http://www.asyura2.com/14/senkyo168/msg/775.html
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転載するロイター掲載のコラムは、日本のメディア報道や米国・豪州の政府見解とは異なり、7月1日の閣議決定内容が周辺国に歓迎されていないことを述べている。
コラムは、「スカボロー礁の領有権を中国と争うフィリピンが、平和主義を放棄した安倍首相の決断を歓迎するのは当然だろう。しかし、他の周辺国は日本の心変わりを、どちらかと言うと凶兆として見ている」とし、「伝統的にベトナムが実効支配してきた海域に中国が侵入しているのは一目瞭然だ。ベトナムの共産党政府は中国との海洋掘削権をめぐる対立で、公正な仲裁役を日本ではなく、ベトナム戦争で戦った相手である米国に期待している。旧日本軍によって国土を踏みにじられた小さな国々は、第2次世界大戦の暗い影を今なお引きずっている。たとえ中国が膨張しているにせよ、日本の動機への疑心暗鬼もまだ消えていない」と説明している。
コラム氏のような見方を私も共有するが、ロイター掲載のコラムで面白いのは、日本が憲法を改正できるのは、従属する米国から自立できたときと匂わせている部分である。
コラムには、「マッカーサー連合国軍最高司令官が成し遂げた最大の功績は、日本が変わったことを周辺国に納得させるには、平和憲法を取り入れることだと時の指導者らを説き伏せたこと」とし、「日本国憲法は、米国憲法と同様、改正を自ら難しく定めている。憲法改正に意欲的とみられる安倍首相が「憲法解釈の変更」を選んだ理由もそこにある」 と書かれている。
これを俗っぽく解説すると、日本は、米国に従属している限り、憲法の改正は許容されないと語ったのである。
このような現実を統治論的に言えば、日本国憲法のさらにその上位に米国支配層の意向があること意味する。
現実の国会の勢力図を考えれば、憲法的には日陰者になっている自衛隊や自衛権問題で安倍首相自身が国会で語ったように個別自衛権の発動さえ憲法で規定されてない現実を変えることができるのに、その動きはない。
屁理屈の域を超えない自衛隊&個別自衛権発動合憲論を流布させることで生じている法論理の瓦解や“知性の歪み”を是正するためにも憲法の改正は必要であろう。
現実はどんどん変化しているのに、憲法(文言)さえ変えなければよしとする共産党や社民党の態度は悲劇的である。
先週の月曜・火曜と行われた国会論戦でも、共産党は、集団的自衛権問題に引きずられて、自衛隊や個別的自衛権の違憲性にはまったく触れなかった。街中に貼ってある共産党のポスター「海外で戦争をしない国に!」(海外では小さい文字)という表現もそのような考えの反映であろう。共産党は、“国内で戦争をするのはやむを得ない”と思っているようだ。
改正内容を「自衛隊と個別自衛権の規定」に限定すれば、憲法改正の発議ができる2/3を超える国会議員の賛同が得られるはずである。
それこそが、身を犠牲にしてでも国家と国民を守ると宣誓している自衛隊隊員に感謝の念を表明している多くの国会議員にとって最低限の勤めであろう。
それさえ、口先だけで、実際に改正を追求していないのが保守政治家を名乗る国会議員たちである。
安倍首相など自民党“伝統的保守派”勢力は、米国との関係で憲法改正ができないことをわかっていながら、「愛国自立保守派」のふりをするために、憲法改正を唱えているのでる。
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コラム:中国けん制に走る日本、「平和主義」は本物か
2014年 07月 17日 16:05 JST
Nicholas Wapshott
[15日 ロイター] - 中国が行進を続けている。正確に言うなら、中国は軍事的にもそれ以外にも、海洋進出を強力に推し進めており、近隣諸国に強い警戒心を抱かせている。それに対し、日本政府は、集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更を閣議決定し、中国の領土拡張主義をけん制した。
しかしながら、日本の行動もまた、周辺国に警戒心を引き起こしている。今から約100年前、日本は侵略への道を踏み出した。日本軍は朝鮮半島やフィリピン、中国大陸やベトナム、タイ、シンガポールまでの広大な地域を占領し、今もって多くの人が当時の残虐行為を記憶している。現在の平和を脅かしているのは中国だが、日本の無謀な冒険主義に対する記憶も、不安をいっそう募らせる要因となっている。
