37. 2014年8月19日 05:55:38
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フォーラム21 宗教と社会のかかわりを考える 月刊誌 8月号投稿日: 2014年8月13日 作成者: okkotu http://forum21.jp/ 特集記事 投稿日: 2014年8月13日 作成者: okkotu 特集/現した馬脚の糊塗に腐心する創価集団と応援団 (記事の一つ) 閣議決定の“解釈改変”に血道を上げる「佐藤優」と「公明党=創価学会」 古川利明 ジャーナリスト 「ナチスの手口」に学び平和憲法の効力を抹殺 集団的自衛権の行使容認を巡る解釈改憲の問題は、7月1日に安倍内閣が臨時閣議を開き、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」と題した文章について、閣議決定を行った。これにより、「戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認」をうたった「憲法第九条の空洞化」は、さらに進む見通しとなった。 この閣議決定文は、一読して何のことかさっぱりわからないところの連続なのだが、とにかく、首相・安倍晋三の言う「積極的平和主義」の旗の下、アメリカの要請に基づく自衛隊の海外派兵を推進すべく、今後、「切れ目のない対応を可能とする国内法制の整備を行う」という意志を、明確に表したものである。
具体的には、自衛隊法や周辺事態法など十数本の法律が見込まれている。解釈改憲とは、このように、本丸の憲法自体に手をかけるのではなく、その外堀にある多くの法律を変えていくことで、憲法そのものの機能を停止させることである。
ただこれまでは、自衛隊の海外派兵については、テロ特措法やイラク特措法、給油新法といったように、個別の案件ごとに立法措置を講じてきた。しかし、今後はその「切れ目のない対応を可能とする」という文言にあるように、「いつでも自衛隊を海外に出せるような恒久法の体系を作る」ということなのである。まさに、副総理兼財務相の麻生太郎が「あのナチスの手口に学んだらどうか」ともらしたように、ナチス・ドイツが、議会に代わって政府が法律を制定できるようにした全権委任法を、クーデターまがいの手法で成立させたことで、ワイマール憲法を死文化させたのと同じ方法で、今、平和憲法の効力を抹殺しようとしているのである。もちろん、これは安倍自民党と連立組む公明党(=創価学会)の強い後押しがあって実現しているのである。
問われるべきは公明党の「不作為の罪」
今度の問題では、「集団的自衛権の行使容認を押し進める自民党vsそれに歯止めをかけようとする公明党」の図式で、新聞やテレビをはじめとするマスメディアは捉え、中にはあたかも公明党(=創価学会)が「平和憲法を守る最後の砦」とみなす論調さえあった。「論客」といわれている中で、「それ」を強く主張してたのが、元外務省主任分析官の佐藤優である。
佐藤は、閣議決定翌日の7月2日付東京新聞朝刊のコラムで 「今回、創価学会を母体とする公明党が連立与党に加わっていなかったら、 即時、戦争ができる閣議決定になっていたと思う」と、彼らを高く持ち上げている。 そのうえで、7月13日付朝日新聞朝刊の連載「集団的自衛権を問う」では、 「私の解釈だ」としながらも、「『集団的自衛権』という名前にこだわる 首相の顔を立てながらも、公明党側は実をとった。 個別であれ、集団であれ、『自衛のためでなければダメ』と縛りをかけて 集団的自衛権に踏み込むことを封じ、集団安全保障措置も『行かない』と縛りをかけた。 国連で決議しても戦闘のために自衛隊を動かせなくなった」として、 「むしろ、集団的自衛権の行使による自衛隊出動は遠のいたと私はみている」と述べているのである。 こうした佐藤優の発言に呼応するかのように、公明党代表の山口那津男も、
また妙なことを言い始めているのである。 7月8日付東京新聞朝刊のインタビューで、「なぜ集団的自衛権の行使を認めたのか」
との質問に「いわゆる集団的自衛権を認めたわけではない。 武力行使を認めるのは、自国を防衛する場合に限った」と述べており、 さらに、『週刊朝日』7月25日号の独占インタビュー(「連立離脱『心配でできない』」) でも、同様の発言を繰り返している。 これらをまとめて論駁、批判すると、まず佐藤の主張では「即時、戦争ができる閣議決定になっていない」
