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集団的自衛権で腰が定まらない軟弱な海江田民主党
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/152554
2014年8月14日 永田町の裏を読む/高野孟 日刊ゲンダイ
民主党の海江田万里代表が、集団的自衛権をめぐって、二転三転の“言葉の遊び”を繰り返している。そもそも同党は今年3月には「行使一般は容認しない」との意味不明の見解をまとめた。「一般」というのはどうも「全面的な解禁」のことらしいが、そうだとすると「特殊」なケースは部分的に容認すると言っているのと同じで、それならそれで具体的にどういう特殊ケースなら容認するつもりなのか、を明示してくれないと議論のしようがないという声が党内外から上がった。しかし海江田はそれに応えないまま6月の党首討論を迎え、案の定、閣議決定でやるのは邪道で堂々と改憲を提起すべきだという形式論だけで攻めて中身には踏み込まず、盛り上がりを欠いた。
それで代表選前倒し騒動が一応収まった8月5日の常任幹事会で「現時点では必要ない」という新見解を出し「これは私の考えであり党の考えだ」と胸を張った。マスコミでは「続投が確定したこともあり、安倍政権への反転攻勢を狙って一歩踏み込んだ」といった評価が流れたが、そうだろうか。「現時点では」必要ないということは「別の時点では」必要になるかもしれないと言っているのと同じで、やはり、どういう時点では認めるつもりなのかを説明してくれないと検討のしようがない。党内の行使反対派からも賛成派からもそういう批判が出たため、急きょ11日、大畠章宏幹事長、安保調査会長の北沢俊美元防衛相、憲法総合調査会長の枝野幸男元官房長官らが額を集めて協議し、「現時点」という言葉を外して、「安倍政権が進める集団的自衛権の行使は必要ない」との表現で調整をはかることにしたという。これでもやっぱり同じことで、「安倍政権が進める」それはダメだけれども、将来の「海江田政権なり細野政権なりが進める」それなら必要と読めるではないか。
「何をドタバタしているのかといえば、要するに海江田は自分の考えは何もなくて、自公両党の『あくまで限定的な』行使容認論に同調している前原誠司や長島昭久などの賛成派と、大勢を占める旧社民系、労組系の反対派とを何とかまとめるために、反対するフリをしながらも言葉をひねって部分的容認の余地を残そうと苦心惨憺しているのだ」と同党の反対派ベテラン議員が解説する。
「海江田が腹を決めて、断固反対の立場をパーンと打ちだして、賛成派の連中を叩き出せばいいんだ。遅いようにみえてそれが党再建の一番の早道」と言うが、軟弱な海江田にそんな荒事はできそうにない。
▽〈たかの・はじめ〉1944年生まれ。「インサイダー」「THEJOURNAL」などを主宰。「沖縄に海兵隊はいらない!」ほか著書多数。
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