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小沢一郎代表と堀茂樹教授のちょっと硬派な対談 Part5(FINAL)「21世紀 日本のグランドデザイン」」
「集団的自衛権」 ・ 不安定雇用=消費減退 ・ 消費税10% 日本の将来を危うくする安倍政権【1】
http://4472752.at.webry.info/201407/article_9.html
2014/07/06 02:29 銅のはしご
2014年 7月 3日(木)
生活の党を支援する市民の会主催
小沢一郎代表vs堀茂樹教授
ちょっと硬派な対談 (vol.5) FINAL
「 21世紀日本のグランドデザイン 」
http://www.youtube.com/watch?v=d8EuUgpaKzM&feature=youtu.be
2:00:02 文字起こし。読み易くするため,若干語順などを整えました。
対談 【1】 00:29:06〜00:45:52/2:00:02
(満場の拍手の中,小沢代表登壇。堀教授と握手)
堀 茂樹
それでは小沢さん,2日前ですか<2014年7月1日火曜日>,安倍さん達の考え方の「集団的自衛権」が,閣議では,通ったと。今後,国会のほうに,法律を作らなければならないから色々な論議が続くんだと思いますが,これは粘り強くやっていくとして。
思うに,だんだん私も安倍政権怪しからんなと思い始めて,だんだん今日は言葉が強くなってきておるんですけれども(笑。小沢氏も笑)。
このままね,好き放題やらせるわけにはいかないので,やはり,次の選挙を睨んで,国民に,特に若い世代にと言ってもいいと思うんですが,本当にもう諦めることじゃないんだと。日本には可能性があるし,こうやれば希望の持てる近未来が描けるし実現もできるんだと。そういうものを模索するということで,今日はお話しを伺おうと思うんです。
それで,いつものように根本的なことを,根本的な政策の基本のところを伺うのが 本来なんですが,若干ですね,現在の経済・社会状況に軽くコメントしていただいて,その上で本題に入りたいと思います。
本題に関係あることですけど,今の安倍政権,此間,消費税の再引き上げがありまして,4月5月の個人消費の状況ってのが,4月はもちろん落ちまして,だけど5月も,ものすごく落ちたんですね。
これはよく「駆け込み需要の反動で落ちてる」と言われるそうですが,私のちょっと調べたところでは,1989年の,つまり消費税が作られたとき(と)それから1997年の(消費税・税)率が上げられたとき(の)その後の反動のあり方。そして,だんだんと,個人消費がまさに冷え込んで,毎度冷え込んだわけですけれども,それよりも下げ幅が異常に大きいと。
この50年で,第2位ぐらいの大きな下げ幅になって冷え込んでおるということが,確認されているんですね。これ,どう思われますか。
小沢 一郎
安倍政権の基本的な政治,特に経済政策というのは,いわゆる国際的にも競争力の強い生産性の高い産業分野をどんどん,どんどん大きくすると。生産性の低い所はもう切り捨てると。仕方ないんだというようなやり方で,小泉さんのときに,そういう,何ですか,新自由主義ですか。
堀 茂樹
はい。
小沢 一郎
(新自由主義とか)何とかって言葉で呼ばれるような,自由競争。市場原理最優先の政策が採られましたけれども,安倍政権になってからは,小泉政権以上に徹底したそういう考え方で(進められている)。 まあ,安倍さん本人が経済政策に携わってるのかどうかは,ちょっと疑問ですけれども(笑。堀教授も笑) 少なくても,政権=政府として出してくるものは,そういうことですよね。
堀 茂樹
はい。
小沢 一郎
ですから,どんどんトータルとしての大企業中心の経済が拡大したとしても,所得は,ごく一部の大企業を除けば,ほとんど増えない。むしろ,小泉政権以来ずうっと国民所得は減っているわけですね。
堀 茂樹
はい。
小沢 一郎
そういうところで消費税を上げるということは,単純に経済政策から言ってもちょっとおかしいと思いますし,ましてや(行財政の見直しも行われていない)。我々,民主党政権が失敗したんであんまり言えないんですけれども,私共としては,官僚支配の行政・財政,これを徹底的に洗いざらい見直して,そして,余分なお金を,無駄なお金を,使われているお金を,それをきちんと整理することによって,一定の財源もできますし,すぐさま消費税・増税ということに頼らなくても,当面,先ずそれに全力を尽くして,それからどうしても足りないときは,という考え方を言っていたわけですけれどね。
堀 茂樹
そうでしたね。
小沢 一郎
それがまったく,結局,改革(されずに)...改革と言うか,改革ちゅう言葉はあまり最近使いたくないくらい,色んな所で使われてますけど。(笑。堀氏も笑) いずれにしろ,それを,思い切ったことをやらないままに,消費税・値上げということになりますから,結局,格差が(広がる)。 ほんの一部の恩恵を受けている人達と,そうでない大多数の人達の格差が 大きくなってくる。
堀 茂樹
そうですね。
小沢 一郎
ということが,このまんま,どんどん続く。そして次には,来年か(消費税・税率が)10%になるということになりますと,本当に僕は,国民の皆さんがあまり静かなんでね,ちょっと不思議なぐらいなんですけれども。
来年10%このままやるんだっちゅうことになったら,私は,さすがに国民皆さんも声を上げるんじゃないかと,思いますけどもね。
堀 茂樹
はい。
小沢 一郎
いずれにしろ,非常に,経済政策も(そうだが),そして何かよくわかりませんが「強い大国・ 日本」を意識した「集団的自衛権の行使を容認する」ということを含めたね,そういう政治姿勢っちゅうものは,非常に将来の日本の国民の生活と日本自身の行く末を危うくするもんだと思ってます。
