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2014年08月13日
WSJがシティグループの年金部門の責任者にコラムを執筆させ、日本の年金積立基金運用のルールを、早急にハイリスク・ハイリターンなものにシフトさせるべきと云う内容を報じている。早い話が、米国株式のバブル醸成が限界点を見せているので、今度は日本の株式市場がバブル醸成の責務を負うべきだと言っているような内容だ。ご存じだと思うが、FRB自体が、アメリカ経済の成長には、構造的限界点が見えているのだから、それを踏まえた経済財政政策にシフトすべき等々の考えを表している。
つまり、危機への継承エクスキューズを既に発しているということだ。じっくり読んでいただければ、早く日本よ、バブルに舵を取れと言っているようだ。金融政策か戦争経済か、選択の分岐点に立っているのが、アメリカだと云うことを表している。まあ、日本の安倍政権も、その積りで既に準公的資金を東京市場に流し込んで、暴落防止に血道を上げているわけだが、トドメが、国民の老後の拠りどころ、年金の金に手を付けるわけだから、答えが右回転するとは限らない。バブルをつくるのだから、いつでも左回りになる資格を持っている。WSJによれば、8年前にGPIFの運用ポートフォリオを変えておけば、複利平均トータルリターンは2.25%から、7.76%になっていたはずだ、と主張する。
経済学者やエコノミストの常套句で、都合の良い時期を引っ張り出して、ジャガスカ、ハイリスク商品に投資すべきだと言う。筆者が先物の売りポジションで、年収の1/3ほど損害金を出したのとはわけが違う(笑)。年金生活者の生活費が掛かっているのだから、笑い事ではない。アメリカの金融市場は限界に近い。EUもまったく無理。頑張れそうなのは日本だけだろう。西側陣営として、責務を全うせよと急かされているようなものだ。ショウ・ザ・フラッグ!と似ている。年金の支給が倍になるメリットはないが、半分になるリスクはあるのだから怖い。米国では、次のリーマンショックはいつ爆発するかなんて不安説まである。夫婦で18万の年金が、9万円になるリスクなのだから、もっと深刻に捉えるべきだが、ノーテンキ・ジャパニーズは、意味すら判っていない。
ただし、筆者の勘だけの話だが、そうなっても日本人は本気で怒ろうともしないような気がする。マイクを向けられれば、明日にも死にそうだと言うだろうが、毎日、100人が電車に飛び込むこともなく、クーデターが起きることもなさそうだ。こんな調子で、日本人がアメリカンデモクラシを受け入れざるを得なかった歴史は極めて破壊的だ。昨日の呉氏と適菜氏の対談ではないが、代議制民主主義も成り立たないし、選挙における自主的判断力も身につかないまま、どこまで、この愚かな政治体制で国が動くのか、甚だ心もとなくなってゆく。やはり、日本人は東洋の神秘な島国の方が身分相応、身の丈の孤高なのではないか、と改めて思うのである。
≪ 日本の貯蓄力を解き放て―年金基金の統治改革と分散投資を
日本最大の年金基金を改革するという計画は、世界第3位の経済大国で広範囲に及ぶ恩恵をもたらし得る。日本政府が最良の実践例(ベスト・プラクティス)を採用すれば、年金基金は退職者により高いリターンを提供するだけではなく、日本の企業の競争力と起業家精神を高めることにもなるだろう。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は伝統的に1兆3000億ドル(約133兆円)という資産の65%以上を日本国債で保有してきたが、今やその資産配分比率では株式の比重が高まってきている。しかも、日本の他の公的・民間年金基金はGPIFのポートフォリオをベンチマークとして採用しているため、日本の貯蓄の相当な部分が日本政府の赤字財政支出のファイナンスにではなく、リスクキャピタルに向かうことになる。
日本の厚生年金保険法はGPIFの資産が「安全かつ効率的」に運用されることを定めている。つまり、GPIFが長期的なリターンを目指して妥当なリスクを冒すことは許されるべきなのだ。
不幸なことにこれまでは、GPIFの全体的なポートフォリオが日本国債と似通ったリスク特性を持つことが「安全かつ効率的」と考えられてきた。その結果、 本当の資産クラスや地理的な多様性に欠けるポートフォリオとなってしまった。退職生活を支えるための基金に成長してもらう必要がある人々にとって、こうした「安全」の解釈は、保護的というよりも不利に働いている可能性が高い。多様性に欠けているため「効率的」でもない。
