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前原誠司・元民主党代表は「民主党の単独再建は難しい」と語る。(写真=AFLO)
「野党を再編して、政権の受け皿になる意思を持つ」 −前原誠司(元民主党代表)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140728-00013096-president-bus_all#!bolR0e
プレジデント 7月28日(月)12時15分配信
■海江田代表の総括を見て判断する
【塩田潮】自民党圧勝・野党大敗となった前回の総選挙から1年7カ月余が過ぎ、次の衆参の選挙をにらんで、自民党に対抗できる新しい野党勢力の結集が議論になっています。橋下徹大阪市長が率いる日本維新の会と、江田憲司代表の結いの党の合流がほぼ確定しました。一方、民主党は自主再建派と野党再編派が併存していますが、野党再編派のリーダーの前原さんは、今後の野党再編をどう展望していますか。
【前原誠司(元外相)】われわれは野党再編を声高に叫び、執行部にも訴えてきました。執行部はようやく重い腰を上げ、野党の党首会談を始めましたが、それが本当に政策と選挙の協力、あるいは統一会派の結成、将来の合流につながっていくかどうかです。
民主党の単独再建は、残念ながら、なかなか難しいと思います。衆議院の解散権は安倍晋三首相が持っているわけですから、もし総選挙に突っ込んだ場合、再建派の路線では、議席を減らすのは火を見るよりも明らかです。小選挙区は一対一の戦いです。支持率の高い自民党に、各小選挙区で2〜4万の公明党支援団体の票が付いています。今の低支持率の民主党では戦えるわけがない。その上、ほかの野党が同じ選挙区で出てきたら、潰し合いとなる。強い自公は本当に左団扇の選挙となります。
野党側は政策、考え方、理念を一致させた上で協力・再編をしっかりやっていく。一方で、安倍内閣は現在、不支持率が40%以上あるわけですから、現政権の受け皿になるという意思を持つことが必要だと思います。
【塩田】維新の浅田均政調会長(大阪府議)は「僕らと前原さんとは考え方が極めて近い」と語り、エールを送っています。一方、前原さんは橋下・維新と将来、合流する可能性について、読売テレビの番組で「100%」と発言して話題を呼びました。真意はどこに。
【前原】維新だけではなく、政策・理念が共有できれば、みんなの党や他の野党とも 100%、合流して、自公政権とがっぷり四つを組める態勢を整えることが大事、と申し上げたわけです。維新とだけ組むとか、私が民主党を出て維新と組むとか、そういうことではありません。野党の「大きな家」を造って自公と対峙するという意味です。
【塩田】民主党内には海江田万里代表(元経産相)の交代を求める声もあり、来年9月の代表任期満了を待たずに代表選を前倒しして実施するように主張する人たちもいます。6月24日に民主党両院議員総会が開かれましたが、決着は先送りとなりました。
【前原】昨年7月の参院選で敗北を喫したとき、代表は退陣すべしという声が出て、その際に海江田さんご自身が「1年、やらせてほしい。1年で目に見える成果がなければ辞任する」とおっしゃった。その総括をしっかりやっていただくことが重要です。6月24日に「7月の終わりにもう一度、総括の場を設ける」と言った。自ら発した言葉に責任を持って、どう総括するか、どういう発言をするのかを見て判断したと思います。
【塩田】海江田代表の党再建への取り組みについて、今の時点で、どんな採点ですか。
【前原】支持率が低迷しているのは厳然たる事実だと思いますね。それ以上は、ご本人が総括をされた後に意見を申し上げたい。今は言うべきではないと思います。
■橋下さんとはケミストリーが合う
【塩田】5月24日に京都で橋下さんと江田さんと3人で会食したという記事を読みました。どんな目的で会合を持ち、どういうお話を。
【前原】橋下さんとは定期的に大阪と京都で交互に食事をしています。私が政調会長だった3年くらい前からでしょうか。5月24日の会合は、次は京都でという話のとき、橋下さんから「江田さんもいいですか」と言われました。
別にそこで何かを決めるという会合ではありません。維新と結いの党の統一会派問題でもめていた時期で、私は傍観者的に二人の話を聞いていた。その後、橋下さんは結いの党とまとまるために維新を分党しました。その一つの議論があそこで、ということだと思います。橋下さんは分党については何もおっしゃっていませんでした。石原慎太郎さん(現衆議院議員。元東京都知事)たちが結いとの合併・合流に反対しているので、むしろ新党結成は先送りして、統一会派でやろうじゃないかという話をしていましたね。
