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2014年07月17日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆全国の原発が休止しているなか、原子力規制委員会が7月16日の定例会合で、鹿児島県薩摩川内市久見崎町1765−3にある九州電力川内(せんだい)原子力発電所1、2号機の安全対策が新規制基準に「適合している」とする審査書案を了承したという。これは、再稼働の前提条件である安全審査に事実上、全国の原発で初めて、合格したことを意味する。残る審査手続きや地元の同意などを経て、川内原発は10月以降、再稼働する見通しだが、問題は「地元の同意」をいかに取りつけるかだ。
立地市である川内市の岩切秀雄市長、市議会が同意すれば、「地元の同意」となるのか。あるいは、住民投票によって賛成が過半数を占めなければならないのか。さらには川内市の周辺地域の市町村、鹿児島県全体の同意は、どうするのかという問題がある。その結果、再稼働が決まり、万が一、東京電力福島第1原発大事故のような大事故が起きて、地域住民が、大被害が発生したとしても、「自己責任」として「甘受」してもらわなくてはならないということになる。
◆日本国民は、東京電力福島第1原発大事故により、その原発周辺の住民が、先祖伝来の土地を離れざるをえなくなり、結局、「故郷を失った現実」や「仮設住宅での生活が長引き、精神的に参って亡くなったり、自殺したりした人が多いという現実」などをマスメディアの報道でもさんざん知らされてきた。それでもなお、原発再稼働に賛成するならば、その責任は、地域住民も負わなくてはならない。
もっと言えば、文明史上の大問題として、原発ゼロにしていくのか、相変わらず原発推進を認めていくのか、国民投票法を使って、投票による「賛否」を問うてみる必要がある。
日本の中央、地方政界が、新しい大勢力と既存の大勢力(旧勢力)の対立軸によって、大きく色分けが鮮明になってきている状況下、次の「3本柱」に沿って、歴史的対決がさらに進展しているなか、またしても、この色分けが色濃くなってきている。
□世界統治観の対立=国連中心の平和と秩序維持派(国連平和維持軍)VS米英の多国籍派(多国籍軍)⇒11月の沖縄県知事選挙では、沖縄米軍普天間基地の辺野古への移転、「集団的自衛権行使容認・憲法解釈変更・閣議決定」などが争点になる。
□文明史観の対立=原発ゼロVS原発推進⇒7月13日の滋賀県知事選挙は「原発ゼロ派」勝利、10月の福島県知事選挙は、東電福島第1原発大事故の現場を抱え、放射能汚染問題、原発事故の汚染土などを保管する中間貯蔵施設の建設問題などが争点になる。その前に、原子力規制委員会が九州電力川内原子力発電所1、2号機の安全対策が新規制基準に「適合している」とする審査書案を了承したのは、国民有権者に「対立軸」のどちらに自分が位置しているかの自覚を促す大きなキッカケの1つとなる。
□生活観の対立=国民の生活が第一VS企業利益優先⇒川内原子力発電所は、その安全性の観点から、何が「安全な生活」かについて、じっくり考える材料となる。たとえ危険は感じても、当面の生活のためには、原発は必要だと考えるのか、あくまで原発ゼロを目指していくのかということである。
九州電力として川内原発は、玄海原発に次ぐ2か所目の原発である。九州電力は現在、3号機の増設に向けた手続きを行っている。また、原子力規制委員会は今後、安全審査を申請中の関西電力高浜原発(福井県)など残る11原発17基の審査を加速させるという。「ゴーイングマイウェー」の安倍晋三首相の強引な政治手法が、いつまで続くかが見ものである。
【参考引用】読売新聞YOMIURIONLINEが7月16日午後0時9分、「川内原発、規制委審査に「合格」秋にも再稼働へ」という見出しをつけて、以下のように配信した。
原子力規制委員会は16日の定例会合で、九州電力川内(せんだい)原子力発電所1、2号機(鹿児島県)の安全対策が新規制基準に「適合している」とする審査書案を了承した。九電の安全対策に規制委がお墨付きを与えたことを意味し、同原発は、再稼働の前提条件である安全審査に事実上、合格した。合格は全国の原発で初めて。残る審査手続きや地元の同意などを経て、川内原発は秋にも再稼働する見通しとなった。規制委は今後、安全審査を申請中の関西電力高浜原発(福井県)など残る11原発17基の審査を加速させる。規制委が示した400ページを超す審査書案は、地震や津波の最大想定や、水素爆発対策といった重大事故対策の内容について、新基準を満たしていると認定した。
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