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【高橋昌之のとっておき】
河野談話こそ幕引きにするな 河野氏招致に応じない自民のだらしなさ
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20140728/plt1407281555004-n1.htm
安倍晋三政権になって自民党は少しはましになったかと思っていたら、どうもそうではないようです。というのは、慰安婦募集の強制性を認めた河野談話をめぐり、発表した当事者である河野洋平元官房長官の国会招致に応じていないからです。
政府は6月20日、談話の作成過程について有識者による検討チームの報告書を公表しました。その内容からは、談話は韓国との関係を改善するために、当時の日韓両政権間の政治的な思惑で、事実ではない強制性を事実として発表した経緯が明らかになりました。
安倍政権は「河野談話を見直さない」としていますが、作成過程と内容に重大な問題があることがはっきりした以上、放置しておくわけにはいきません。このところ、マスコミは東京都議会のヤジ問題などさまざまな問題で「幕引きにするな」とはやしたてていますが、河野談話こそ幕引きにしてはなりません。政権の判断は別として、国民の代表たる国会は引き続き、真相解明を続けるべきです。
次に行うことはただひとつ、河野氏を国会に招致して真相を確かめることにほかなりません。しかし、それは自民党が応じていないために実現していません。この対応には到底、納得できませんので、今回はこの問題を取り上げたいと思います。
まず、検討チームの報告書で明確になったポイントは(1)韓国の元慰安婦への聞き取り調査の結果について裏付けは行わなかった(2)日韓両政府は水面下で談話の文言を調整した(3)韓国側は文言の修正を要求したうえで、「応じなければポジティブに評価できない」と通告した(4)日本側は「調査を通じて『強制連行』は確認できない」と認識していたが、韓国側から慰安婦募集の強制性の明記を求められ、「軍の要請を受けた業者がこれに当たった」「総じて本人たちの意思に反して」という表現で決着した−という点です。
(1)と(2)は産経新聞が報じてきた通り、事実確認が行われないまま、日本政府としての発表に韓国政府が介入して談話が作成され、発表されたことを認めています。そして(3)、(4)、(5)からは、韓国政府が談話の内容に強圧的に介入し、それを当時の日本の政権が受け入れてしまった経緯がよく分かります。つまり、談話の内容は「事実」ではなく、「韓国政府の意向を反映した」ものであることがはっきりしたわけです。
それにもかかわらず、歴代政権は河野談話を「事実」として継承し、韓国に謝罪し続け、国内外に誤った認識を定着させてきました。韓国との関係は談話で改善するどころか、韓国はいまだに慰安婦問題を反日攻撃の材料にしていますし、世界の一部からは「日本はレイプ国家」とさえ言われています。
その談話をわれわれだけではなく、次の世代にまで引き継がせてしまっていいのでしょうか。いいわけはありません。当然、報告書発表翌日の産経、読売両紙の社説は「事実に目をつぶり、政治決着を急いだ談話の虚構性が一層明確になり、その信頼性が、根本から崩れた」(産経)、「事実関係よりも政治的妥協と外交的配慮を優先したのは明らかで、極めて問題の多い“日韓合作”の談話と言えよう」(読売)として、談話の見直しを求めました。
改めてあきれたのは朝日、毎日両紙の社説です。朝日は「もう談話に疑義をはさむのはやめるべきだ」と主張し、その根拠については「報告書は次のように指摘している。資料収集や別の関係者への調査によって談話原案は固まった。その時点で元慰安婦からの聞き取りは終わっておらず、彼女たちの証言を基に『強制性』を認めたわけではない」ということを指摘しました。しかし、そんなことで「談話の疑義」が晴れるわけはなく、論理的な主張とは言えません。
さらに「日韓両政府に、互いをなじり合う余裕はない。河野談話をめぐって『負の連鎖』を繰り返すことなく、今度こそ問題解決の原点に返るべきだ」としましたが、「負の連鎖」にしているのは韓国であって、日本は真相を解明しようとしているだけです。
