年09月01日(月) 北京のランダム・ウォーカー 近藤 大介 現代ビジネス
■中国から見た北朝鮮の風景
このほど、『習近平は必ず金正恩を殺す』(講談社刊)という新著を上梓しました。そもそも、私が弊社出版部の某名物編集者に、「中国から見た北朝鮮の世界を描きたい」と申し出たことがきっかけでした。そして原稿を渡したら、名物編集者が、このようなコワいタイトルをつけて世に問うたというわけです。
日本人は普段、朝鮮半島の南側(東南側)の日本から、日本海を隔てた北朝鮮を眺めるという癖がついています。ところが、中国人は逆側の北方(西北側)から、大陸に付属している「盲腸のような」北朝鮮を眺めています。
同じ地域を仰ぎ見るのでも、南側からと北側からとでは、まったく別の風景が広がっています。そこで、「中国から北朝鮮を眺める」という、「もう一つの北朝鮮の風景」を提示したかったのです。
例えば、政治的に言えば、日朝間には国交さえありませんが、中朝は1949年から同じ社会主義国の兄弟国であり、翌1950年には、朝鮮戦争でアメリカを相手に共同で戦った「血を分けた誼(よしみ)」です。また、経済的にも、日朝間の現在の貿易はゼロですが、中朝間の貿易額は、北朝鮮の全貿易額の8割以上を占めています。
つまり、北朝鮮に対して日本と中国のどちらが影響力を持っているかと言えば、それは圧倒的に中国なわけです。ならば、「中国から見た北朝鮮の風景」を提示することは、日本において意味があろうかと思ったのです。特に、国交正常化に向けて、日朝交渉が始まった今日この頃においてはなおさらです。
■中国が戦争を仕掛けるうえでの5条件
私はこの本で、多くのことを述べましたが、その一つが、「習近平の中国は、いずれ戦争に打って出るだろう」というものです。まるで長手数の詰め将棋を解くような作業ですが、習近平政権の現状から近未来を分析していくと、どう見ても戦争に行き着きそうな気配なのです。
経済が悪化して社会が混乱すると、古今東西を問わず、大国の為政者というのは、対外戦争に走りがちです。中国の場合、全面戦争というよりは、局地戦になろうかと思いますが、ともあれ30年ぶりの「開戦」の可能性があると思います。
偶然ですが、ノーベル経済賞学者のポール・クルーグマン米プリンストン大教授が、8月18日付のNYタイムズのコラムで、同様の指摘をしています。その翻訳は、8月22日付の朝日新聞が、全文を掲載しています。クルーグマン教授は、その長文のコラムを、次のように締めくくっています。
〈 もし中国経済の奇跡が終わるとしたら、そのとき(数多くの経済学者がじきに起きるだろうと考えている)、同国の指導者たちはどう駆り立てられるのだろうか。戦争を始めるというのは、非常にまずい考えだ。それでも、戦争は起こり続けている。 〉
クルーグマン教授は、中国がどの国と戦争するのかまでは言及していません。しかし、中国はアメリカのように世界中に人民解放軍を展開しているわけではないので、戦う相手はおのずと、近隣諸国に限られます。その際に、対象となる国・地域の条件は、次の5つと思われます。
[1] アメリカがその国・地域の味方をしない
[2] 中国が「開戦」する大義名分が立つ
[3] 中国が容易に勝利を収められる相手である
[4] 中国の国民が嫌っている国・地域である
[5] 習近平主席とその国・地域のトップが一度も首脳会談を行っていない
仮に日本が相手としたら、当てはまるのは[2]、[4]、[5]になります。対日戦争を仕掛けるとしたら、尖閣諸島を巡る領土紛争でしょう。
しかし、[1]と[3]を満たしていないため、対日戦争は中国にとって、かなりハイリスクになります。戦争というのは勝利を収めれば為政者の支持率は急上昇しますが、万一、敗戦すれば、政権崩壊となる可能性が高いからです。