堀 茂樹
はい,わかりました。そうですね,実際,実質の所得,これ(が)どんどん落ちてますし,問題だと思います。
私が,そもそもがこういう問題についての専門家じゃないもんですから,ごく近年に知ったんですけれども,日本は本当に,中小企業,中小零細企業が圧倒的に多い。約430万社あると。そして,これは日本の企業数の99.7%で,雇用の7割を占めるっていうことを知りまして。そしてしかも,中小企業が技術を持ってるんだそうですね。これを大事にしなきゃいかんというお考えですよね。
小沢 一郎
(深く頷きながら)はい。
堀 茂樹
ですから,大企業,輸出企業を偏重するということは,間違っているというお話しが,一つ。
小沢 一郎
それで,輸出のパーセントが大きい大企業は,消費税分,還付されますからね。 いくら 消費税上がったって平気なんです。
堀 茂樹
そうです。だからね,それは大問題で。普通に考えりゃあ,景気が冷え込むことが見込めるようなら経団連は反対するだろうと,僕なんかは,ちょっと前までは素朴に思っておりましたけれども,経団連は賛成なんですね。
小沢 一郎
痛くも痒くもないんですよね。
堀 茂樹
ええ,それどころか,得なんじゃないかと思いますけどね。
小沢 一郎
輸出を奨励すると,輸出の貿易立国の日本という,そういう背景からそういう政策が採られたんだと思うんですけれども,今それを続けていくのが果たして良いかっちゅうことは,大いに疑問だと思いますね。
堀 茂樹
そうですね,はい。それから,もう一つポイントは,雇用だと思うんです。消費が冷え込むのも,雇用がダメだからじゃないかと私は思います。正規雇用が減って,非正規雇用が増えていると言うか,増やそうとしているようなことなんですけど,これどうご覧になりますか。
小沢 一郎
これも,安倍政権の何とかって言う審議会ね。
堀 茂樹
(新)成長戦略ですかね。
小沢 一郎
はっきりと謳ってんですね,非正規社員を結果として どんどん増やすと。正規社員はほんの一部のエリートだけで,あとはもうほとんど非正規。今でも4割ぐらいですか,非正規の割合がね。
堀 茂樹
そうです。
小沢 一郎
これを,どんどん,どんどん,もっと増やそうということを,内閣が,もう,率先して言ってんですね。
堀 茂樹
はい。
小沢 一郎
これについても,あまりメディアも報道しませんし。だから,一般の国民の人も,そこは良く知らないんじゃないですかね。
堀 茂樹
ふうむ。
小沢 一郎
ですから,なかなか「おかしい」ということ(≒一般の人びとの強い反応)が起きてこない。
先生が仰る通り,非正規になれば,雇用の不安定化っちゅうことになりますので,結局,個人消費も少なくなりますし。
堀 茂樹
需要が減りますね。
小沢 一郎
そうですね。ですから,本当に何を考えて,どうしようとしているのかが,ちょっと,わからないですね。今の政権は。
堀 茂樹
非正規化するというのは「市場の流動性を大きくする」って言うんですよね。流動性を大きくするということによって駄目になっていった企業,職種や何か(のほう)じゃなくって,成長するこれからの企業のほうへ人が行くようにするんだというのが謳い文句なんですけれども。
しかし,非正規化をするということは,国民にとっては,本人にとっては非常に不安な状態に置かれるわけですね。
小沢 一郎
流動化ちゅうのは,何か良いような話しばっかりすれば,成程ということもありますけれども,流動化ちゅうことは不安定化っちゅうことですからね。
堀 茂樹
そういうことなんですね。
小沢 一郎
ですから,そこはね,日本社会ちゅうのは縦の社会ですから,その意味で横の流動 ・ 動きをできるような社会に,ある程度していくっていうことは,僕,大事だと思うんですね。
堀 茂樹
はい。
小沢 一郎
だけど,今考えられて喋られてることは,もうまったく,非正規でいつでも必要なときは採用し,要らなくなったらクビにするということのためにですね。 一部の大企業が人手が足りなくて,どうのこうっていうことも今朝のニュースでやってましたけれども。結局,人手が足りないときは,どんどん,どんどん(非正規で雇用し),景気悪くなったら全部クビにできる,と。 非正規ならいつでも(解雇)できますよと。
まあ,アメリカ流のレイ・オフっちゅうんですか。ああいう類いに,まあ,したいんでしょうねえ。ちょっと信じらんない。
堀 茂樹
はい。ですから,以前なら,本来ならば,労働者を雇って労働者に給料を払って,給料が増えていくことによって需要も活性化されていくと。こうやって国内経済が回っていくものが,労働力を単なるコストのように見做すということになってきている。売るものを(国の)外で売りゃあいいんだからという発想だと思うんですね。要するに外国で売る。それが問題だと思いますが,例えば一つ非常に具体的な例なんですけどね,こういうことが新聞に載っておりました。
結局政府は,リストラ=クビ切りを促す助成金を,増やしてるんですね。「労働移動支援助成金」っていう難しい名前がついておりますけど,要するに,中小企業だけじゃなくて大企業も含めて,その企業が自分のところの社員をリストラして,別の会社に就職させると。
つまり,失業者は増えない。だけど,職種が(移動・変更させて),別の会社に行く,と。 このことを,人材派遣会社,再就職支援会社,パソナの類いでありますけれども,こういうところへ転職を依頼しまして,で,転職が成功すると1人に付き...これ,驚きますよ。
1人に付き60万円払うんです。いやいや,すいません。もっと払うんです,人材派遣会社には。