だが、それは今後、関連法案の成立があって、初めて「解釈改憲の一丁上がり」となるわけで、 公明党が連立与党に加わっていたかどうかとは別次元の話である。 むしろ、彼らは「連立離脱カード」を安倍に突きつけて、今回の閣議決定を阻止するのがスジだが、 それすらしなかった「不作為の罪」をたしなめければならない。 じつは、これは閣議決定文の第3章のタイトルを「憲法第9条の下で許容される自衛の措置」と、
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ わざと「自衛の措置」という、わかりにくい表現を使っているところから来ている。 というのは、与党協議の過程で、「戦争=自衛隊の海外派兵」ということに直結する
「集団的自衛権」という言葉を、できるだけ使いたくない公明党(=創価学会)の立場を配慮して、 いかようにも取れる、この「自衛の措置」という表現にしているのである。 自民党側からすれば、ここで言う「自衛の措置」とは、「集団的自衛権」はもとより、 さらにもう一歩踏み込んだ「集団安全保障」のことである。 ところが、その与党協議で出てきた15事例で、「公海上における米艦の護衛」や 「米国に向かうミサイルの迎撃」「戦争中のホルムズ海峡での機雷除去」は、何と、 「個別的自衛権」や「警察権の適用」で済むと公明党は主張してきている。 何度でも言うが、与党協議で自公がやってきたのは、「机上の空論」のレベルを超え、 強弁と詭弁をぶつけ合うだけの茶番劇そのものだったのである。 最大のミソは、「平和の党」を看板に掲げながら、そうやって自衛隊を米軍との共同作戦の下、 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 海外に出していくことそのものには、公明党はまったく歯止めをかけようとしていないことである。 佐藤優と二人三脚で強弁する公明党の欺瞞
公明党(=創価学会)の片棒を担いでいるとしか思えない、佐藤優の妙な言論は、まだある。 7月11日付東京新聞朝刊の「本音のコラム」で、6月10日に米ワシントンで内閣官房参与の飯島勲が行った講演での、例の「いざとなったら、自民党は、いつでも政教一致問題を突くぞ」という旨の発言を念頭に置いてのことだろうが、彼の盟友ともいえる新党大地代表の鈴木宗男の長女である衆院議員の鈴木貴子が提出していた質問主意書に対して、6月24日に閣議決定された答弁書の内容が紹介されている。要は、飯島が実際に発言していた「内閣法制局の発言を担保に、その積み重ねで『政教分離』ということに、現在なっている」のくだりを再確認したものだが、これを受けて、佐藤は「この原則を安倍政権が再確認してくれたおかげで、『宗教団体や信仰を持つ者が政治に口出しするな』という状態を近未来に生じることはなさそうだ」と書いている。
しかし、これらのやりとりは、政治的には非常に機微な案件である。要するに「公明党と創価学会の政教一致の問題を、当面、安倍自民党が突くことはない」と答弁書で暗にほのめかしたのであるが、本来であれば、これは公明党が質問主意書を出すべき筋合いのものである。そこらあたり、信濃町本体から佐藤に依頼があったのか、それとも、いわゆる以心伝心ということで、佐藤らが忖度したかは知る由もない。いずれにしても、「公明党=創価学会」としては、国会で突かれたら最も困るアキレス腱の話を、このように助け舟を出していること自体、彼の言論人としての公正中立性ということについて、深い疑問を抱かざるを得ない。
公明党は昨年夏の参院選で、「安倍自民党のブレーキ役になる」とさんざん言っていたし、この集団的自衛権の行使容認についても「断固反対」と主張していた。そして、連休明けの通常国会で、この問題がクローズアップされてくると、右往左往を見せながらも、「閣議決定賛成」に舵を切った。ところが、この期に及んで、その閣議決定の“解釈改変”に乗り出し、学会シンパの言論人である佐藤優と二人三脚となって、「いわゆる集団的自衛権を認めたわけではない」と強弁するに至っては、呆れるより他はない。それゆえ、「踏まれても、どこまでも付いていきます、下駄の雪」としての行動も、今後、さらに拍車がかかると思われる。我々良識あるジャーナリズムは、そうした彼らの欺瞞に対して、徹底した批判を加え続けなければならない。(文中・敬称略)
古川利明(ふるかわ・としあき)1965年生まれ。慶応義塾大学文学部卒。毎日新聞、東京新聞(中日新聞東京本社)記者を経て、フリージャーナリスト。『システムとしての創価学会=公明党』『シンジケートとしての創価学会=公明党』『カルトとしての創価学会=池田大作』『デジタル・ヘル サイバー化監視社会の闇』『日本の裏金(上、下)』『ウラ金 権力の味』『「自民党“公明派”」10年の功罪』『「自民党“公明派”」15年目の大罪』(いずれも第三書館刊)など著書多数。 |