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国際公約という「詐術」 〜安倍政権の常とう手段
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2014年7月26日 東京新聞:こちら特報部 俺的メモあれこれ
集団的自衛権行使を容認する閣議決定を受け、政府・与党は自衛隊法など関連法「改正」を来春以降に見定めている。約10カ月間の間隔は知事選や来春の統一地方選への影響を避けるためとみられがちだが、その間に各国首脳に根回しし、既成事実化することが狙いという指摘もある。つまり、国際公約で国内議論を空洞化するという手法だ。この手法は、安倍政権下では常とう手段になっている。(上田千秋、榊原崇仁)
◆反対できぬ環境づくり狙う
「(安倍政権が)集団的自衛権行使の関連法案の提出を先送りする理由として、福島や沖縄の県知事選、統一地方選への影響などが指摘されている。しかし、実は他にもある」
元経済企画庁長官で、福山大客員教授の田中秀征氏はそう語った。「(同政権は)先送りしている間に『日本は集団的自衛権行使を容認する』ことを国際公約に仕立て、『世界に約束したから』を主な口実にして、法案を押し通そうと考えているはずだ」
政府は当初、今秋の関連法案提出を目指したが、今月16日に来年1月召集予定の通常国会に提出する方針を決めた。審議が始まるのは、統一地方選後の5月ごろになる見通しだ。
現在は政権の強引な手法に反発する世論が強く、消費税増税による経済失速も否定できない。「何でも簡単に法案が通るような状況にはない。今秋の臨時国会で審議すれば、関連法案が暗礁に乗り上げ、軌道修正を迫られることもあり得る」(田中氏)。だから「空白の10カ月」を設け、その間に国際公約化を図ろうとしているのだという。
実際、安倍首相は1日の閣議決定後、6日からニュージーランド、豪州、パプアニューギニアのオセアニア3カ国を巡り、解釈改憲の意義を説いた。さらに最重視するのは、年末に予定されている日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の再改定とみられる。
田中氏は「政権は『日米ガイドラインは条約に準ずる2国間の約束』と位置付けているはずだ。集団的自衛権行使容認の方向で、ガイドラインを改めておけば『これだけ重要な約束は破れない』『関連法案は通さないといけない』と訴えるに違いない」と説く。
国際公約の重みで、特定の方針を具体化しようとする手法は、そもそも官僚の常とう手段でもある。
「官僚は折に触れて首相をなだめすかし、自分たちの意向をすり込む。そのうえで官僚が望む方針を国際社会に発信させ、後戻りできなくする。外務省や財務省にその傾向が強い。国民と国会を軽視した許せないやり方だ」(田中氏)
たしかに昨年9月の段階で、安倍首相は国連総会で「積極的平和主義の立場から、国連の集団安全保障措置に積極的に参加できるよう測っていく」と宣言。
法人税減税をめぐっても、今年1月の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の基調講演で首相が意欲を示した後、政府の経済財政諮問会議の議論、先月の閣議決定へと移った。
原発や武器の輸出もそうだ。国内の反対が根強いのに、首相自らトップセールスに走る。環太平洋連携協定(TPP)をめぐる交渉でも、国内での議論は二の次になっている。
◆「一方的宣言に拘束力なし」
国内議論より、国際公約を優先するという政権の姿勢は、首相の外遊回数に如実に表れている。
歴代首相の外遊回数は2007年以降、09年を除いて毎年7〜9回で推移していた。それに比べて安倍首相は突出して多く、一昨年12月の就任から1年7カ月ですでに22回を数える。今月25日には、23回目の外遊先となるメキシコなど中南米5カ国に向けて旅立った。
首相の外遊は国会議員や関係省庁の職員が数多く同行するため、費用がかさみがちだ。鈴木貴子衆院議員(新党大地)が提出した質問主意書に対する政府の答弁書によると、昨年1月にベトナムなど3カ国を訪れた際の総費用は約1億200万円。期間などでばらつきはあるものの、1回当たり少なくとも数千万円はかかっているとみられる。
異例のハイペースに、昨年度は外務省の予算(防衛省が所管する政府専用機の運航費は除く)が足りなくなり、他省庁の予算から1億5000万円を補填(ほてん)する事態になった。
こうした国内での議論を軽視する政権の姿勢に対し、批判は少なくない。
NPO法人「アジア太平洋資料センター」(東京)の内田聖子事務局長は「首相の出席が求められる国際会議が組み込まれている外遊は全体の2〜3割。その他は自主的に行っているだけだ。本来ならそうした時間を、特定秘密保護法や集団的自衛権といった重要案件の議論に費やすべきだったのに、おろそかにしている」と指摘する。
元駐レバノン大使の天木直人氏も「首相が訪問しなくても、官僚が行けば済むような例が目立つ。国内にいないことで、重要な課題から逃げようと考えたとしか思えない」と話す。
問題は、こうした国際公約にどれほどの重みがあるのかという点だ。
天木氏は「いくら海外で首相が何かを言ったとしても、自国民が反対すれば、政策が変わるという事情はどこの国でも一緒だ。国際公約に縛られる必要は何らない」と解説する。
早稲田大の斎藤純一教授(政治学)も「条約などとは全く違う。国際会議などの場で一方的に宣言をしただけで、拘束力があるかのように思わせるのはおかしい」と批判する。むしろ、首相の国際公約を押し通すことで、世界から信頼を失う懸念すらあると話す。
「これまで日本は憲法9条をはじめとして、海外で武力行使をしないと公言してきた。『あの約束をほごにするのか』と思われる方が深刻だ」(斎藤教授)
集団的自衛権の行使容認以外にも、安倍政権が今後、国際公約を楯にして強引に推し進めてくる課題がありそうだ。最も懸念されるのは、犯罪を計画・準備した段階で処罰対象になる「共謀罪」だろう。
政府はこれまで、同罪の創設を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を3回、国会に提出したが、いずれも世論の強い反対で廃案になっている。政府は「共謀罪は国際組織犯罪防止条約を締結するために必要。国際社会の強い要請がある」と主張している。近い将来、4回目の提出に踏み切る可能性は否定できない。
国会は衆参両院とも与党が過半数を占めている。しかし、斎藤教授は「集団的自衛権行使の容認も、国会で十分に審議されていない以上、民主主義のあり方として正当とは言えない」として、こう訴える。
「今秋には二つの知事選、来春には統一地方選がある。国民の命、安全にかかわる問題である以上、地方選であっても争点にすればいい。繰り返し、政府に問うていく必要がある」
[デスクメモ]
一国の宰相を「社会性が欠落している」と評するのは失礼だろうが、そう思わざるを得ない。自ら推進した原発政策が破綻し、深刻な汚染が広がった。その危険を「風評被害」とすり替える。外国で勝手にアレコレ約束し、異議が出ると「日本の信用が損なわれる」。自らの責任は不問。国民の姿も見えない。(牧)
2014年7月26日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014072602000134.html
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