それを,政府が,そういう解雇をする会社に1人に付き60万円あげるっていうわけです。
これは,メチャクチャですよね。
解雇させることを促しているわけです。
60万円払っちゃうということです。
これは確かに,朝日新聞の記事 ※ にしっかり書かれておりましたんで。
しかも,転職が成功しなくても,その人材派遣会社と契約して,そういうことを依頼する会社には10万円を出す,と。これじゃあもう...労働移動助成金。
これまでは労働者を・従業員の雇用を守ってた企業に,雇用調整助成金っていうのを出してた。それを減らして,転職を促す,要するにクビ切ってというのを促すほうの助成金を,圧倒的に拡充して,前年度の150倍にしたんです。(小沢氏・深く憂慮した面持ちで聞いている) これ,メチャクチャじゃないですか。
小沢 一郎
ですから,安倍政権っていうのは本当に,さっき言ったように小泉政権以上にね,徹底してんですね。
企業から言えば,コスト・ダウンということは大事なことなんですけども,コスト・ダウンを,人減らし=人件費を減らす・人を減らす,ということだけで,やっていこうと。技術開発とか,あるいはムダを省くとかいう類いの地道な努力は,これは,なかなか面倒くさくて,効果がチッとずつしか上がりませんよね。それよりも,クビ切ったほうが早いというような,もの凄く短絡的な,そして社会全体をあまり考えないで,また,将来を考えないで,政治が・政策が行なわれている。ということではないかと思いますがね。
堀 茂樹
そうですね。本当に地道な(努力などは)日本人の良いところだと思うんですけどね。地道に頑張るっていうのが。何か,そういうスピリットが蔑(ないがしろ)にされてる。政治のレヴェルでもそうじゃないかと思います。
小沢 一郎
はい。そう思います。
堀 茂樹
さて,基本のところへ話しを移してまいりたいんですけれども。この『日本改造計画』もう何回も(笑)読んでるんですけど,再読してまいりました。
そうすると,ここには色んなことが書かれておるんですが,私の読むところ,或る読み方から言えば,経済のためにも雇用のためにもなる,表面的なことじゃなくて,本当の,改造・改革計画です。 それは,小沢さんの基本のところにある構想というのは,やっぱり「地方分権」だと思ったんですね。
小沢 一郎
そうですね。
< 続く >
◇
小沢一郎の,地方に権限・お金を渡し地域の特性・文化・伝統を活かす先進国家像【2】
http://4472752.at.webry.info/201407/article_10.html
2014/07/06 18:33 銅のはしご
http://www.youtube.com/watch?v=d8EuUgpaKzM&feature=youtu.be
2:00:02
文字起こし。読み易くするため,若干語順などを整えました。
対談【2】00:45:52〜1:01:44/2:00:02
堀 茂樹
さて,基本のところへ話しを移してまいりたいんですけれども,この『日本改造計画』もう何回も(笑)読んでるんですけど,再読してまいりました。
そうすると,ここには色んなことが書かれておるんですが,私の読むところ,或る読み方から言えば,経済のためにも雇用のためにもなる,表面的なことじゃなくて,本当の,改造・改革計画です。
それは,小沢さんの基本のところにある構想というのは,やっぱり「地方分権」だと思ったんですね。
小沢 一郎
そうですね。
特に明治以来(の日本)後進国は他の国でも皆そうなんですけど,先進国に追いつけ追い越せということになりますと,強い権力で以って,すべて人も物も何も集中させて,それで産業をどんどん大きくしていく,と。そういうことがある意味で仕様がないプロセスなんですね。
堀 茂樹
ああ,はい。歴史的な大改革。
小沢 一郎
追いつくためには,皆なで以って国を挙げてやらざるを得ないということでやってきたと思うんですけれども。それが結局,今日(こんにち)では,単なる産業の育成・発展ということではなくして,そのことが行き過ぎて,今言った雇用もそうですけれども,色んな日本社会の, 色んな,特に地方の伝統的なそれ(特性など)が非常に破壊されてきている,崩れかけている。
堀 茂樹
むしろそこに強みがあるのに,それを活かしてない,と。
小沢 一郎
そう,そう。大企業っていうのはやっぱり大量生産の,コストを下げる(ための)大量生産のある意味で同じような物を作るっちゅうことですね。
堀 茂樹
はい。
小沢 一郎
ところが,地方,地方には色んな伝統技術や,その地域,地域の物もありますし,大量生産には向かなくても,それだけ価値の高い物を作りだす力もあるわけですね。
堀 茂樹
日本の,多様性ですね。
小沢 一郎
色んな意味で,画一的な大量生産の物ばっかりになっちゃってますね。
これ,街づくりも,うちのほうもそうなんですよ。何処行ってもね,全国,同じような街づくりになってるんですね。それはもう,各役所が同じメニューで以って全部やるから。結局,駅も街も何もかも,同じになってんですが。そん中で,どんどん,どんどん,やはり少子化,そして都市集中ということが酷くなっていましてね。
ですから私(わたくし)は,このやり方を,もうそろそろ大転換して良いときだと。
日本も後進国を脱して世界の先進国の上のレヴェルにまで達してきてるんですから。これを,もう少し,本当にそういった日本の社会の矛盾を解決すると同時に,世界にも,日本のもっと素晴らしい伝統的な,あるいは大量生産と工業化の中で埋もれたような技術も利用しながら振興を図っていくということが私(わたくし)は,必要なんだと。