「安全かつ効率的」は資産クラスや地理的な面での高水準な多様性を意味している。変更の必要性を認識した安倍政権は昨年11月、GPIFの投資戦略の分散化、報酬の諸慣行における柔軟性、統治機構の独立性を求める有識者会議の提言を発表した。
カナダ年金基金、オンタリオ州教職員年金基金、ノルウェー政府年金基金といった年金基金の国内株式の平均比重は28%で、過去8年間の複利平均トータルリターンは7.76%である。過去10年間におけるGPIFの日本国債への配分比率は約68%で、過去8年間の複利平均トータルリターンは2.25%だった。
GPIFの株式の比重が増えれば、株価を押し上げることになるので、安倍政権 によって提案された変更は株式市場にとって朗報である。しかしそれは短期的な現象に過ぎない。パッシブな資本を供給するだけでは、その資産配分比率の効率性は実際に下がり得るのだ。GPIFには政治判断から投資判断を切り離す統治機構が必要となろう。
本当に良かったのは、日本政府が日本の企業文化を元気づける手段として機関投資家の行動指針を定めた「日本版スチュワードシップ・コード」を奨励したことである。これによって株主に対する説明責任の重要性が増し、ますます国際的になっている株主への投資利益が生み出されるはずである。これを順守するために は外部の資産マネジャーが必要になるとGPIFは発表した。当然だが、今やこれには世界有数の資産運用会社を含む130もの機関投資家が名乗りを上げている。
スチュワードシップ・コードと新たなJPX日経インデックス400(自己資本 利益率=ROEやそれに類似した指標を重視した指数)は企業統治改善のインセンティブを生み出している。たとえば過去10年間のROEが3%の金属加工機械メーカーのアマダはJPX日経インデックス400の構成銘柄に採用されなかった。同社はその後、次の銘柄入れ替え時に確実に採用されるように、すべての利益を株主に還元(半分は配当、残り半分は自社株買いで)すると発表した。同社株はその日、前日よりも8%高い値で取引された。この秋にはGPIFがそのベンチマークを東証株価指数(TOPIX)からJPX日経インデックス400に切り替えるというのが大方の見通しである。
昨年11月の提言は、GPIF自体の組織改革も求めている。これは市場を基盤とした報酬体系や政治や政府からより独立した理事会などが含まれる。GPIFが年金のベスト・プラクティスで世界のリーダーになるのであれば――世界第3位の経済大国にある世界最大の年金基金なので、そうあるべきなのだ――そのガ バナンスを世界の主要な年金制度の独立性と同等にする必要があるだろう。
日本政府はカナダの公的年金基金を優れたモデルとして特定してきた。数年前、将来を見据えた政治的指導者たちはカナダの年金を政府や政治から意図的に遠ざけた。その理事会は政界の大物で埋め尽くされておらず、その投資が政府にコントロールされることもない。同基金は一流の金融のプロたちを引き寄せるのに必要な報酬を支払うこともできる。
米国政府の年金給付保証公社(PBGC)の運営を任された筆者は、600億ドル規模のポートフォリオの投資に政治的な力が働き過ぎると数十億ドルの損失に もつながり得るということを目の当たりにした。2008年、われわれはポートフォリオのかなり部分を確定利付債から株式に転換するという新しい投資方針を 採用した。
その方針は2009年の春と夏に実施に移されるはずだったが、発足したばかりのオバマ政権がPBGCの投資方針の変更を白紙に戻し、確定利付債への配分を 維持することになった。それ以来、株式市場の価値は2倍以上になったので、その決断はPBGCに200億ドルの損失を与えたことになる。GPIFと安倍政権には、基金の統治をそうした政治的な力から保護するチャンスがあるのだ。
GPIFが他の年金制度の経験を生かして落とし穴を避けることができれば、退職者たちにより確かな安全を提供できる。日本政府が直面する年金基金の不足分をつぎ足すことへのプレッシャーも緩和されるだろう。そして、リターンを高めることに関して、運用者たちはこれまで以上に責任を感じ、株主の声に敏感になるだろう。既得権益の抵抗や政治的干渉の誘惑に打ち勝つのは容易ではないだろうが、この改革が成功すれば日本が得るものは大きい。 *チャールズ・ミラード氏はシティグループの年金部門の責任者。ジョージ・W・ブッシュ政権下で米年金給付保証公社の理事長を務めた。 ≫(WSJ:オピニオン)
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