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2014年08月28日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆経団連(榊原定征会長=6月3日就任、東レ会長)が、「政治との関係を強化するため、会員企業に政治献金を行うよう呼びかけ、民主党政権の誕生をきっかけに取りやめていた政治献金への関与を再開する方針を固めた」という。NHKが報じた。これは、榊原定征会長が「政治との連携強化」を優先課題に掲げているのを具現化する一環である。政治献金への関与を再開し、政経の連携を強固にする。だが、安倍晋三政権にとって力強い味方になるかは未知数だ。
それは、「景気押し上げ」には、次の「5つの基礎的条件」を揃えなくてはならないからである。
@強いリーダーシップを発揮する首相の登場。
A政財官学界から実力者が集まり、景気押し上げの「仕掛人チーム」(5人〜10人)を編成すること。
B日本の進むべき将来像を描いたビジョンを掲げること。
C新しい国家建設のための資金を確保すること。
D官民一体となり国家総動員態勢で景気浮揚に力を結集すること。
経団連が、「政治献金への関与を再開し、政経の連携を強固にする方針」を決めたというのを「5つの基礎的条件」に当て嵌めると、「A政財官学界から実力者が集まり、景気押し上げの「仕掛人チーム」(5人〜10人)を編成すること」を強化する効果がある。
経団連の米倉弘昌会長(住友化学会長)は、民主党の鳩山由紀夫政権(2009年9月16日〜2010年6月8日)下の2010年5月に経団連会長(任期4年)に就いた。菅直人政権(2010年6月8日〜2011年9月2日)、野田佳彦政権(2011年9月2日〜2012年12月26日)と続いた民主党政権とは、相性が悪かった。
自民・公明連立の安倍晋三政権に代わって、米倉弘昌会長は「日銀の黒田東彦総裁が断行した異次元の大胆な金融政策」を「無鉄砲」と批判して、政権との関係が当初からギクシャクした。後に、「経済最優先を打ち出し安心できる」と評価するようになっていた。それでも、経済財政諮問会議、産業競争力会議など政府の主要会議には加わらなかった。この結果、安倍晋三首相は、「政財官学界から実力者が集まり、景気押し上げの『仕掛人チーム』(5人〜10人)を編成すること」という条件を欠いたままとなっていた。
それが、榊原定征会長が、「政治との連携強化」を前面に押し出し、「仕掛け人のチーム編成」に加わってきたので、ようやく画竜点睛が充足される。安倍晋三首相が仕掛けている「アベノミクス政策」の推進役の一翼を担うことになった。
◆安倍晋三首相が2012年12月26日に就任して、1年8か月になるのに、「5つの基礎的条件」が完全に揃っていなかったことがマイナスに作用していたうえに、アベノミクス(3本の矢=大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略)政策の「3本目の矢=民間投資を喚起する成長戦略」は未だに、「日本経済の力強い牽引役(機関車役)」を果たしているとはいえない。
このため、日本経済新聞が8月13日午前11時39分配信の記事で報じているように「消費増税後の日本経済は駆け込み需要の反動でブレーキがかかった。前期比年率6.8%減という実質国内総生産(GDP)の低下幅は前回消費税を引き上げた1997年4〜6月期(3.5%減)を大きく超えた」という有様である。最悪の場合、2015年10月1日からの「消費税率10%」をこの秋〜年末に決断できないことになる。
そこで安倍晋三首相は、「一発勝負」に出る構えを示してきた。今秋に予定しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)改革を早めることにしているのだ。GPIFは、資金約130兆円を保有する世界最大の「官製ファンド」である。これを株式市場にブチ込んで、人為的に株価を押し上げようというものだ。
だが、国民年金と公的年金の積立金を運用するということは、壮大な博打場に投入することであり、欧米の獰猛なヘッジファンドなど名うての外人博徒の餌食にするのに等しい。この意味で安倍晋三首相はいままさに、経済政策の面でも、まさに剣ヶ峰に立たされている。経団連との連携強化によって、難関を乗り越えることができるかどうか。安倍晋三首相の「最高指導者」としての「真価」が厳しく問われようとしている。
【参考引用】産経新聞msn産経ニュースが8月27日午後1時52分、「経団連が政治献金関与を5年ぶり再開へ あっせん行わず『呼びかけ方式』で」という見出しをつけて、以下のように配信した。
経団連は政治献金への関与を約5年ぶりに再開する方針を固めた。9月に開く会長・副会長会議などを経て、共通認識を確認し、政治とのかかわりと政治献金に対する考え方を打ち出す方向。ゼネコン汚職など政治とカネの問題で批判を浴びた「あっせん方式」の復活は避け、会員企業に対する「呼びかけ方式」を採用するなど新たな仕組みづくりを検討する。
6月に就任した経団連の榊原定征会長は「政治との連携強化」を優先課題に掲げており、政治献金への関与を再開し、政経の連携を強固にする狙い。
榊原会長は安倍晋三政権が打ち出す、法人税の実効税率引き下げなどの経済政策を高く評価しており、献金への関与再開をテコに安倍政権との関係をさらに強化し、日本経済の再生など、経団連が掲げる政策の実現を目指すほうが得策と判断しているもようだ。
ただ、政治とカネの問題で世論の批判を浴びた「あっせん方式」の復活は見送る方向。各政党が打ち出した政策の評価を公表し、政治献金の指針とするかつての方式についても、「政策をカネで買った」という批判を招く恐れもあるため、政策評価と献金の関係性について慎重に検討する。
経団連は非自民の細川連立内閣発足を受けた平成5年に会員企業に対して献金額を割り当てる「あっせん方式」を廃止した。16年には各政党の政策を5段階で評価して金額を決める方式を導入して献金を復活させたが、この方式も民主党への政権交代後の21年10月に中止を決めている。
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