そのためには,やっぱり,中央集権で追いつき追い越せの時代を今や経過して,今度は地方で以って,地方に権限とお金も与えて,そこで地域の特性・文化・伝統を活かしたことをやっていく。そうすると,そこに権限とお金があれば,必ず新しい雇用が生まれますし,雇用が生まれりゃあ若い人も定着すると。
私共のね,岩手県から東京へ出てきてる人の中でも,仕事さえあれば故郷(くに)へ帰りたいっちゅう人が大部分なんですね。
堀 茂樹
はい。
小沢 一郎
それはもう,環境から言っても,あるいは働く場から言っても,あるいは 住まいから言っても,とても一生懸命アクセク働いても,東京では満足できない,と。まあ,田舎じゃ本当にもうお寺みたいなデッカイ家がね,おじいちゃんとおばあちゃんしか(住んで)いないっちゅうようなことですから。東京で例えば小いちゃなマンションを買うというお金あれば,田舎じゃあ立派な御殿みたいな家建てますしね。
ですから,そういう意味で,非常に立派に活用すれば,もっともっと効果があるのに,そういったものを捨て去って,一部の大量生産・規格品的な物をどんどん拡げていくということが,必ず矛盾を引き起こすに決まってるんです。ですから今,日本社会に,色んな矛盾が起きてるということだと,思いますわね。
堀 茂樹
いやあ,そのお話しを聞くとですね,頭の中には色々と思う事がいっぱいありましてね。
私も実は地方出身で,東京に小っちゃなマンション買ったんですけれども,まだローンが残ってる(笑)っていうようなことなんで。今,自分の職場が東京と言うか関東なので,すぐに帰るわけにいきませんが。
ただ,一つには,例えば今,本当にインターネットの時代になってるのでね,情報とか仕事だって,色んな仕事も,地方にいても東京都との繋がりも作りながらやれるし。そして地方自身,地方それぞれの地域に核を作っていくっていうことが...そういうことに貢献できれば。身近な社会貢献。個人が社会に貢献しているってことになるんで。本当に,そういう...魅力的に思いますね,私もね。
それで実際,東北の大地震の後,東北にある中小企業が如何に世界と繋がっていたかっていうのが,わかりましたですよね。世界の工場が止まりましたから。
小沢 一郎
そうですね,はい。
堀 茂樹
それから,私はフランスの文学や思想が専門ですが,フランス人っていうのは今,日本にもの凄い関心を持ってるんですね。とてつもなく関心がある。それは別に漫画だけじゃないんですね。例えば此間もフランス人が団体で四国のお遍路さんを,自分でやりに来たりするんですね。
小沢 一郎
ああ,はい。
堀 茂樹
ですから彼等が興味を持っているのは,日本人がこれは日本の表玄関ですと思っている東京の何かっていうよりも,むしろ本当に田舎の色んなものを知っていて,調べて,そういうものに興味を持ってます。
日本はいわゆる追いつけ,キャッチ・アップの経済の段階を越えて成長しなきゃいけない,成長しなきゃ富が循環していかないけれども安定成長の,しっかりした地道な成長の時代に入ったっていうことを,むしろ外国のほうの人が知っている。そういう国の文化は,プレスティージ prestige が高いんですね。だから,今キャッチ・アップしてる中国の文化は少なくてもフランスなどヨーロッパでは全然注目されてない。現代文明はね。現代文明に注目されてるのは,日本なんですよ。
小沢 一郎
それで,これもまた今朝か昨日かテレビで言ってましたが,そういった日本の伝統的な文化の,一つの象徴的なものとしては,京都ですけどね。アメリカの旅行ガイドの本ですか何かで,いちばん魅力のある良い都市として,京都が挙げられてるんだそうです。
京都って言うと日本の中ではまだ特殊な古い都っちゅうことになりますけれども,それはもう,外国人の人も日本人の独特の伝統的な文化とか,あるいは技術や芸能を含めて,そういうものに対して目を向けてきている。あまり日本人のほうはそうじゃないですけどね。(笑)
堀 茂樹
本当ですよ。
私の大学は藤沢市にキャンパスがあるんですけど,実は,そこへ新潟から通ってきているフランス人の非常勤の講師がいるんですよ。女性です。
小沢 一郎
はああ。(感心したように)
堀 茂樹
この人は,佐渡の文楽,実際それに惚れ込んで,文楽を習ってそれに参加してるんです。劇団に。
小沢 一郎
そうですか。佐渡では,そういうのあるんですね。文楽ですとか,能ですか。能舞台なんかも,いっぱいあるんですね。歴史的なものなんでしょうけど。
堀 茂樹
はい。そういうことを,もう一回日本人が発見してね。
小沢 一郎
そうですね。
堀 茂樹
地方の豊かなポテンシャルというのを大事にするのは本当に重要ですね。
小沢 一郎
あまりにも軽んじ過ぎてきましたよね。今もそうですけど。
堀 茂樹
この,地方分権ヴィジョン。小沢さんのヴィジョンなんですが,今は自民党もみんなの党も維新の会もですかね,皆「地方分権」は言っておるんです。その場合,語られてるのは道州制なんですけれども,そこに大きな違いがあると思います。
大前提として,先ほどもお話しありました,日本が後進国で,これから何とか生き延びて植民地化されないで生き延びなきゃならないっていうときに,大久保 利通が 廃藩置県をやって,統一国家を作って中央集権をやりました。ですから,あの時代には,それは必要だったんだという,さっきのお話しですよね。
小沢 一郎
そうです。
堀 茂樹
そして,統一国家になって,日本はわりあい全国が一体性の強い国家には今なってると思います。
で,小沢さんのこの本(『 日本改造計画 』)を読んで,既にわかることなんですが,ちょっと重要なポイントなので確認させていただきたいのは,そうしてできあがっている国民国家の枠の中で,中央と地方と両方,良くするんだというヴィジョンですよね。(小沢氏・大きく頷く)
