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石破氏(写真:産経新聞)
安倍首相が石破氏に持つ「7年越しの恨み」 因縁の戦いが再燃か…
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140803-00000530-san-pol
産経新聞 8月3日(日)18時33分配信
安倍晋三首相と自民党の石破茂幹事長の7年に渡る因縁の戦いが再燃しそうだ。首相が9月第1週と明言した内閣改造と自民党役員人事。首相は石破氏に幹事長交代と安全保障法制担当相への就任を打診し、石破氏が回答を保留していることが判明した。首相の主眼は石破氏の閣内封じ込めだ。石破氏には総裁への計算がある。第1次政権下の平成19年7月の参院選で敗北し、退陣を迫ってきた石破氏の姿を首相や側近は決して忘れてはいない。来年9月の党総裁選をにらみ、両者の神経戦が激化するのか。
首相が石破氏との会談で幹事長の交代、安全保障法制担当相就任を打診したのは先月24日とされる。このポストは今後、憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認の閣議決定を受け、野党は責めどころと捉えている。ここで下手を踏めば担当相は無能の烙印を押されるだけでなく、兼務がなければ大臣としての権限はほとんどない。いわば、ハイリスク・ローリターンだ。
政府・与党で「一強時代」を築き、長期政権を狙う首相が総裁選でライバルとなりうる存在を封じるにはうってつけのポストともいえる。実際、石原伸晃氏が原発事故対応に当たる環境相に就き、「金目」舌禍で大きく後退したのは記憶に新しい。当然、石破氏側近もこれを警戒しており、「幹事長留任か、安保担当相を押しつけられるなら無役で力をたくわえるべきだ」との意見がある。
59歳で当選7回の首相と、57歳で当選9回の石破氏。年齢では首相、当選回数では石破氏が上回る。首相は福田赳夫元首相に連なる清和政策研究会出身で、石破氏は福田元首相と政争を繰り広げた田中角栄元首相の「最後の弟子」を公言する。「首相は周りをうまく使い、石破氏は本人が優秀で自分で物事をこなす」(副大臣)と、タイプも異なる。
2人の根深い対立は19年7月の参院選後にさかのぼる。当時、選挙の顔を務めながら敗北してねじれ国会を現出させてしまった首相の身の振り方について、石破氏にインタビューしたことがある。
「総理は『私を選ぶか(当時の民主党代表)小沢(一郎)さんを選ぶかの選挙』とあれほど言った。それで(有権者は)小沢さんを選んだ。そのことをどう思うかと聞かれて、総理は『私は使命を守る』という。答えになっていない。国民の意志を完全に無視している」
「責任を取るべき人が取らないのは組織ではない。このまま追及する声がないようなら、そんな党は存在意義がない」
「総理は『私の内閣』とか『私の使命』とかそういう言い方をするが、内閣は個人のものではない。『私の使命』って、王様じゃないんだから」
「私だったら即座に辞めて、落ちた人のところに謝って回る。でも総理は落ちた人の気持ちが分からない。総理は週末ごとに大きな私邸だかなんだか知らないがお帰りになり、普通の人が行けないようなレストランでお食事になる。選挙の苦労もしていない。苦しい状態にある人にシンパシーが持てない。選挙で奥さんともども土下座して落選した人の気持ちはわからない」
「総理が退陣せねば、自民党が終わってしまう」
辛辣極まりない退陣要求だ。石破氏だけでなく、後藤田正純内閣副大臣は首相について「北朝鮮と同じ」と語ったほか、当時は参院議員だった東京都の舛添要一知事も、首相の続投について「感覚がズレている」と述べていた。結果、首相は退陣に追い込まれた。
首相周辺による「許せない政治家リスト」に、石破、後藤田、舛添3氏の名前が載ったのはいうまでもない。
首相と石破氏は政権復帰直前の24年9月には党総裁選で争った。石破氏が地方票で過半数を占めながら、首相が国会議員票による決選投票で逆転勝利した。
首相はそんな石破氏を幹事長に登用した。自民党幹事長は公認権や党のカネを差配できる。しかし、首相は、選対委員長ポストを四役に昇格させて河村建夫元官房長官を置き、河村氏と高村正彦副総裁で石破氏を“挟撃”する形を作っている。
首相と石破氏は協力して24年12月の衆院選で政権奪還を果たし、昨年7月の参院選も大勝して衆参両院の「ねじれ」を解消したいまでも、「いまだに腹を割って話す関係にない。目も合わせないこともある」(石破氏周辺)間柄だ。「首相は意外と根に持つ。総裁選で石破氏を応援したということで入閣が見送られた議員もいる」(派閥幹部)との意見もある。
これに対し、石破氏は最近、首相と距離を置く青木幹雄元参院議員会長を永田町の砂防会見に訪ね、関係修復を図った。党内では近い将来の総裁選をにらんでのことと受け止められている。
どちらかがガチンコを仕掛けるのか。それ次第で、自民党に権力闘争の嵐が戻ってくる。(沢田大典)
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