日本政府に「正しい歴史認識を」と求め続けてきた朝日こそ、河野談話の内容が事実ではないことが明らかになった今、それに基づいた「正しい歴史認識」を持つべきでしょう。そのために朝日はまず、慰安婦問題で行ってきた数々の誤報を認めるべきです。それをせずしてこの問題を語る資格はありません。
一方、毎日は談話をめぐる日韓両政権間の水面下の文言調整について「韓国が受け入れ可能な内容でなければ意味がないと日本も考えたからだろう。そのことで談話の信頼性や正当性が損なわれたと考えるのは誤りだ。むしろ慰安婦問題の解決に向けぎりぎり譲れる範囲で歩み寄った姿勢を評価したい」と、評価までしてみせました。
毎日は受け入れた主語を「日本」としていますが、それは当時の政権交代がすでに決まっていた宮沢喜一政権であって、決して「日本」でも「日本国民」でもありません。また、「外国との密約」を最も厳しく批判してきたのは毎日のはずです。国民に分からないように秘密裏の交渉を行い、外圧に屈し、事実ではない内容で決着させた談話に信頼性と正当性があるはずはありません。
さらに、毎日は「談話の正当性を巡る論争は一区切りにして、歴史家や研究者に任せよう」とも主張しましたが、マスコミがこの論争を「他人任せ」にするのは無責任です。これまで毎日は河野談話を根拠にして日本政府に「正しい歴史認識を」「韓国に謝罪、補償せよ」と主張してきましたが、その責任には目をつぶって、今後、慰安婦問題は一切報道せず、論争は歴史家や研究者に任せるとでもいうのでしょうか。
責任逃れのために「幕引き」にしようとしているのは朝日、毎日だけではありません。自民党も同じです。報告書提出を受けて、衆院会派「次世代の党」の山田宏氏は今月行われた衆院予算委員会で、河野氏の参考人招致を求めましたが、自民党は「前例がない。河野氏は犯罪行為に関わったわけではない」と、わけの分からない理由で拒否しました。
参考人招致は別に犯罪行為に限られるわけではありません。いろんな問題の真相解明のためにこれまで何度も行われてきました。日本国民の尊厳や日韓関係にとって重大な問題となっている慰安婦問題の真相解明のために、河野氏を招致するのは当然のことです。
それに河野氏は報告書提出翌日の6月21日、山口市内での講演で、報告書について「引くべき所も足すべき所もない。すべて正しい」、慰安婦募集の軍の強制性についても「当時、軍の慰安所があったのは事実だ。中に入ってしまえば軍の命令には逆らえない。そうした意味での強制性があった」などと、言いたい放題言っているではありませんか。それなら、国会に来てもらって責任ある証言をしてもらおうではありませんか。
自民党が河野氏の招致を拒否しているのも、自らの過ちから逃れたいがためのことです。しかし、自民党が下野を経験し、安倍政権のもとで真の保守政党になろうとするなら、過去の反省に立つべきです。山田氏をはじめ与野党の保守系議員には秋の臨時国会でも引き続き、河野氏の招致を求めてもらいたいですし、自民党は応じるべきです。
この問題の本質に迫るには、報告書で明らかにされた経緯だけでは不十分です。談話を発表し、その時の記者会見で「強制連行の事実があった」と明言した河野氏から、真相を聴くことは欠かせません。
また、仮にこれで河野談話の問題を幕引きにしても、韓国と本当の意味での関係改善はできないと思います。韓国はこれからも慰安婦問題を日本に対するカードに使い、世界中で日本のイメージを貶める行為をし続けるでしょう。それは自らの国益や内政上の理由から、日本に対して優位に立とうとする外交戦略にほかなりません。虚構に基づいた謝罪など日本の国益と尊厳を失うだけです。
集団的自衛権行使の問題もそうですが、もういい加減、これまでの「ごまかし」の外交や安全保障から脱却して、国際社会の現実を踏まえた国になろうではありませんか。
[ZAKZAK(夕刊フジ) 2014/07/28]
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