【塩田】もともと橋下さんとはいつから、どういうことで付き合いが始まったのですか。
【前原】初めて出会ったのは鳩山由紀夫内閣で私が国土交通相だったときです。大阪府知事だった橋下さんから、関西国際空港をハブ空港にしてほしいという要望を受けました。こちらから「羽田空港をハブにして国際化する。伊丹空港と関空を統合して運営会社を一つにして民間に任せるので協力してほしい」と持ちかけたら、全面的に協力してくれた。
伊丹空港のターミナルビルは大阪府や大阪市が権利を持っているけど、一体にしないと統合した会社の運営権の価値が下がる。これを出してほしいと言ったら、快く出してくれました。そういう意味では、ケミストリーが合う(相性が合う)というか、改革を進めることについて、納得した点は協力してくれる。もちろんすべてで意見が合致するわけではありませんが、改革志向ということでは、ともに仕事をしてきたという自負があります。
【塩田】政治リーダーとして橋下さんのどこを評価していますか。
【前原】私も含めて、百点満点の人間なんていません。ですが、日本の問題点を解決したいと考え、そのために自ら行動し、実践していくということをやってきた人だと思う。今のままではいけないというところを改革する。民間の知恵を利用して実践する。そこはまったくケミストリーが合っていると思います。
【塩田】民主党政権時代、政権担当から得られた教訓はどんな点ですか。
【前原】民主党は自由党と一緒になり、「非自民・反自民」で自民党を追い落とすことに血道を上げて政権まで登り詰めたけど、政策・理念を詰め切れていなかったため、後で政策・理念の不一致が不協和音になり、まとまりのない与党になってしまった。
もう一つは、ガバナンスがなっていなかった。長年、与党にいる自民党は、民主党と同じようにいろいろな考え方の人がいて、「俺が俺が」というタイプの人たちがいるけど、まとまるときには最後はまとまるという知恵を持っている。そのガバナンスの能力がわれわれに足りなかった。言い方を変えれば、フォロワーシップの足りなさだと思います。
■国民の幸せのための政治になっていない
【塩田】2度目の首相の安倍さんの政治をどう見ていますか。
【前原】デフレ脱却・経済再生を前面に打ち出し、日本銀行総裁を交代させて、国民のマインドも変えた。その点は評価します。私も野田佳彦内閣で経済財政担当相をやっていたので、日銀による金融緩和という安倍政権の方向性は間違っていないと思う。
ただ、新規発行国債の7割を日銀に買わせた。円安と同時に、輸入価格の高騰などもあり、ダブついた資金が土地や金融商品に回れば、将来的にはバブルになる懸念があります。結果的に中小企業への皺寄せや一般の国民の生活費上昇という副作用が出ています。
私は社会主義者ではありませんので、自由競争が大事だと思いますが、あまりにも大企業優遇に偏りすぎています。法人税減税自体を否定しませんが、消費税を上げたタイミングで法人税だけ下げて、それで財政再建をどうやって実現するのか。企業側に内部留保が 300兆円以上もあるのに、法人税減税をやる意味があるのかどうか。一方、ホワイトカラー・エグゼンプション(例外)ということで、一定の年収以上の人の残業代はゼロにするという施策も打ち出していますが、国民の幸せのための政治というよりも、企業を儲けさせる成長戦略の歯車の一つにしようとしているのでは、という懸念を持っています。
他方で、日本は人口減・少子高齢化という構造問題、莫大な財政赤字の問題を抱えていますが、これについての切り込みは非常に弱いというのが私の印象です。
【塩田】安倍首相は7月1日、集団的自衛権の行使を認めるための憲法解釈変更を閣議決定しました。この問題に関して、前原さんは安全保障基本法の制定を唱えていますね。
【前原】私は集団的自衛権には必要なものもあると思っています。安全保障基本法は、私が民主党代表だった2005年に憲法提言を出したとき、そういう法制をつくるべきだという考え方を決めた。その後、与野党共同で有事法制をまとめる際、私が野党の責任者で、自民党側と合意に至るときに、名称は違いますが、安全保障に関わる緊急事態基本法をつくるべきだということになった。それ以来、ここまでずっと続いている話です。
集団的自衛権を認めるなら、その考え方、範囲、それから今までの専守防衛、非核3原則、武器輸出に関わる原則など、日本の安全保障政策について、基本的な考え方をしっかりと書いた安全保障基本法が必要だと言い続けてきました。