つまり,もう中央は要らない,中央政府は要らないということでは,全然ないですよね。
小沢 一郎
そうです。はい,そうです。
明治以来の中央集権・官僚統制,これは戦後,敗戦にもかかわらず生き残ったんですね。
堀 茂樹
そうですよね。
小沢 一郎
あるいは,アメリカとしても官僚を活用したほうが統治し易いってことだったんだと思いますがね。
堀 茂樹
そうです。
小沢 一郎
以前以上に,国民の生活の隅々にまで,官僚の力ちゅうものは,規制というものは,及んでんですね。
堀 茂樹
はい。
小沢 一郎
自分は関係ないと思っている人でも,いざとなって何かしようとしたときは,必ず役所の何かが,引っかかってきますよ。だからそういう意味であまりにも官僚の統制というのが強くなり過ぎた。
しかも,国の官僚がやる必要のないところまで全部,規制してんですね。
ですから僕は,そういうことでは,最早,新しい時代の活力は生まない。だから,地方へ権限を移せ,と言ってんですが,だからと言って別に中央の官僚を要らないつってるわけじゃないですね。
堀 茂樹
そうですね。別に官僚攻撃してるわけじゃないですね。
小沢 一郎
そうです。中央の役所の人間は,その役目を,ちゃんと自分の役割を果たせと。何も地方の,市長村の細かいことまでゴチャゴチャ,ゴチャゴチャ,一々干渉してね,補助金50万円だ100万円だ,まで全部中央の役所でやるでしょ。
堀 茂樹
はい。
小沢 一郎
そんな必要,どこにあるんだ。そんなのもう,任せちゃえと。
それで日本の国の今の統治の体制で最も欠落しているのは,憲法以下全部そうですが,例えばですが,危機管理なんですね。
非常事態ということは,日本の憲法にも(規定は)ありません。それから,それに基づく危機管理の規定というのは,どこにもないんですね。法律にも(規定がない)。
堀 茂樹
はい。
小沢 一郎
ですから,いざとなったら,どうすんだと。
僕いつもね,何か喋るときに例に出すのは,内閣が閣議していて内閣総理大臣以下が集まってるところで,テロでも何でもいいんですけど爆弾が落っこって全員死んだら,誰が内閣総理大臣になって国の行政をするのか,って言うんですよ。
誰に聞いても,わかんないんですよ。
堀 茂樹
私も,わからない。(笑) どうしたらいいですか。
小沢 一郎
何も決まってないんだから,わかるはずないんです。
堀 茂樹
わかるはずがない。ああ,そうですか。
小沢 一郎
国会開会中ならば,そこで以って総理をもう一度首班指名やればいいんですね。
閉会中だったら,どうするか。国会召集すりゃあいい,つったって,これは内閣でやることですから,その内閣がなくなっちゃうんですから。国会も招集できない,と。何にも(できずに)無政府状態になっちゃうんですね。
堀 茂樹
ううむ。
小沢 一郎
これは極端な例ですけれども,こういうことから始まって,危機管理っちゅうものが,まったく日本の行政の中には,政府の中には,ないです。
だから,今度の震災もそう。阪神(大震災)のときも,そうでした。
堀 茂樹
ああ,そうでした。
小沢 一郎
皆もう,各省庁がバラバラで,やってますから。
堀 茂樹
そうでした。
小沢 一郎
だから,そういう意味でね,私(わたくし)は非常に,行政の改革というものも大事だし,中央官庁には中央官庁の役割がある,と。
僕は,小さくてもっと強力な中央官庁。そして,あと,日常の色々な個人の生活や地域の社会のことについてのことは全部,地方自治体に任せろと。
これがいちばん,地方を活性化させるし。国は国。政治家もです。国の政治家は国のことをやれ,と。いちいち自分の選挙区のことばっかやってちゃダメだというのが私(わたくし)の考え方です。
堀 茂樹
ああ,成程。 そうですね。 ああ。
そうですねって感心してちゃ(笑)いけないですけど。本当に私も...
小沢 一郎
それとね,今,先生の仰った道州制っちゅうのはね。「道州制,道州制」と仰る人達に,じゃあ,道州っちゅうのは,どういう性格のもんですかって,僕,聞いたんですよ。
堀 茂樹
はい。
小沢 一郎
今の地方自治法に言う自治体なんですかと(聞いた)。あるいは,それとまったく違うものを作るんですかと(聞いた)。
誰も答えられないんですよ。全然その中身のことを考えないで「道州制,道州制」つってるんですね。
堀 茂樹
そうですね。
小沢 一郎
僕,道州制というのも中身さえきちんとすれば,悪いと思ってるんじゃないですよ。
堀 茂樹
ああ,そうですか。
小沢 一郎
だけど,道州制をこのまんまの形でやれば,ますます官僚統制を強めるだけですよ。
堀 茂樹
ああ,それは,どうしてですか。
< 続く >
◇
小沢一郎の,住民・国民の全国レヴェル・アップを図る地方分権ヴィジョン【3】
http://4472752.at.webry.info/201407/article_11.html
2014/07/07 13:29 銅のはしご
http://www.youtube.com/watch?v=d8EuUgpaKzM&feature=youtu.be
2:00:02
01:01:38〜01:18:28/2:00:02文字起こし。読み易くするため若干語順などを整えました。
対談 【 3 】
小沢 一郎
だけど,道州制をこのまんまの形でやれば,ますます官僚統制を強めるだけですよ。
堀 茂樹
ああ,それは,どうしてですか。
小沢 一郎
例えば,北海道だ東北だ関東だって,道州制で,どうやって首長を選びます。どうやって議員を選びます。事実上,やっぱり難しいですよ。それから,それで以って,広域行政を(どう行なうのか)。
