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2014年08月12日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆民主党最高顧問を務めた羽田孜元首相以来「羽田王国」と言われている長野県で任期満了に伴う知事選挙が8月10日に投開票され、現職の阿部守一候補(無所属=民主党と社民党に自民党や公明党などが抱きつき相乗り)が、野口俊邦(無所属・新=共産党推薦)らを抑えて2回目の当選を果たした。
得票は、阿部守一(無所属・現)当選、62万6462票▽野口俊邦(無所属・新)、10万6120票▽根上隆(無所属・新)、1万1209票。(投票率は43.56%で、これまでで最も低かった前回を9.14ポイント下回り、過去最低)
阿部守一知事は、旧自治省(現・総務省)に入り、長野県の副知事や総務省の過疎対策室長などを務めたあと、前回(4年前)の知事選挙で民主党や社民党などの推薦を受け、初当選した。今回の長野県知事選挙でも、羽田孜元首相の息子である羽田雄一郎元国土交通相(民主党参議院幹事長・長野県総支部連合会代表代行・選対本部長)が、阿部守一知事の選挙対策本部にベッタリ張り付き、選挙運動を指揮していたので、阿部守一知事の圧勝が当初から予想されていた。このため、前回、別の候補を支援した自民党や公明党、それに次世代の党、結いの党、「日本維新の会の地方組織」まで、阿部守一知事に抱きつく形で推薦に回り、とくに自民党は、「不戦敗」となった。この結果、民主党は、滋賀県知事選挙に続いて連勝、自民党は事実上、連敗した。
◆やはり任期満了(2014年11月11日)に伴う福島県知事選挙は10月9日告示、26日投開票で実施される。現職の佐藤雄平知事(渡部恒三元衆議院副議長=民主党衆議院議員の甥、渡部恒三の長男で東京財団の渡部恒雄研究員は従弟)は、民主党の元参院議員で、民主党の推薦で知事選挙に当選した。だが、告示まで2カ月を切った現在、再出馬するか否かを表明していない。民主党の亀岡義尚県連幹事長は、佐藤雄平知事が出馬を正式に表明すれば、全面応援する構えだ。
これに対して、自民党福島県連は8月9日、福島市で役員会を開き、日銀元福島支店長で現神戸支店長の鉢村健氏(55)を擁立する方針を決めている。しかし、自民党本部は、7月の滋賀県知事選で推薦候補が敗れ、11月に沖縄県知事選を控えることから、連敗を避けたい。このため、自民党本部は11月に控える沖縄県知事選を最重要と位置づけ、相乗り容認を公言してきた。「惨敗するよりは、ましだ」と考えて、8月4日、福島県連に対し独自候補の擁立方針を白紙撤回し、与野党相乗りも視野に人選を進めるよう求めてきた。これに対して、福島県連は、党本部の介入に猛反発、岩城光英県連会長(参院福島選挙区)は「鉢村健氏への与野党相乗り」を模索していて、民主党などに共闘を働き掛けようとしている。不調に終われば、自民党単独で擁立する構えだ。
それでも、佐藤雄平知事が圧勝する予想が出れば、長野県知事選挙と同様、「抱きつき相乗り」による不戦敗の道を選択する可能性が大だ。そうなれば、民主党は3連勝、自民党は事実上、3連敗となる。
なお、この同時期に任期満了により実施が予想される福島県内選挙として、金山町長選挙 (任期満了日10月21日)、浅川町長選挙 (同10月30日)、川俣町長選挙 (11月28日)、南相馬市議会議員選挙(同11月30日)がある。
◆任期満了(2014年12月9日)に伴う沖縄県知事選挙は、10月30日告示、11月16日に投開票される。仲井眞弘多知事は8月7日、正式に出馬を表明しており、自民党、公明党推薦で出馬する。対抗馬は、那覇市の市長4期目の翁長雄志市長(63)で、自民党県連の幹事長も務めた沖縄保守政界の中心人物だった。つまり元々は沖縄駐留米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設容認派だったのである。だが、鳩山由紀夫首相が2009年に県外移設を掲げて誕生した時期に、反対に転じ、反対運動を主導してきた。翁長雄志市長は那覇市内で、移設反対の経済人らでつくる「オナガ雄志知事を実現する同志会」の代表らと会談した際、知事選挙への出馬を要請され、「身の引き締まる思い。米軍基地は経済の阻害要因だ」と応じている。9月初めにも正式表明するという。正式に出馬表明すれば、共産、社民などの県政野党や自民系の那覇市議、経済人らが、こぞって擁立、支援体制を組む。
このほか、政党そうぞう前代表の下地幹郎前衆院議員(52)も出馬の意向を明らかにしている。下地幹郎前衆院議員は内閣府特命担当相(防災)・郵政民営化担当相、国民新党代表代行・幹事長・国会対策委員長・政務調査会長などを歴任している。
肝心な民主党は、「最低でも県外」と事実上公約しながら、最後は辺野古移設を決め、県内移設反対派からも推進派からも批判を浴びたため、2010年の前回知事選挙では、自主投票で臨んだ経緯があり、翁長雄志市長を安易に支援しにくい事情がある。しかし、沖縄県連代表の喜納昌吉元参院議員は8月5日、辺野古移設反対を掲げてきた立場から「『日米合意の推進』は撤回すべきだ」との文書を党本部に送付しているという。仲井眞弘多知事と厳しく対決する姿勢だ。
この意味で、福島県知事選挙、沖縄県知事選挙は、安倍晋三首相の「命運」を大きく左右しかねない「天王山」(豊臣秀吉と明智光秀が戦った山崎の合戦で布陣した場所=京都府乙訓郡大山崎町の山。周囲が見渡せるため戦いに有利な場所、勝負を決める大事な局面。勝敗の分岐点。天下分け目)となる。
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