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山口那津男・公明党代表 やまぐち・なつお 1952年生まれ。弁護士から90年衆院選で初当選(2期)。2001年から参院に転じた(3期)。09年9月に党代表就任
公明山口代表独占インタビュー 腰砕け批判に反論 連立離脱「心配でできない」
http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/asahi-20140716-01/1.htm
(週刊朝日 2014年07月25日号配信掲載) 2014年7月16日(水)配信
他国が武力攻撃を受けた際に助太刀する集団的自衛権。安倍内閣は7月1日、行使容認の閣議決定をした。「平和の党」を掲げながら、安倍晋三首相(59)の執念に押し切られた公明党。切り札の「連立離脱カード」を早々に捨て、なぜ賛成へと舵を切ったのか。不仲とされる安倍首相との本当の関係は? 山口那津男代表(62)が全てを語った。
公明党は昨夏の参院選でも「行使容認に断固反対」と言っていたのに、なぜ変わったんだとの批判を受けています。私が反対していたのは、外国の防衛を目的とする全面的な集団的自衛権の行使。今回の閣議決定ではそれを認めていません。あくまで自国防衛のための武力行使で、限定的なものになっています。いわゆる集団的自衛権は認めていない。個別的自衛権に毛が生えたものと、そう理解しています。
永田町きっての政策通で、党代表の前は政調会長だった山口代表は、こう語った。細川連立内閣では防衛政務次官を務めてもいる。今回の集団的自衛権の協議では安倍首相の勢いに押されながらも、閣議決定に至るまでに様々な歯止めをかけたと主張する。
まず今回の協議に入る前に、我々は首相にメッセージを発信していました。「個別的・集団的自衛権を問わず、武力行使には制限がない」という考え方は採用しませんよ。「国連の集団安全保障など国際法上合法となったものは憲法の制約が及ばない」という考えも採用しませんよと。これらは第1次安倍政権後、首相の諮問機関である安保法制懇が示したものですが、過去の政府解釈を大きく変えてしまう。だから公明党は反対と言い続けました。これに対し首相は5月15日の記者会見で「どちらも採用しない」とはっきりおっしゃった。まず議論の入り口で、これまでの政府解釈の大枠は守られたのです。
与党協議では当初、様々な有事にどう対処するのか議論されたが、次第に集団的自衛権発動の前提条件にテーマが移っていった。
最終的に、発動の新要件の三つが決まり、うち一つは「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」となりました。当初は「明白な危険」が「おそれ」、「密接な関係にある他国」も「他国」でした。あいまいなままだと、時の政府が勝手におそれを抱いて拡大させる可能性もある。公明党としてある程度のイメージができるものにしたのです。
こう胸を張る山口代表だが、「明白な危険」も「密接な関係にある他国」も、時の政権によって恣意的に判断できてしまう──。そう指摘する専門家も多い。また自衛隊の活動範囲についても、制限を設けていない。
そのあたりは国会でどう判断するかの議論を掘り下げていきます。憲法の基本的な考えをもとに、できる限り規定していくべきだと思っている。
安倍首相は通常国会召集の1月24日、施政方針演説で集団的自衛権の行使容認に強い意欲を見せた。これに対し山口代表は「政策的な違いだけで連立離脱は考えられない」。大切な“離脱カード”を早々に封印した。結果として首相を揺さぶることができなくなり、党内から批判を浴びた。
政党が異なれば当然、政策の違いもあります。でもそのたびに離脱、離脱と言っていたら、連立政権の信頼を失ってしまう。昨年の参院選でねじれを解消しましたが、国民は我々に何を期待したかというと、経済の再生、被災地の復興、社会保障の充実です。その期待を裏切って、全く関係のないテーマで離脱したら目的が実現できない。これは国民に対する裏切りです。 離脱すれば政権も不安定になるでしょう。苦し紛れに他の勢力と、安全保障について制約されない決定をしてしまうかもしれない。むしろ「離脱をしない」ということが、タガをはめることになって、公明党の主張にきちんと耳を傾けざるを得なくなる。お互いが真剣に合意点を探って議論するようになる。(安倍自民党と)真正面から向き合うという意味も含め、「連立離脱はありえません」と申し上げたんです。
