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官々愕々 医薬品ネット販売解禁の大嘘
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39993
2014.08.02 古賀茂明「日本再生に挑む」 週刊現代
「改革は、待ったなし。岩盤のように固まった規制を打ち破るには、強力なドリルと強い刃が必要だ。自分はその『ドリルの刃』になる」
昨年10月のAPEC首脳会議で安倍晋三総理は大見得を切った。今年もこのフレーズを繰り返しているが、その後の安倍氏と言えば、日本版NSC(国家安全保障会議)法、特定秘密保護法、武器輸出解禁、そして集団的自衛権行使容認の解釈改憲などにまっしぐら。肝心の規制改革は、単なるパフォーマンスに終始している。
このコラムで何回も取り上げた医薬品のインターネット販売がその典型だ。'13年6月発表のアベノミクス第三の矢、成長戦略。規制改革の中身なしという烙印を押され、総理の発表記者会見中から株価大暴落という大失態となったのだが、そのときの目玉が医薬品ネット販売の「全面解禁」だった。しかし、現実は「全面解禁」とは程遠い状況になっている。
医薬品の中には、医師が処方しないと薬局の店頭で買えない「処方箋薬」と、処方箋なしでも普通に買える「一般用医薬品」がある。このうち、処方箋薬から一般薬に転換して間もない医薬品など28品目について、ネット販売を認めるかどうかに焦点が当たっていたが、結局、「まだリスクが高い」という理由でネット販売は禁止となった。とはいえ、28品目は、一般用医薬品のうち、たった0・2%。それ以外の一般用医薬品は解禁されたのだからほぼ「全面解禁」に映るかもしれないが、それは大間違いだ。
そもそも、28品目だけがネット販売禁止であとは自由といえば、医師の処方箋がある「処方箋薬」のほとんどもネットで買えると思ってしまうが、実はこれは禁止となっている。処方箋薬をネットで買えれば、体調不良、身体が不自由、多忙などの事情を抱える患者にとって本当に助かる。諸外国では当たり前の光景だ。
しかし、安倍政権は、「元々リスクが高いとされている処方箋薬から一般用医薬品に分類替えした直後の医薬品など28品目のネット取引を禁止したのだから、処方箋薬はなおさら禁止すべきだ」という理由でネット販売を禁止した。処方箋薬の巨大市場は6兆円。大衆薬の10倍だ。つまり、岩盤規制の本丸はびくともせずに残されてしまったのだ。
さらに、『日本人を縛りつける役人の掟』の著者で規制改革に詳しい原英史氏の指摘で気づいたのだが、前述の28品目については、ネット販売だけでなく「店頭で」あっても、家族などが本人に代わって買うことが禁止となった。その理由が驚きだ。そもそもネット販売を禁止する最大の根拠は、「薬剤師が患者の状況を直接見ながら判断することが大事」というものだった。有名な例が、「鼻汁が黄色や緑色など通常と異なる状態かどうか」などを見て判断するというもの。しかし、解禁論者は、「家族が代わりに買う場合もあるじゃないか」と反論した。誰もが「なるほどその通り」と思う。追い詰められた薬局側は、「だったら、本人以外には売らないことにしよう」と言い出した。その結果、28品目は、家族が代わりに買うことが、新たに禁止となってしまったのだ。
また改めて取り上げるつもりだが、実は、今、不動産のネット取引について議論が行われている。そこでは、医薬品と全く同じように、政官財一体で屁理屈をこねくり回す議論が展開され、規制温存の動きが強まっているようだ。
戦争できる国・日本を作るのに必死の安倍総理に期待しても、やはり、第三の矢は無理のようだ。国民が騙されないよう厳しく監視し、声を上げないと岩盤規制はいつまでたっても残り続けるだろう。
『週刊現代』2014年8月9日号より
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