まず何とかして(首長が仮に)選ばれたとしますよ。どういうスタッフを使って,どういう機構で道州をやるのかということもまた,大問題でしょ。
今までの県庁の役人を使えばいいと言っても,県庁の役人は自分のとこしかわからないんですから。
中央の役人を使うということになれば,中央の役人が全部,道州に派遣されたら,同じこっちゃないですか。
結局,中央官庁の支配が強まるだけなんです。
だから,その道州というものを,どういう性格のものにするか,ということでね。
これもね,単なる効率だけで考えちゃ,ダメだっていうのが僕のあれ(=ヴィジョン)。
それよりも先ず,僕は今の二重,三重,四重の行政をもっと簡潔にしろと。今は,市町村でしょ,それから都道府県でしょ,それから国の各ブロックの出張所でしょ,それで最後に霞が関でしょ。
これ,行政が四重になってんですね。
だから僕は,そんなムダなことはやめろと。国は,国のことをやる,と。地方は,それはもう本当に地方の行政をやる単位の地方自治体にしちゃうと。300か400の。
堀 茂樹
300か400の基本自治体ですね。
小沢 一郎
そう,そう。 そういう自治体に( 権限もお金も )やっちゃって,地方のことは( 地方に )任せろ,というのが私の考え。
堀 茂樹
成程。 二重ですよね,国家と基本自治体と。
小沢 一郎
二つ。国家と基礎自治体の二つ。
堀 茂樹
はい。国家と基礎自治体のレヴェルですね。
小沢 一郎
はい。
堀 茂樹
成程。そうでなければ,地方分権をやる意味がないと。
小沢 一郎
と思います,僕は。
堀 茂樹
むしろ道州制だと,変な地方ボスもできてしまうかも知れないし。
小沢 一郎
いや,先ず,大概,(問題となるのは)官僚ですよ。官僚に支配されますよ。
堀 茂樹
要するに,官僚制が道州のレヴェルで行なわれて,生き延びてしまう?
小沢 一郎
だから,道州制と言う人が,どういうことをイメージして仰っているのか,わかりませんけれども。その中身によりますが,今のまんまの仕組みを前提にして,ただ単に道州だけを作るということになると,結局さらに,四重のところから五重の官僚支配になっちゃいます。
堀 茂樹
ああ,成程。また,ややこしくする。
小沢 一郎
ははは。(笑って頷きながら) また,ややこしくなる。
堀 茂樹
みんなの党と維新の会が出した法案がありましてね。「道州制基本法案」というのを私,読んできたんですけどね。確かに今仰ったように,何もわかんないですね。
小沢 一郎
はい。 中身がはっきりしてないでしょ。 ですから,そこがね,すっきりしたものであれば 別に,僕は反対ではないんですよ。
堀 茂樹
成程。
小沢 一郎
それも一つの考えかも知れないけど,ただ単に今の統治の仕組みをそのまんまにしておいて,その上にまた道州を作るっちゅうことであったら,それはもう屋上屋(を架す)話しで,官僚統制を強める。
堀 茂樹
ああ,成程。
維新の会の今の基本法案を見てみますと,根本的に一つ大きくポイントが違うなあって言うか,ポイントになるなって言うのは,租税の徴収権と配分権の問題がありまして。
小沢 一郎
はい。
堀 茂樹
維新のほうの構想では,徴収=集めるほうも道州でやって。そうすると,当然,東京や大阪は豊かですから。貧しい地方だってあります。(地方間)格差がものすごくありますから。
小沢 一郎
そうです。はい。
堀 茂樹
それを,道州の間でですね,交渉するのか,ルールを決めておいて豊かなところから貧しいところへお金をやるということになってるんですね。(小沢氏・笑)それはね,恐るべき...
小沢 一郎
(笑) そうすると,東北は担税力が(弱く)税金納める力がないですから,お金ないですわね。東京に頭下げて,頼みに来るっちゅう話しになっちゃいますね。
堀 茂樹
そうです。
小沢 一郎
自治体間の,あるいは道州間の中で,そういう歴然たる格差になっちゃいますから。それで,依存関係やら何かっちゅうのを作るのは,どうかと思います。
だから僕は,地方分権を徹底し,地方にもっともっと色んな産業や文化を振興させることによって,地方でも人口も増え,そして色んな力も蓄える,と。それで,全国が平均的なレヴェルに達すればですよ,徴税権も各地方に与えていいんですよ。
堀 茂樹
成程。
小沢 一郎
だけど今,税金取るったって,田舎で税金取ろうったって,払う人がいないんだから,全然(力が)ないわけですから。ですから僕は当分,本当に(各地域の)レヴェルがだいたい似たような形に(なり),それぞれの地域が,まあ良くなったなあということであるならば,徴収権まで,最後にはやっちゃう,と。
ただ,現段階では,そうなるまでの経過措置としては,やはり中央で集めて,それで地方に配分する。それが,細かいことじゃなくて纏めて自主財源として配分する。という形を暫らくの間は採らないと,却って道州間のギャップやら地域ギャップが大きくなるというふうに思いますね。
堀 茂樹
成程。わかりました。
私,ちょっとこんなこと思うんですね...その地域間のギャップが大きくなるようなタイプの道州制をやったら,単純には比較できないですけど,現在のヨーロッパ ・ ユーロ圏の在り方と,近い形になる。
小沢 一郎
(納得して)はあ,はあ,はあ。
堀 茂樹
つまり(各国)平均化してないんですね,経済力が。
小沢 一郎
そう,そう,そう。
堀 茂樹
だから今,ドイツはほとんどもう支配者ですよ。
小沢 一郎
はははは(笑) ばんばん儲けてる。ははは。
堀 茂樹
その配下に,今やもうフランス人らしくないんだけど,従順なドイツの部下みたいにして フランスがいて,そして本当にギリシャやスペインが困っていると。