安倍首相は9月に内閣改造と党役員人事をすると示唆した。そのため自民党内から集団的自衛権についての批判的な声はほとんど上がらない。山口代表は苦言を呈する。
自民党のことにふれるのは失礼かと思いますが、以前の自民党であれば多様な意見がどんどん出てきて、議論が深まっていったでしょう。今回は正直、ずいぶんとおとなしいなと思いました。逆に自民党の議員から「公明党頑張ってよ」とか、「絶対に引いてはだめだ」とか色々な激励を頂きました。そんなことを言うなら党内で自らおっしゃったらどうですかと言いたくもなりましたが(笑)。
また、説明する政府側も十分ではない場面がずいぶんありました。こんな説得力の乏しい政府の説明では、とても国会論戦は耐えられない。もっとしっかり考え直せと。そうした状況も見ていたので、「こんなことではとても心配で、連立離脱なんかできるわけがない」と言ったこともあります。
与党協議は安倍自民党のペースで進んでいった。山口代表は6月中旬、責任を取る形で「代表を辞める」と周囲に漏らしたと、一部メディアに報じられた。
はっきり、そういう発言をしたわけではありません。ただこの問題は重要で、大げさに言えば、「私自身、政治生命をかけてやっている。重い責任を持ってやっている」。そういう趣旨を党内に発信したことはあります。代表を辞める覚悟と受け取った人も、いたかもしれません。
山口代表は前自民党総裁の谷垣禎一氏(69)とは司法修習同期ということもあり昵懇(じっこん)の間柄だが、タカ派の安倍首相とは「水と油」と言われている。実際のところ、どうなのか。
谷垣さんは自分より年齢も政治経験も豊富で、信頼のおける兄貴分という感じ。政策もかなり近いものがありました。
安倍さんとは実はこれまであまり接点がなく、一昨年総裁になられてから関係を深めています。政策の優先順位を決めてしっかり進めるんだと、強いパワーを発揮される方だと思います。
お互い野党党首として一昨年、政権奪還を勝ち取ったので、共通意識を持っているし信頼関係もあります。メールや電話で意思疎通を図っています。「不仲」と言われるのは、そういうレッテルを貼って連立政権にきしみを与えようという意図があるのではないでしょうか。それは挑発でもあるので、かわすことに努めています。
■首相と意思疎通 できています
公明党の地方議員の中には、党本部が行使容認に動いたことに不満がくすぶっている。これまでに約200の地方議会が行使容認に反対もしくは慎重な議論を求める意見書を可決した。公明党議員が関わったものも少なくない。福岡県宇美町議会でも先月20日、慎重な審議を求める意見書案が可決された。提案したのは公明党の町議2人だった。
国会議員ですら議論の合意を作るのに苦労しました。まして地方議員は日常活動の中に、安全保障と外交は入っていない。情報量も少ない。これからは地方議員に説明責任を果たすところにエネルギーを使っていきます。
6月末と7月5日の2回、各都道府県の代表に党本部まで来てもらってヒアリングをしました。1回目は不安や怒りなど厳しい意見が多かったのですが、2回目は閣議決定した後で私も北側一雄副代表も記者会見を開いて説明したということもあり、だいぶみなさん落ち着いていました。今週の14、15日には予算委員会が開かれます。我々の決めたことが、質問を受けてきちんと答えることによって、伝わっていく部分もあるでしょう。こういう場も大切にしていく。
ただ、いずれにしても公明党の「平和の党」のイメージが損なわれたのは間違いない。やはり押し切られたのか、それともなにか違う戦略があったのか。
我々から見ると、集団的自衛権に関心があるのは世論調査で1割あるかないか。優先順位が低いのに、新聞・テレビで四六時中載っている。これがずっと続くのはかなり異様です。国民が関心を持っていないテーマに、莫大(ばくだい)な政治的エネルギーを使うことがいいことなのか。
政府の出した事例の説明が袋小路になってまずいなとも思いました。だから、解釈改憲させないという結果を早く出して、国会の議論にさらしたほうがいいと。5月の与党協議が始まってまもなくのことです。
集団的自衛権の問題は終わっていない。来年の通常国会に関連法案が一括で提出される見通し。その具体化はこれからだ。安倍首相は集団的自衛権の議論を踏まえ、憲法改正への意欲も隠さない。