もし安倍晋三首相が、自身の意図の公正さを近隣諸国に納得させたいのであれば、日本が過去の教訓から学び、真に変わったことを示すために取れる行動がある。もしそうした行動を取らないのであれば、集団的自衛権をめぐる政治的駆け引きは、周辺国の神経を逆なですることになり、東シナ海や南シナ海で2国間もしくは多国間の武力衝突が起きる可能性を高めることにもなりかねない。
読者の中には、中国の船舶が南シナ海のスカボロー礁(中国名:黄岩島)に大量の砂を運んでいる写真を見たことがある人がいるだろう。それこそが恐らく、驚異的な経済成長を維持するための資源を強引なまでに追い求める中国の姿を如実に表している。暗礁を埋め立てて新しい島を造ろうとする行動は、国際法の定義がどうあれ、自分たちに領有権があると主張する土地や資源を手に入れようとする中国の決意を物語っている。
スカボロー礁の領有権を中国と争うフィリピンが、平和主義を放棄した安倍首相の決断を歓迎するのは当然だろう。しかし、他の周辺国は日本の心変わりを、どちらかと言うと凶兆として見ている。朝鮮半島で緊張関係が続く韓国と北朝鮮も、日本による占領下での苦い思い出は共有している。彼らは、安倍政権が踏み出した軍国主義回帰への第一歩が必要だとは納得していない。
歴史の素養がある人ならば、伝統的にベトナムが実効支配してきた海域に中国が侵入しているのは一目瞭然だ。ベトナムの共産党政府は中国との海洋掘削権をめぐる対立で、公正な仲裁役を日本ではなく、ベトナム戦争で戦った相手である米国に期待している。
旧日本軍によって国土を踏みにじられた小さな国々は、第2次世界大戦の暗い影を今なお引きずっている。たとえ中国が膨張しているにせよ、日本の動機への疑心暗鬼もまだ消えていない。
周辺国が日本を味方と見るか敵と見るかは、日本が過去にどう向き合うかが鍵となる。
韓国国民にとっては、「従軍慰安婦」問題が最も重大な懸案事項だ。韓国側は日本に謝罪と賠償を求めているが、日本側の中途半端な謝罪と合意形成の失敗が、日韓関係改善への大きな障害となっている。
また歴代の首相による靖国神社参拝も、慰安婦問題と同様に苦痛や懸念の原因となっている。靖国で祀られている戦犯への尊崇の念を繰り返し表明することは、第2次大戦時の軍国主義を生かしておく挑戦的態度と解釈されがちだ。
日本政府に対しては、この問題を蒸し返さないよう相当な国際的圧力がかかってきた。にもかかわらず、安倍首相や過去の日本の総理大臣は、いつまでも同じことを繰り返し続けてきた。
東アジアは岐路に立っている。現在の国際社会では、米国は他国に民主主義を押し付けられないという考えが一般的だ。しかし、日本の戦後の歴史は、こうした悲観的意見とは相いれないものだ。
戦後日本でマッカーサー連合国軍最高司令官が成し遂げた最大の功績は、日本が変わったことを周辺国に納得させるには、平和憲法を取り入れることだと時の指導者らを説き伏せたことだ。そこで作成された日本国憲法は、米国憲法と同様、改正を自ら難しく定めている。憲法改正に意欲的とみられる安倍首相が「憲法解釈の変更」を選んだ理由もそこにある。
広島と長崎への原爆投下から約70年が経ち、国際情勢の変化に伴って従来の平和主義は危険なものに見えるようになった。日本は大きな軍隊を持っているが、憲法の下では専守防衛に徹することが求められており、これまでは米国など同盟国の求めに応じて軍事行動を取ることは許されなかった。
日本では、変化は往々にして象徴的なものにとどまる。日本国民の多くは、平和憲法は今までと寸分たがわず守られるべきだと今も考えている。しかし、日本の周辺海域での中国の威嚇的行動は、日本に課せられた平和主義自体が、平和への脅威になることを教えている。
日本が中国の攻撃的姿勢を阻止することに貢献し、地域での影響力を取り戻すには、過去との決別が不可欠だ。つまりそれは、すべての戦後補償の問題を寛大かつ公正に解決し、過去の過ちに対して深く謝罪することを意味する。また、信奉を正当化できない行動を取った先人たちへの崇拝を断念することを意味する。
日本が国際秩序と世界平和の守護者としての新たな役割を引き受けるには、それが唯一の方法だろう。
*筆者はニューズウィークのインターナショナル・エディター。以前はタイムズ・オブ・ロンドンのニューヨーク支局長を務めていたこともある。新著「The Sphinx: Franklin Roosevelt, the Isolationists and the Road to World War II」は11月に出版予定。
*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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