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2014.07.23 「日本」の解き方
自民党の有志議員は18日、携帯電話への課税を検討する議員連盟「携帯電話問題懇話会」(議連会長・中山泰秀衆院議員)を設立した。「携帯電話税」が浮上する背景や課税の妥当性について考えてみよう。
この話は、自動車税のように、その所有者に課される税金という発想で出てきたようだ。もちろん、法人税減税のための穴埋め財源でもある。
中山議員は「欧州ではパソコン一台一台に課税する事例がある」というが、内国税としては筆者は寡聞にして知らない。内国税ではなく、関税であれば欧州内の通関時に個人利用以外のパソコンが「課税」されるときもある。今回の携帯電話への課税は内国税であろうから、内国税としてのパソコン課税があるのであれば、教えてもらいたい。まして、携帯電話への課税例も聞いたことがない。
もちろん、海外に例がなくても、税法案を国会で提案し、それが成立すれば、誰もが認める立派な法律である。ただし、経済政策としては、一般的な租税原則(簡素、公平、中立)を満たすべきだ。中山議員が想定している自動車税は、自動車重量税との二重課税になり租税原則から逸脱しているという批判がある。
これは、携帯電話税にも当てはまる。まず、税という名目ではないが、すでに事実上税と同じ電波利用料がかかっている。これは電波の公共性に着目した利用料であり、携帯電話だけではなく電波利用者が負担している。
ただし、携帯電話は1台がそれぞれ無線局という扱いになっており、携帯電話1台当たり年200円だ。放送事業者で50億円程度だが、携帯電話利用者は1ケタ大きな500億円程度の負担になっている。その上、携帯電話税が導入されたら、タックス・オン・タックスになりかねない。
その電波利用料も不徹底である。先進国では、電波オークションが一般に実施され、公正な電波資源の配分が行われるとともに、結果として大きな政府収入になっている。日本では、電波オークションが行われていないので、電波配分が恣意(しい)的で、しかも政府収入は入らない。まず電波オークションが先だ。電波の適正配分と財源の一石二鳥になる。
以上のように、まだまだ携帯電話税は荒削りの段階だ。自民党内の議連はいろいろなものがあり、そこで検討されているからといって、それらがすぐに実現するということではない。
むしろ党内の議連は、議員立法で政策を実現するので、政府提案の閣法を政策の中心とする与党では実現の可能性は低いのが実情だ。特に、税法では各税法との整合性などから、これまで閣法によることがほとんどであり、議員立法によることはまずない。
議連会合に参加したのは15人ほどで、自民党内の関心はあまりない。野田毅党税制調査会長も参加したと報じられているが、「すぐ結論が出ることではない」と先送りを示唆したという。携帯電話税の実現のためには、まだ高いハードルがあるようだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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