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やっぱりヘンではないか。つまらない−−そんな声がしきりに聞こえてくる。「みなさまのNHK」の“看板”報道番組「ニュースウオッチ9」(月〜金曜日、夜9時)だ。発言が何かと物議を醸した籾井勝人会長体制発足から半年あまり。NHKで何が起こっているのだろう。【吉井理記】
◇集団的自衛権報道「容認」:「反対」=89:1/理事がさかんに「公平」「不偏」
「『ニュースセンター9時』(1974〜88年)のころはしっかりしていたなあ。今のニュースウオッチ9? 見てないよ。つまらないんだもの」と吐き捨てるように言うのは政治評論家、森田実さん(81)だ。
「なにしろ集団的自衛権もTPP(環太平洋パートナーシップ協定)も、安倍政権に気兼ねしたような甘口の味付けでピリッとするサンショウもまぶしてない報道ばかり。1時間も尺があるのに批判精神がないから論争を巻き起こしたり視聴者に考えさせたりする力がない。『公正・公平』は『批判しないこと』と勘違いしているんじゃないか。BS民放の報道番組のほうがメリハリがあって批判を恐れていない。逆にバランスが取れていておもしろいよ」
厳しい。だが、NHKが厳しい視線を注がれているのは一番組にとどまらない。就任会見で「政府が右と言うものを左と言うわけにはいかない」などと発言し、「報道機関の役割を分かっていない」「政権寄り」と批判されてきた籾井会長の存在だ。
7月18日、NHKのOB172人が「籾井氏が会長にとどまるのは政府・政治権力から独立しているべきNHKの重大な脅威だ」として経営委員会に辞任勧告や罷免を申し入れた。これだけでも異例の事態だが、申し入れの賛同者はその後も増え続け、現在までにOB組織の加盟者を中心に1300人以上に達しているというのだ。
呼びかけ人の一人、元NHKディレクターで作家の小中陽太郎さん(79)は「みんな旧友会名簿を繰り、一人一人声をかけたんです。それだけ籾井体制はかつてないほどめちゃくちゃだし、報道番組を見ても安倍政権へのすりよりは露骨です。みなNHK出身を誇りとしてきたのに、今はただただ恥ずかしい」。
小中さんらは21日に記者会見し、改めて籾井会長に辞任を迫る。
実際「政権寄り」と勘ぐりたくなるデータがある。
89対1。ニュースウオッチ9が、集団的自衛権行使容認を巡る報道で、与党・政府の動向に割いた時間と、容認反対派側の動向を報じた時間の比率だという。元NHKディレクターで「放送を語る会」の戸崎賢二さんの試算だ。
安倍晋三首相の私的懇談会、安保法制懇が行使容認に向けた報告書を公表した5月15日から、行使容認を閣議決定した7月1日まで34回の放送中、集団的自衛権に触れたのは22回、計約167分だった。
戸崎さんによると与党協議の内容や安倍首相、政府関係者の発言・動向を扱ったのは約114分。5月15日の礒崎陽輔首相補佐官、6月26日の公明党の山口那津男代表、27日の自民党の高村正彦副総裁のスタジオ出演計約33分も含まれる。残り約53分は国会審議や各党反応、記者解説で、野党側のスタジオ出演はなく、容認反対の識者談話と反対する市民デモ・集会は計約77秒に過ぎなかったという。
記者も全放送を見直したが、おおむね試算通りの時間だ。「与党・政府の動きを報じるのは重要です。でも114分(6840秒)と77秒は異様です」と戸崎さん。あくまで個人の調査であり、賛成、反対の線引きにも議論はあるだろう。だが、上智大の田島泰彦教授(メディア倫理)は「それにしても世論が割れているのだから、もっと問題点も報じるべきでした」と指摘する。
放送法には「意見が対立している問題は、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」とあり、政府の放送法解釈でも「政治的公平性は他番組も含めた放送全体で担保すべきだ」「十分な放送時間があるなら一番組の中でも公平性を保つべきだ」としている。ならば同期間の他番組はどうか。各党代表が参加する「日曜討論」では2回取り上げられたが、特定テーマを掘り下げる「クローズアップ現代」(月〜木曜日、夜7時半〜56分)は閣議決定までこの問題にまったく触れていない。解説番組「時論公論」は3回取り上げたが、午前0時から10分程度で、多くの視聴者にとっては残念な時間帯だった。
田島教授は「NHKには報道番組がたくさんあるが、特に花形番組の『クローズアップ現代』で閣議決定まで一度も取り上げなかったのは理解できない。特定の問題を取り上げないことも、結果的に政権支援になり得る」と突き放した。
田島教授は「NHKでは国会での予算説明などのため政治家と親しい記者出身者が重用され、彼らが組織中枢を占める。だから以前から政権寄りの組織風土になりやすいと言われてきた。それが籾井会長就任で顕著になり、その結果が集団的自衛権の報道姿勢ではないか」と見る。
気になるのは現場の空気感だ。実際、ある関係者は「ニュースウオッチ9のスタッフが『社内のあちこちから、てにをはにまでいろいろ言われる』と嘆いていた」と苦笑いする。現役職員は「実際は籾井会長や理事が事前に放送内容に細かく口を出すことはない。ただ会長に近いある理事が内部会合で盛んに『公平』『不偏』と言っているらしい。局長クラスから現場までその空気を読み合い、政権批判的な番組作りを避ける傾向がある」と明かす。
一方では「局内には現会長への批判的な見方が広がっている。今の状況で、政治家や会長が番組に文句を言ってきたら『それみたことか』とリークが起きるのは明らかです。現場は萎縮するどころか、かえってやりやすいぐらいです」と皮肉な声も聞こえてくる。
籾井会長辞任を求める申し入れに賛同するOBは「決してNHKをかき乱したいわけじゃないが、籾井氏のままでは後輩たちが思うように働けない。NHKは社会を良くするためにある。そう信じて私も後輩も働いてきた。その伝統が崩れようとしているのに黙っているわけにはいきません」と力を込める。
9月初めの内閣改造が終われば第2次安倍改造内閣が本格的に動き出す。集団的自衛権行使のための関連法案作りも加速する。
「そのニュース、核心はどこだ。」がニュースウオッチ9のキャッチフレーズだ。全力を挙げて、ぜひとも「核心」に迫ってほしい。
http://mainichi.jp/shimen/news/20140818dde012040002000c.html
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