【塩田】自民党でも、石破茂幹事長は、同じように安全保障基本法の必要性を説いていましたが、安倍内閣はそれよりも自衛隊法改正などの関連法案の整備を目指しています。
【前原】そうですね。向こうから出てくる法案は精査したいと思います。今までは憲法解釈が歯止めだったという面が事実としてあった。集団的自衛権の行使を認めても、地球の裏側の戦争には参加しないと政府は言っていますが、やるのでは、と危機感を持つ国民も多い。安全保障基本法でその場合の考え方を決めることが大事です。自民党にも同じ考え方の人がいますので、われわれ野党の提言に真摯に耳を傾けていただきたいと思います。
【塩田】民主党には、集団的自衛権問題で前原さんと考えの異なる人もたくさんいます。
【前原】安全保障について、従来から党の中で議論が行われてきました。先述の有事法制をまとめる際も相当、苦労した。政権を担ってからも、安全保障に関わる考え方、普天間の問題などで意見が分かれました。ですが、集団的自衛権の問題については、党の「次の内閣」で丁寧にこの見解をまとめ、党として承認しています。私と違う意見の人たちがいるのは事実です。後は具体的に法案が出てきたとき、どうやってまとめるのかが問われると思います。かつて有事法制をまとめたわけですから、しっかりと議論すればまとめられるという自負があります。同じ方向でまとめることができれば、と思っています。
■健全な民主主義を機能させるのは野党の役割
【塩田】「1強多弱」といわれる現在の政党政治の状況をどう受け止めていますか。
【前原】前回の総選挙の結果は、3年3ヵ月の政権担当に対する国民の厳しい通信簿ですから、真摯に受け止めなければなりません。ですが、安倍政権誕生後の1年半で、負の側面もたくさん出てきています。健全な民主主義を機能させるのは、野党第一党のわれわれの役割です。野党をまとめていく上で、民主党の使命は大きいと思います。
安倍政権となった後、野党はもっと政策面で協力ができればよかったと思う。その点については不十分な面があった。ただ、私が担当している行政改革については進展がありました。私は今、民主党行財政調査会長を拝命していて、行革について民主・維新・結い・みんな・生活の党・新党改革の6党で行革推進のプラットフォーム法案をつくりました。政策面でもっと野党間で協力できないかと思い、代表、幹事長、政調会長に提言して、私が政策責任者となってスタートした。行革については野党間で一定のまとまりのあるものができたと思っています。基本的な考え方のすり合わせができています。将来の協力、合流に向けて、政策面で一致するための努力を続ける必要があると思います。
【塩田】民主党には官公労を支持基盤にする人もいます。維新には「野党再編といっても、官公労系はダメ」という声が強い。実際に行革を進める段階になると、抵抗勢力や既得権益集団との戦いが勝負となりますが、壁が大きいのでは、という懸念があります。
【前原】政権担当時、われわれは事業仕分けや公共事業費の削減など、行革はかなり進めてきました。国交相のとき、公共事業費の削減に先鞭をつけて3年間で32%、カットした。政調会長のときは厳しいやり取りをして、国家公務員の給与を7.8%下げた。連合(日本労働組合総連合)と激しく議論しましたが、実際にやり遂げました。支援団体の中に公務員の組合があるから、行革はまったくできないという見方は、ステレオタイプの批判です。政権担当期にやったことを見てもらえば、成果を上げたものもあります。
【塩田】今後、野党再編を進める上で、「行革」が中核的なテーマとなりそうですか。
【前原】その一つですね。無駄を削る行革、国と地方の関係の見直しは大きなテーマだと思います。それから財政再建と歳出改革の問題、経済政策、安全保障政策、エネルギー政策ですね。今の安倍政権は小泉純一郎元首相の政権につながる新自由主義の面がありますが、それとは一線を画する道です。新たな雇用、新たな成長分野を見出すような方向性で、野党は基本的に一致できるのではないかと私は思っています。
【塩田】安倍首相の手で次の解散・総選挙が行われた場合、安倍首相は、総選挙後に宿願の憲法改正を実現するため、総選挙で進んで改憲の是非を争点にするのではないかと見られます。そうなれば、野党側も憲法問題に対して答えを書き、国民に示さなければなりません。今後、野党再編を進めるときに、憲法改正問題が与野党の対立軸として大きなテーマになるのではないかと思われます。
【前原】われわれは改憲の中身について是々非々です。創憲という立場で、今の憲法をすべて守るということではありません。議論に乗れると思います。憲法改正については、社会党や共産党以外は、全部、「いいよ」と言うんじゃないですか。それぞれの党が憲法改正について案を出せばいいわけですから、憲法改正は総選挙の争点にはなり得ないと思う。