そこに,これまでヨーロッパ統合の理想は,融和の理想であり,平和の理想であり,そういうものであって,それが続いてきたのに,ユーロが拗れてきてからは,非常に反目している状態なんですね。つまり,ギリシャは,ドイツにいわばある意味で助けてもらわなきゃならない。まあ,ドイツの銀行がいっぱい金貸したってのが悪いんですけれども,そういうことがある。
そうすると,もう極端な依存関係・支配関係になるわけで,ギリシャのほうにはドイツに対する,もの凄い反感がある。ドイツのほうには何やってるんだ,ギリシャ人は,と。
小沢 一郎
遊んでばかりなんて言ってるわけですよね。(笑)
堀 茂樹
これは,不健全な関係を築いてしまった。
小沢 一郎
そう思います。
イギリスはユーロに抵抗してますけれどね。
堀 茂樹
イギリスはユーロ経済に入らなかった。
小沢 一郎
はい。 ユーロでも,本当に徴税権も皆一緒にして。貨幣だけじゃなくてね。 しかも,予算の作成も一つでやるって言うなら,これまだ別ですけども。 それぞれの国家が,予算と税収権を持ってるわけですから(問題が起きる)。
堀 茂樹
まったくその通りなんです。そうなんです。
小沢 一郎
そうすっと,歪みは,ますます膨らむだけです。先生の仰ったようなことは。
堀 茂樹
そういうことです。ですから,私はやっぱり当分の間,徴税権は(小沢さんが)仰るように,国がやって。 国がやるっていうことは,今日本では,例えば北海道のことも九州の人,あるいは沖縄の人だって,自分達の国のことだという意識がある。
小沢 一郎
はい。
堀 茂樹
これ,ヨーロッパには,ないんですよね。だから,この国民的連帯の意識っていうのは,やっぱりベースで大事にしながら,且つ,地方の多様性を活かす,という(小沢さんの)ヴィジョンじゃないかと。
小沢 一郎
はい。本当にそうだと思いますね。それでやっぱり日本は,まあまあ有史以来単一の国家の纏まりと民族の纏まりの社会ですからね。僕はそういうところで敢えて溝と言うか,格差と言うか,それを大きくするやり方は良くないんじゃないかと思いますね。
堀 茂樹
地域間格差を大きくするのは,良くないし。これ同じことが(言えるが)。階層間格差を大きくするのも,やっぱり良くない。
小沢 一郎
それで,地域住民の対立感情を生みますからね。仰ったようにね。
堀 茂樹
ということですね。
小沢 一郎
はい。
堀 茂樹
1つ,こんなことを小沢さんに伺うまでもないんですが,折角の機会なんで。これネットで配信されてますから言っておくと。
本当に驚いたんですが,道州制を強く推進している維新の会の議員さんがテレビで本当に喋ってらして...例えば九州は,日本の中央政府が中国と外交が上手くいかないときは九州が直で中国と外交をやる(笑)とか言ってましてね。(小沢氏も笑) これじゃあね,もう国民主権っていうものが分断するっていう話しなので。
小沢 一郎
(笑いながら)それぞれのブロックが,独立国家になる話しになっちゃうんですね。ふははは。
堀 茂樹
普通,地方分権というのは,連邦制にすることでもないと思うんです。
小沢 一郎
はい。
堀 茂樹
連邦制の国家だって,ドイツだってアメリカだって,外交は一つですよね。
小沢 一郎
そうですね,はい。
堀 茂樹
そこも全然違うと思うんですね。
地方を活かすっていう大きなオリエンテーションは,共通のところがあるので,まあ今後色々野党間でも協議して...
小沢 一郎
だから,私(わたくし)はね,その道州制の議論をしている人でも,ちゃんと話しすれば,わかると思いますよ。そんな突飛なことはね,できないですし,現実に住民・国民の全国レヴェル・アップを図っていくに,どうしたらいいかっちゅう議論をすれば,僕は自ずと問題は解決すると思います。
堀 茂樹
そういう地方分権。この頃よく「地域主権」っていうね,ちょっと紛らわしい言葉があってね。
小沢 一郎
はははは。
堀 茂樹
主権ってのは,政治的な概念でね。これはやっぱり,国民に存する。主権在民だと。
「地域主権」って,何だか調子に乗っていい加減なこと言うなよなと,私は普段思ってる。(笑)
小沢 一郎
(笑)民主党もその言葉使ったですね。ははは。
堀 茂樹
使ったんです。
小沢 一郎
ハイカラな言葉を。はははは。
堀 茂樹
どうかすると生活の党の何かにも 載ってたりしますんで,これ,ちょっと気を付けるべきです。
やはり地方分権だと。しかし断固として分権するんだ,っていうことですよね。
小沢 一郎
そうです。
堀 茂樹
それがまさに,経済の成長,本当の成長戦略であるんだ,と。成長に繋がるんだというお話だったと思うんですが。
小沢 一郎
はい。
堀 茂樹
内需拡大のこととか(のテーマにも),時間があれば戻りたいんですけどもね。
小沢 一郎
はい。
堀 茂樹
1つ,こんなことを小沢さんに伺うまでもないんですが,折角の機会なんで。これ(この対談は)ネットで配信されてますから(伺います)。
本当に驚いたんですが,道州制を強く推進している維新の会の議員さんが テレビで本当に喋ってらして...例えば九州は,日本の中央政府が中国と外交が上手く行かないときは九州が直で中国と外交をやる(笑)とか言ってましてね。(小沢氏も笑) これじゃあね,もう国民主権っていうものが分断するっていう話しなので。
小沢 一郎
( 笑いながら )それぞれのブロックが独立国家になる話しになっちゃうんですね。 はははは。
堀 茂樹
普通,地方分権というのは,連邦制にすることでもないと思うんです。
小沢 一郎
はい。
堀 茂樹
連邦制の国家だって,ドイツだってアメリカだって,外交は一つ。
小沢 一郎
そうですね,はい。
堀 茂樹
そこも,全然違うと思うんですね。
地方を活かすっていう大きなオリエンテーションは共通のところがあるので,まあ今後色々野党間でも協議して...