国民には、外国の領土・領空で自衛隊の武力を使うべきではない、というコンセンサスがあると思います。これを変えようというときには「憲法改正するしかない」ということまで今回決めた。たぶん国民はもうこれでいいと考えるでしょう。
そういう環境の中で、(安倍首相や自民党が)自分たちの意見が受け入れられないから、憲法改正だ、改正だとのろしをあげても、国民はついてこないんじゃないでしょうか。よほどの国民の合意と覚悟がなければ、簡単には憲法改正できないと思いますね。
構成 本誌・一原知之
■山口代表3つのハードル 「統一地方選」「安倍」「維新」
来年春の統一地方選挙に立候補を予定している公明党の男性区議は、本誌の取材にこう嘆いた。
「集団的自衛権の行使容認はやはり痛手です。(創価学会員の)支援者からは『平和の党のはずだったのに、ガッカリした』と言われてしまいました」
自民党と並ぶ約3千人の地方議員を抱え、幅広いネットワークを売りにしている公明党にとって、地方選挙はある意味、国政選挙より重要だ。
山口代表は「閣議決定に至った経緯を、全国の支援者に丁寧に説明していく」というが、内容が複雑なだけに党への信頼をすぐに回復させることは難しい。別の立候補予定の女性市議も「6月20日の西日本新聞で、『行使の新3要件案は北側副代表が作った』と報道されたことも痛い。読んだ人は自民ではなく、公明が行使容認を主導したと思ってしまった」と頭を抱える。
統一地方選まで半年以上あるとはいえ、吹き荒れる逆風。全員当選が当たり前の公明党でもし落選者が相次げば、山口代表の進退問題にまで発展しかねない。
この悪い流れを何とか変えようと、一部の同党国会議員の間で“秘策”がささやかれている。ズバリ、「2大臣入閣」と「軽減税率の導入」だ。
「いまの太田昭宏国交相をはじめ、この10年間、わが党からは毎回1人しか入閣していません。でも細川政権時代は4人、羽田政権のときは6人が入閣していました。今回の集団的自衛権では自民に協力したのだから、閣僚増でもバチは当たらない。軽減税率も公明の党是のようなもの。消費税が8%に上がったときには見送られたので、年末に総理が10%の判断をする際は、是が非でも導入してもらいたい」(同党衆院議員)
こうした“お願い”は一部の党幹部を通じて、官邸サイドにも伝わっているという。だが、自民党のベテラン議員は冷ややかだ。
「衆院当選5回以上、参院当選3回以上のいわゆる入閣待機組は自民党に約50人もいます。とてもじゃないが公明に2大臣を配分する余裕はありません。そもそも安倍首相は、集団的自衛権で山口代表に譲歩したとさえ思っています。首を縦には振らないでしょう」
頼みの軽減税率についても、自民・公明で協議会を作り、経団連や消費者団体からヒアリングをしているが、線引きの難しさもあって慎重論が出ている。
「そもそも首相は消費税10%を見送るかもしれない」と指摘するのはベテラン政治ジャーナリストだ。
「2年後の夏には参院選が行われる。衆院選とのダブルの可能性だってあるのに、来年10月に消費税を10%に上げるでしょうか。見送る公算は高い。統一地方選に向けて是が非でも実が欲しい公明ですが、どちらも実現は厳しいと思います」
なかなか光明を見いだせない山口代表。悩みのタネは関西にもある。日本維新の会の橋下徹共同代表(45)だ。
肝いりの大阪都構想の議論の進め方をめぐり、協力関係から対立関係に転じた公明党市議団を橋下代表は「人生最大の裏切りを受けた。都構想の住民投票までは協力すると約束したのに。人の道に反する行為」と厳しく批判。公明党の現職衆院議員がいる全9選挙区に対立候補を擁立すると、7月3日明らかにした。
橋下代表は佐藤茂樹衆院議員(55)がいる大阪3区、松井一郎幹事長(50)は北側副代表がいる大阪16区の支部長に就くことも発表した。
「橋下さんはまだ大阪市長職に意欲があるし、国会議員には向かないとまでテレビで発言している。本当に出馬するかは疑問。ただ、維新が代役を立てれば、関西を地盤とする公明の衆院議員は軒並み苦戦する。3区の佐藤議員は完全にしり込みして『早く橋下さんとトップ会談をしてくれ』と山口代表に泣きついているようです。いずれどこかで手打ちをしないと、公明のほうが深手を負います」(在阪ジャーナリスト)
集団的自衛権の議論では「珍しく寝付けなかった」と周囲に心情を吐露した山口代表。眠れない日々が、まだしばらく続きそうだ。
本誌・一原知之、原山擁平、撮影=松永卓也
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