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官々愕々 法人減税に見る本当の支配者
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39767
2014.07.12 古賀茂明「日本再生に挑む」 週刊現代 :現代ビジネス
集団的自衛権をめぐる議論の中で、完全に埋没した感のあるアベノミクス第三の矢。
6月24日に閣議決定された『「日本再興戦略」改訂2014―未来への挑戦―』という今年の成長戦略の本文は124ページに及んだ。こんなに大部になる理由は、作るのが各省各課の官僚だからだ。彼らは、今年度補正予算、来年度予算・税制での要求を予め成長戦略に盛り込もうとする。だから、まるで予算要求書のようになってしまうのだ。
結局、今年も成長戦略は本物の目玉はなし。このままでは昨年のように、総理の発表中に失望売りで株価大暴落という大失態にもなりかねない状況だった。
株価内閣と言われる安倍政権としては、同じ失敗は許されない。そこで株価上昇に直結する、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による株式買い増し、そして法人税減税に力を入れた。法人税が下がれば、企業は努力なしで税引き後の利益が増え、当然配当原資も増えるから株価には確実にプラスだ。
最近、トヨタが6年ぶりに税金を払ったという記事が出て驚いた方も多いだろう。電機業界でも払っていないところは多いし、銀行も21世紀に入ってからずっと払わず、払い始めたのはごく最近だ。つまり、法人税で日本企業の競争力が低下しているというのは真実ではない。むしろ、大企業が法人税を払い始めたから減税の要望が強くなったと見ていいだろう。
トヨタが税金を払わなくて済んだのは、租税特別措置(租特)のおかげだ。租特とは、これまで何回かこのコラムでも紹介した通り、ある一定の条件を満たす場合に法人税を安くする制度だ。例えば、赤字を繰り越す制度もその一つ。大企業では所得の80%までだから、残りは他の租特を使う。省エネ投資をしたら減税、研究開発を増やしたら減税、という具合だ。
租特には非常に細かい条件が設定され、その条件と減税規模は関連の業界団体の陳情を受けて各省庁と財務省が交渉し、最後は自民党税調の議員との調整で決まる。団体は、官僚に天下りポスト、政治家にパーティー券購入と選挙協力を見返りとして供与する。巨大な利権だ。
法人税を減税すると1%で約5000億円の減収。今回、現在約35%程度の法人実効税率を来年度から引き下げて、数年で20%台(悪くても29%台の意)にすることが決まった。5〜6%の引き下げだから2・5兆〜3兆円の財源が必要だ。
国民から見れば租特利権を廃止して財源に回して欲しい。たとえば減価償却制度の見直しで5000億円、研究開発減税の見直しで1兆円の財源になるといわれる。もちろん租特廃止には官僚や族議員は大反対だし、経団連「官僚」も同じだ。業界団体の取りまとめ役として、政・官との調整役を果たすことが彼らの存在意義だからだ。
実は、小泉純一郎内閣の時も法人税減税の話が出た。その時は経済政策の司令塔であった竹中平蔵氏が租特抜本見直しの議論を出した途端、経団連はそれなら法人税減税はいらないと降りてしまった。租特の方が大事だからだ。
ところが、今回は最後まで経団連と経産省が粘った。官邸を牛耳る経産省の自信なのか、それとも、安倍政権は株価上昇が至上命題だから企業に厳しい政策は取れないと経団連が読み切っているのか。
庶民は、消費増税と物価高に喘ぐ。それでも庶民を甘く見る安倍総理は、あくまで強気で集団的自衛権行使容認の閣議決定をした。その安倍総理をさらに甘く見る官僚と経団連。誰がこの国を動かしているのだろう。
『週刊現代』2014年7月19日号より
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