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現在2期目/(C)日刊ゲンダイ
醜聞続きの地方議会 河村たかし名古屋市長が「再生策」語る
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/152299
2014年8月4日 日刊ゲンダイ
すべての元凶はGHQ占領政策
兵庫県の「号泣県議」や都議の「セクハラやじ」など、地方議員のスキャンダルが相次いでいる。どうして、ここまで質が低下してしまったのか。国会議員だった20年前から、地方議員の「ボランティア化」や「市民並み給与化」を主張している河村たかし名古屋市長に、地方議会の再生策について聞いた。
一番の問題は、地方議員の“家業化”、地方議員の議席が“指定席化”していることですわ。世襲議員にも立派な人はおりますが、自民党は世襲議員、民主党は労組出身者が“指定席”のように議席を得ている。アメリカにも世襲議員はいるけど、民主主義が成熟しているのか、世襲候補は選挙の時、不利だそうです。
家業化すると、どうしても政治が生活の糧を得るための“職業”になってしまう。でも、本来、地方議員は“職業”ではなく“ボランティア”のはずです。マックス・ウェーバーの「職業としての政治」の職業も、商売としての職業を指しているのではなく天職という意味です。
なぜ、日本の地方議員は職業化してしまったのか。本はといえば、GHQの占領政策にあります。GHQは、どうして戦前の日本議会は無謀な戦争を止められなかったのか、なぜ軍部にストップをかけられなかったのか疑問を抱き、議会を強くしようとした。
戦前の国会議員の報酬はさほど高くなかったし、地方議員は無給の“名誉職”でした。ところが、戦後日本は焼け野原になり、とても“ボランティア”で政治をやっていける余裕はなくなった。
そこでGHQは昭和22年に「国会法35条」を制定します。国会法35条は、国会議員の報酬は、あらゆる公務員の報酬より高くする、というものです。さらに、国会議員は退職金を受けることが出来る、という「国会法36条」もつくった。GHQは、日本中から優秀な人材を議会に集めようとした。「35条」「36条」のような条文があるのは、世界中で日本だけですよ。日本の政治家の“職業化”が始まったのは、ここからですわ。「35条」も「36条」も、戦後という非常時に誕生した。ところが、国会議員の「特別待遇」が、いつの間にか地方議員にも広がっていったのです。
もう、戦後70年も経ち、非常時ではないのだから、「35条」と「36条」は廃止すべきですよ。「戦後レジームからの脱却だ」と憲法の解釈を変えるなら、「35条」と「36条」もなくすべきです。
給与を下げるかボランティア化すればいい
――でも、議員報酬が安いと貧乏人は政治家になれないとか、高い報酬を払ってでも政治家には良い仕事をしてもらった方がいい、という意見もあります。
まったくの間違いですよ。私が名古屋市長になってから市議の報酬を1700万円から800万円に下げましたが、以前と変わらず皆さん、立派に働いていますよ。私の市長報酬も800万円です。それに、議員報酬を少なくするとカネ持ちしか政治家になれないという声がありますが、本当ですか? 逆ですよ。いま議員の給与は高いですが、むしろ、報酬が高いために“職業化”した政治家が、“職業”を失わないように地盤をガチガチに固めてしまい、普通のサラリーマンは手を挙げられなくなっている。政治家が「議員報酬が低いと……」と口にするのは、給料を減らされたくない口実です。
――地方議員を「ボランティア化」「市民並みの給与化」して人材が集まりますか。それで地方議会は良くなりますか。
世界で一番、住みやすい都市は長年、カナダのバンクーバーでした。バンクーバーの市長に直接聞いたら、市会議員の給与を市民並みにしているという。市民の平均給与に合わせて変動させているそうです。キーワードは市民との「同質性」です。そもそも、民主政治では、政治家は市民の代表のはず。同じ仲間だから代表に選ぶのでしょ。
本当は、サラリーマンや自営業者が昼間、仕事をやりながら、ボランティア議員として夜や週末に「議会」に集まって話し合うという形があってもいいと思う。地域に密着している地方議会は、それが理想だと思う。
いま、有権者が顔をしかめたくなる地方議員のスキャンダルが相次いでいるのは、地方議員が高い報酬を受け取る「職業」になり、市民とかけ離れた生活をしとるからですよ。報酬が低ければ、「給与が安くても地域のために働こう」という志の高い人が議員になるということもあると思う。地方議員の報酬を市民並みの給料に下げれば、地方議員の性格はガラリと変わりますよ。
――日本の地方議員は、やはり特殊ですか。
10年ほど前、アメリカと韓国に行き、100人近くの地方議員や首長に話を聞いてきた。ほとんど10年前後で議員を辞めています。やはり意識は“職業”ではなく、地域を良くしたいという“ボランティア”です。ロサンゼルスの市議の給与は1000万円を超える高額なのですが、連続3期12年までという規定がある。もちろん、長く議員をやる人もいますが、たいてい、そういう地方議員は州知事や上院議員、大統領を目指し、個人献金を集めている。税金で高額な報酬をもらって暮らそうという発想はあまりない。
それにアメリカの地方議員は、みな無党派です。一人一人が自立している。慣習ではなく、ノンパーティーというルールがある。たとえば、ロスには15人の市議がいますが、「FINE LINE」といって、予算や条例について賛成するか反対するかなどを、半数を超えて事前に談合してはいけないルールになっている。ロスの市議は、自分の頭で考えなくてはいけない。
ところが、日本の地方議会は、所属政党が投票行動を決めるのでボンクラでも務まってしまう。
地方議員に対して批判は強いですが、個人を責めても仕方ない。日本の地方議会は、そろそろ制度から変えるべきだと思います。もし地方議会が国会のように“政党化”してしまうなら、首長に解散権を与えないと、首長を選んだ民意は簡単に否定されてしまう。
――ところで、古巣の民主党について、いまどう思っていますか。
民主党が政権を失った理由は、経済学を知らなかったことですよ。財政赤字が積み重なったから、消費税増税をするなんて、まったく経済が分かっていない。庶民にカネはないが、なぜ、銀行と大手企業にはカネがうなっていたことに気づかなかったのか。だから、金利がどえらく低いのだよ。
▽かわむら・たかし 昭和23年名古屋市生まれ。県立旭丘高校、一橋大卒。平成5年衆院選当選。以後連続5回当選。平成21年名古屋市長に転身。現在2期目。
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