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安倍政権の女性登用拡大政策、経済成長の阻害要因の懸念 霞が関人事で早くも弊害露呈
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140729-00010001-bjournal-bus_all#!bpaZqI
Business Journal 7月29日(火)3時0分配信
消費増税後の消費減少が回復せず、輸出が伸び悩むなどアベノミクスにかげりが見え始め、7月に入りメディア各社が実施した世論調査で、安倍政権の支持率が軒並み過去最低を記録するなど右肩下がりとなっている中、安倍晋三政権は人気取りのパフォーマンスに躍起となっているとの批判もある。そんな人気取りのための政策の一つとして、よく挙げられるのが女性登用の拡大だ。
安倍首相は「女性の活躍推進」を成長戦略の目玉に位置づけ、「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%に」という数値目標を掲げている。その目標達成に向けた動きが、まず7月に行われた霞が関人事(中央省庁幹部人事)で見られた。
実はこの人事に先立つ5月末、内閣人事局が設置され、約600人の省庁幹部人事を一元的に管理することになり、従来以上に官邸の意向が幹部人事に反映されやすくなっていた。
第1弾の7月4日閣議決定の人事では、法務省、経済産業省、外務省、厚生労働省の4省で女性が局長に任命された。厚労省以外の3省では初の女性局長で、特に法務省では、外資系金融機関で社内弁護士を務めた「異色の経歴」の持ち主である岡村和美・最高検察庁検事が人権擁護局長に起用された。
外務省は環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に代表される経済外交を担う経済局長に北米2課長などを務めた斎木尚子・国際文化交流審議官、経産省は貿易経済協力局長に繊維課長、通商機構部長を歴任した宗像直子・大臣官房審議官を充てた。
第2弾となる7月18日の閣議決定では、文部科学省のナンバー2だった板東久美子文科審議官が阿南久消費者庁長官の後任に就いた。このほか、内閣府、公正取引委員会、文科省で女性が局長級に起用された。
その結果、約240ある局長級以上のポストのうち、女性は8人から15人に増え、全体に占める割合は6.2%となった。内訳を見ると、厚労省と外務省がそれぞれ3人。経産省や法務省など9府省庁でそれぞれ1人が局長以上のポストに就いた。局長級の下のポストに当たる審議官級以上の幹部職員で見ると、女性は16人から23人に増え、幹部全体の約3.7%になった。
●数合わせの人事?
2010年12月17日決定の第3次男女共同参画基本計画では、15年までに地方分も含む幹部職員の女性割合の目標を3%と設定している。新聞報道によれば、今回の幹部人事で女性の割合は約2.7%となる見込みで、人事局幹部は「来夏の幹部人事で目標の達成は可能だ」と胸を張っているらしい。
菅義偉官房長官も7月18日の記者会見で「内閣全体で適材適所となる戦略的な人事配置をした」と述べているが、果たして本当に適材適所といえるのかというと、疑問符が付く。
その最たる人事は、厚労省の村木厚子事務次官の続投だ。同省では13年7月に村木氏が事務次官に就任して以来、法案の条文作成ミスや就労支援事業をめぐる不適切入札など、不祥事が頻発しており、ガバナンスに問題があると批判されている。
従来であれば、トップの責任問題が追及されるところであるが、村木氏が大阪地検特捜部による証拠改ざん事件の被害者として有名になったこともあり、政権は処分を避けているようだ。
官僚トップである事務次官の任期は1年が長い間の慣習で、村木氏を交代させても、「通常人事の範囲内、引責人事ではない」と説明すれば誰もが納得するだろう。それにもかかわらず続投させたのは、女性幹部の人数を減らしたくないという思惑が働いたと指摘されても反論できないだろう。
●追従する経団連
安倍首相が女性登用を拡大させようとしているのは、霞が関だけではない。成長戦略で打ち出した数値目標達成に向けて地方自治体や大企業の取り組みを加速させるのが狙いで、新法を制定する方針で、早ければ秋の臨時国会に提出し、成立を目指すらしい。企業や地方自治体に女性の登用を増やす行動計画をつくるよう求めることが柱となるという。
こうした政権の動きに、日本経済団体連合会(経団連)も呼応している。今年4月、経団連は女性の活躍推進の加速化に向けた「女性活躍アクション・プラン」を公表。これに基づき、会員企業47社の女性の役員・管理職登用に関する自主行動計画を7月14日、経団連のホームページ上で公開した。榊原定征会長は翌15日、約1300社全企業会員代表者に対し、年内に同様の計画をつくるよう呼びかけている。
先進国はもちろん、発展途上国も含めた諸外国に比べ、日本は女性の社会進出が遅れているのは間違いない。安倍首相が「女性登用」に躍起になるのはよくわかる。しかも、人口減少時代を迎え、経済成長に必要な労働力人口を確保するには、働く女性を増やすことが必要だ。
しかし、中央省庁や大企業、地方自治体で働くのは労働力人口のほんの一握りにすぎない。だからこそ、多くの女性が専業主婦を選ぶ一因になっている配偶者控除の見直しが議論になっているのではないか。
●経済成長の足かせになりかねない懸念も
いずれにせよ、安倍政権の行った霞が関人事は人気取りを狙ったパフォーマンスにすぎない。それでも、本当に“適材適所”が貫かれているならいいが、そうとはお世辞にもいえない。
数値目標をつくれば、数合わせに流れる事態は当然に起こり得る。トップや幹部人事を間違えると、どんな組織も堕落し、いずれ取り返しのつかないことになる。それを防ぐには、メディアによるチェック機能が働かなければならないが、十分に機能しているとはいえない状況だ。
「鉄の女」のサッチャー元英首相、「ドイツ版・鉄の女」のメルケル独首相、ヒラリー・クリントン元米国務長官のような女性リーダーが日本でも誕生するなら、文句はいうまい。しかし、霞が関の人事を見ていると、数合わせに汲々としているのは間違いなく、それは夢のまた夢というほかない。大企業のトップも推して知るべしで、現在安倍政権が推進する女性登用政策では、経済成長の足かせになりかねないと懸念される。
大塚将司/作家・経済評論家
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