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かつての日本は中国思想から強い影響を受けていた。そして、現在はアメリカ思想の強い影響を受けている。なぜ我々日本人は外来思想ばかり崇め奉ってしまうのか。日本自身の思想を大事にすべきではないのか。
我々は亀井静香議員と、今村洋史議員の訴えに真摯に耳を傾けるべきだ。
『月刊日本』8月号
亀井静香・今村洋史「日本人本来の生き方に誇りを持て!」より
http://gekkan-nippon.com/?p=6299
わが国に迫る米中という「人工国家」
── 本日は、わが国の状況に強い危機感を抱いている亀井先生と今村先生に、危機の本質と救国の打開策について語って頂きます。まず、今村先生から日本の置かれた状況について語っていただけますか。
【今村】 私は、以前からチャイナとアメリカの二大国の結託という意味で「チャイメリカ」という言葉を使ってきましたが、両国に共通する点はともに「人工国家」だということです。この米中二大強国は、自国民すら食いつぶしながら、外に拡がっていくという帝国主義的な行動をとっています。まるで、映画『プレデター』に登場する爬虫類のような獰猛な生命体の行動です。様々な星に進出して、その星に生息する生物を獲物として狩猟してしまう獰猛な生命体です。アメリカにおける経済学者と金融業界の癒着を描いた映画『インサイド・ジョブ』のチャールズ・ファーガソン監督の近著『強欲の帝国』の原題は「Predator Nation」ですが、まさに米中のような国家を「プレデター・ネーション」と呼ぶことができるのです。
この無慈悲な二国の拡張の波が、いまわが国に押し寄せています。両国に共通する理念は、経済主義、特に新自由主義です。小泉政権以降、わが国でも新自由主義が強まり、プレデター・ネーション化が進行しています。格差が拡大し、富の集中が進み、アメリカ社会に近づいているのです。
【亀井】 アメリカにしろ、中国にしろ、大地から草木が生える様に、自然にできあがった国じゃない。アメリカはインディアンなどの先住民の土地を収奪して作られた国です。中国でも、諸民族を追っ払ってはそこに新たに国を築くという繰り返しをやってきました。今村先生の言う通り、米中ともに人工国家と言っていいでしょう。
両国との対比で言えば、わが国は、この日本列島の中で、人々が自然に共同体としての意識を醸成して言葉や文化を共有してできあがった国家です。ところが、いまわが国が人工国家に作り変えられようとしています。
今村先生はわが国の成り立ちという本質的な点に着目しました。日本の国柄を尊重した頭山満らの玄洋社の思想に通ずるものが、今村先生にはあるように感じます。
日本人本来の生き方を誇れ
【亀井】 明治以降、日本の欧化が進みましたが、戦後は特にアメリカの政治思想に席巻されてきました。それに対するアンチテーゼとなったマルクス・レーニン主義もまた、外来のものです。社会党などの左派の思想も、岩波書店などを拠点とした知識人の思想も外来思想です。戦後アメリカから流入する思想に対する抵抗の理論は、それしかなかった。
そういう外来思想ではなく、我々自身の思想を取り戻さなければいけないのです。我々が生活する上で大事にしてきた感覚、我々が生きてきた術といったものを、自ら取り戻さなくちゃいけない。日本人の魂です。それを取り戻すという考えに基づいて、今後の日本の政治も指導していかなきゃいけない。そうしなければ、日本という国は日本ではなくなってしまいます。その意味で、今村先生の指摘は非常に重要です。
【今村】 かつて乃木将軍が日露戦争に勝利した後、「ロシアでは革命が起きて共産主義になりました。どう思いますか」と記者に質問された時、乃木将軍は「日本には武士道がある」と答えました。一見、見当違いの答えのようにも見えますが、乃木将軍は共産主義が「共に分かち合っていこうという思想」だと理解した上で、日本にはそうした主義を殊更に唱えなくても、ちゃんと実践してきたという意味で、「武士道がある」と言ったのです。つまり、「武士には自分さえよければいいなどという発想はもとよりなく、自分を犠牲にして他人を助ける。そういう生き方を日本人は実践してきたのだ」と言いたかったのです。我々は本来の日本人の生き方に誇りを持つべきです。
いま私は、富の集中など新自由主義がもたらす弊害について厳しく批判していますが、新自由主義とは社会ダーウィニズムなのです。「適者生存、弱肉強食でいいのだ、それが自然の原理なのだ」という考え方です。しかし、こうした考え方は日本人の肌には合いません。
しかも、進化論にはダーウィンとは異なる学説があります。例えば、今西錦司は「種は常に一定限度の共通性を保っていて、進化は個体ではなく種レベルで起こる」と唱えています。ダーウィンの競争原理ではなく、共存原理を主張しているのです。
── 安倍政権が6月に発表した成長戦略には、医療、農業、労働といった分野の新自由主義的政策が盛り込まれています。
【亀井】 このままでは小泉時代に逆戻りしてしまいます。安倍総理は、思いもかけず再び総理の座につきました。ところが、経済政策を構築する力がないので、その真空を埋めるように新自由主義者たちが入り込んでしまった。
【今村】 第三の矢の構造改革、規制改革が、第一、第二の矢と逆行する形で進められようとしています。しかも、アメリカの要求にしたがって進められています。もはや売国以外の何物でもありません。消費税増税も失敗に終わるでしょう。安倍総理は歴史に学んでいません。かつてアメリカの大恐慌を招いたのは、フーバー大統領がデフレの状況で消費税を導入したからです。これと同じ愚を安倍総理は繰り返そうとしているのです。
安倍総理は、国民の生活ではなく、政権の維持と次の選挙のことしか考えていないのかもしれません。安倍総理が好きな吉田松陰は「吾れの得失、当に蓋棺の後を待ちて議すべきのみ」という言葉を残しています。安倍総理はそれを思い起こして、自分の権力を維持することよりも、日本の宰相として後世どう評価されるかを重視するような価値観を持ってほしいものです。(以下略)
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