そのため、よほどの偶発事故でも起こらないかぎり、習近平政権は日本に対して、戦争を仕掛けてくることはないだろうというのが、私の見立てです。
とすれば、相手はどこか。中国の周辺国で、この5条件を満たしている国が、ただ1ヵ国だけあります。そう、金正恩第一書記が統べる北朝鮮です。
■日朝交渉に臨む北朝鮮の胸の内
北朝鮮としても、北部から危険がヒタヒタと忍び寄っているという気配は、当然ながら感じています。だからこそ、今年に入って突然、日本に擦り寄ってきたわけです。
9月には、日本と北朝鮮との国交正常化へ向けた今年4回目となる日朝政府間協議が開かれる予定です。いつ開かれるかといえば、9月の第3週か第4週になるのではないでしょうか。なぜなら、9月8日が中秋節の旧盆で、翌9月9日は、北朝鮮の66回目の建国記念日を迎えるからです。その後、数日は、祝祭の余波で、平壌は仕事になりません。
9月9日の晩には、平壌市中区域にある万寿台議事堂の大広間で、1000人近い朝鮮労働党と朝鮮人民軍の幹部たちが集う盛大な晩餐会が開かれます。主催者は、86歳を迎えた金永南・最高人民会議常任委員長で、金正恩・第一書記は参加しません。今年は、経済制裁を解かれたばかりの許宗萬・朝鮮総連議長も参加する予定です。
私は、あるベテランの朝鮮労働党関係者から、「この日に並ぶ料理を見れば、その年の作物状況が分かる」と聞いたことがあります。北朝鮮はまもなく収穫の季節を迎え、豊作が期待できれば、幹部たちに多く振る舞うというわけです。
でも察するに今年は、豊作・不作によらず、質素な建国記念日のパーティになるでしょう。なぜなら、中朝関係の悪化により、中国からの援助が、ほぼ全面ストップしてしまっているからです。
だからこそ北朝鮮にとって、日本との交渉は重要です。日本を掴むことによって、再び中国が北朝鮮に擦り寄ってくることだって考えられます。
日朝交渉に話を戻せば、どこで開かれるかという問題も重要です。北朝鮮は平壌で開きたがり、日本は第3国での開催を主張しているはずです。
このような緊張感あふれる外交交渉というのは、サッカーの国際試合と同じで、圧倒的にホームが有利なので、北朝鮮は自国開催を主張するわけです。「日本人生存者にはその場で日本側に面会してほしいから」などと甘言で誘惑し、自国開催を主張することでしょう。
ところが日本からすれば、平壌で開催した場合、いくつものケースを勘案し、それぞれに対して、かなり臨機応変の対処を迫られることになります。日本側の交渉責任者である伊原純一・外務省アジア大洋州局長に、そこまでの重責と権限を負わせるのかという問題になります。平壌から東京への通信は、必ず盗聴されているため、本国への確認もままならないからです。
■生存している拉致被害者の公表はあるか
最後に、最大の懸案事項ですが、北朝鮮は一体、何人の生存している拉致被害者を公表するかという問題です。
これも推定ですが、9月の日朝政府間協議では、北朝鮮はまず、拉致被害者以外の生存者を発表するのではないでしょうか。「拉致被害者の生存者はいなかった」と言うのでなく、「調査は継続中で、いまだ発表できない」と回答する。そうして一度、日本側の反応を見るわけです。北朝鮮からすれば、2002年に蓮池薫氏ら5人の生存している拉致被害者を出したら、逆に強烈な非難を浴びたという前例があるため、根強い日本不信があるわけです。
そのため、「12月に第2回目の生存者の発表を行い、その時に拉致被害者についても公表できるよう最大限努力する」とか言い繕う。こうなると、「球」は日本側に戻ってきます。つまり、12年前のように、北朝鮮に対する憎悪を増幅させるのか、それとも3ヵ月間、忍従するかということです。
いずれにしても、9月は、日朝交渉が茨の道であることを再認識する月になるのではという気がします。
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