憲法改正の発議には、衆参両院でそれぞれ総議員の3分の2以上の賛成が必要です。選挙の争点にしなくても、自民党と公明党が憲法案を出してくれば、われわれは中身の議論に応じます。われわれの賛同を得なかったら、3分の2に届かないから、ドンと構えていたらいいんですよ。こちらは、まず自民党と公明党でまとめて下さい、と言えばいいんです。多分、まとまらないんでしょう。それでいいですよ。野党再編との関係でいえば、憲法改正の中身についてはある程度、議論しておけばいいんじゃないですか。
それよりも安倍さんが進める経済政策で地方の凋落、格差の拡大、社会の二極分化がさらに進むことにどう対抗するかが選挙の争点になるべきです。国民は社会保障や日頃の生活に重きを置いています。憲法改正は一義的に国民の関心事にはなりません。
■野党再編に道筋をつけることが天命・使命
【塩田】野党再編のスケジュールですが、来年4月に統一地方選挙があります。そこで各野党が敵味方に分かれて戦うと、再編が難しくなるのでは……。
【前原】スケジュールについて、よく聞かれますが、私は「Nobody knows」と言っています。統一地方選との関係でいえば、これは小選挙区制ではなく、中選挙区制や大選挙区制ですから、ある程度、野党同士で戦わざるを得ない面があると思います。
【塩田】衆議院の解散権を持つ安倍首相が野党再編の動きをにらみながら、先手必勝作戦を考え、野党側の機先を制する形で総選挙を打ってくることも考えられます。
【前原】それはそのとおりです。安倍首相は野党再編をにらみつつ、解散をどこで仕掛けるかを考えていると思います。私は野党再編が進めば、解散・総選挙は遠のくかもしれないと見ています。野党再編が停滞すると見たら、私が首相だったら解散しますね。そういう意味では、安倍首相の考え方に立って、どう野党協力・野党再編を進めるか、緊張感を持って考える必要があると思います。
【塩田】野党再編の進め方ですが、まず統一会派を、とお考えですか。
【前原】統一会派も一つの選択肢と言っていますが、統一会派が必須とは言ったことがありません。とにかく政策・理念で一致できるところで協力する。統一会派もあれば、合併して一つの政党になることもある。
【塩田】一番の問題は、やはり民主党です。一体となって新しい政治勢力に結集できるかどうか、党内を説得し切れるかどうか、説得できないときには党を割ってでも野党再編に突き進む覚悟があるかどうかが問われます。
【前原】政権担当時、政務三役や党の要職に就いて立派に仕事をした人たちがいます。野田前首相、岡田克也さん(元副総理。元外相)、玄葉光一郎さん(元外相)、枝野幸男さん(元官房長官)、安住淳さん(元財務相)、細野豪志さん(前民主党幹事長)、松本剛明さん(元外相)など、すごく能力ある人たちです。これからもこの人たちと一緒にやっていきたいと思います。
【塩田】前原さん自身は、野党再編でどんな役割を果たさなければ、と考えていますか。
【前原】党の内外を問わず、さまざまな人脈を駆使してまとめ上げることが大事です。そのために、次に自分にどういう役割があるのかは、まったくわかりません。私心を捨て、野党再編、野党協力に道筋をつけることが、今、私に課された天命・使命と思っています。
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前原誠司(まえはら・せいじ)
元民主党代表・元外相・衆議院議員
1962年(昭和37)年4月、京都市左京区生まれ(現在、52歳)。京都教育大学附属高校、京都大学法学部卒。松下政経塾に第8期生として入塾。28歳で京都府議に当選し、1期目の途中で総選挙に出馬。旧京都1区から日本新党の公認で出て初当選した。現在7期目。09年9月、民主党政権の発足で、鳩山内閣の国交相に就任し、10年9月に菅内閣で外相となったが、11年3月に在日外国人からの政治献金問題で辞任した。8月から民主党政調会長、12年1月から野田内閣の国家戦略担当相(経済財政政策担当)を務めた。民主党内で凌雲会(前原グループ)を率いている。民主党リーダー「6人衆」の一人。鉄道ファンで、時刻表マニア。SLの写真撮影が趣味。著書は『日本を元気にする地域主権』(PHP研究所刊)、『政権交代の試練』(新潮社刊)など。
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ノンフィクション作家 塩田潮=文 AFLO=写真
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