小沢 一郎
だから,私(わたくし)はね,その道州制の議論をしている人でも,ちゃんと話しすれば,わかると思いますよ。そんな突飛なことはね,できないですし,現実に住民・国民の全国レヴェル・アップを図っていくに,どうしたらいいかっちゅう議論をすれば,僕は自ずと問題は解決すると思います。
堀 茂樹
そういう地方分権。
この頃よく「地域主権」って言う,ちょっと紛らわしい言葉があってね。
小沢 一郎
はははは。
堀 茂樹
主権ってのは,政治的な概念でね。これはやっぱり,国民に存する。主権在民だと。
「地域主権」って,何だか調子に乗っていい加減なこと言うなよなと私は普段思ってる。(笑)
小沢 一郎
(笑)民主党もその言葉 使ったですね。ははは。
堀 茂樹
使ったんです。
小沢 一郎
ハイカラな言葉を。はははは。
堀 茂樹
どうかすると生活の党の何かにも載ってたりしますんでこれちょっと気を付けるべきです。
小沢 一郎
はい,そう思いますね。
堀 茂樹
やはり地方分権だと。しかし断固として,分権するんだっていうことですよね。
小沢 一郎
そうです。
堀 茂樹
それがまさに本当の成長戦略であるんだ,と。経済の成長に繋がるんだというお話だったと思うんですが。
小沢 一郎
はい。
堀 茂樹
内需拡大のこと,そっちのテーマにも,時間があれば戻りたいんですけどもね。
小沢 一郎
はい。
堀 茂樹
地方分権ということは いわば日本の大きな統治機構を変えることなので,この点で,私は小沢さんが別のところで述べておられたのを,非常に興味深く思ったことがありして。それは今,もしできれば,仰っていただきたい。
基本的に,歴史的に見ても,中央集権ってのは途上国。それで,地方分権は先進国になってくると有効な形だと,さっきも仰ってましたが。
小沢 一郎
はい。
堀 茂樹
こういう歴史的な観点や,政治の形の観点から,地方分権の意義というのを,どう思われますか。
小沢 一郎
ですから,近代ではそういうことですよね。それより以前は,地方分権ですよね。(笑)
堀 茂樹
そう,そう。もちろん,そうです。
小沢 一郎
ですから,近代国家の歩みとしては,最初は中央集権で産業を振興するとか色んなことでやってくるわけですが。それは,その国の中,あるいはその民族・同一民族の中でも,色んな特徴を封じ込める話しになりますよね。
堀 茂樹
確かに。
小沢 一郎
一つひとつ,これも良いな,これも良いな,お前の言うことも良い,なんて言ってたら,それは,中央集権にならなくなっちゃうですから。中央集権は,一つの目的に向かってバッと引っ張っていくとこが,中央集権ですから。
堀 茂樹
確かに,確かに。 これ,小沢さん,言語もそうですね。
小沢 一郎
ああ,ああ(納得して)。
堀 茂樹
日本は,日本語ですけどね。でも,方言も多くあったりしますが。
小沢 一郎
はい。はい。
堀 茂樹
世界の国には,言語的統一のない国がいっぱいあります,特に途上国では。
小沢 一郎
ヨーロッパでも,そうですよね。
堀 茂樹
ヨーロッパでもそうです。近代の発展途上の,近代の前期と言うか初めから,離陸していくときは,かなり強引に原語を統一したってことがあるんです。
小沢 一郎
そうですね。だから,中央権力が引っ張っていかなきゃ(発展できないので)そのときは,どう仕様もないんですよね。しょうがないんです,ある意味で。だけど,それによって失ったものを今になってちょっと懐かしく回帰して,却ってこれを活かしたらいいんじゃないかっちゅう考えが生まれてきて当然なんですね。
やっぱり,全部,今まではそういうものを無視して,一つの目標に向かって一つのことに向かって,権力で引っ張ってきたわけですから。
だからそれを,やはり今,色んな矛盾が出てきて,私は,日本はちょうど,中央集権による国家の統治ということをここで大転換する時期に差し掛かってるんじゃないかと思います。
堀 茂樹
それじゃ,今の安倍さんの国家主義はもう全然時代遅れなんじゃないですか。
小沢 一郎
うーん。あの人は,ちょっと何考えてるか,よくわからないんですけれども...ちょっとわかんないですね。想像はできますけどね。(笑)
堀 茂樹
国家が大事なんですよね,あの方はね。それで,国民じゃないんですね。
小沢 一郎
その通りなんです。その国家というもの,日本国家をどういうふうな国家にし,どういうとこに引っ張っていこうとするのか,ちょっと,わかんないんですね。大国・日本というイメージなんだと思います,彼は,多分ね。 戦前の5大強国と言ってね,日本が世界の中で軍事力の強大な5つの国 <第1次大戦後・戦勝国の英・仏・米・伊・日> になってましたからね。
堀 茂樹
列強になってましたからね。
小沢 一郎
はい。まあ,そういうことをイメージしてんのかなという気もしますけども,聞いてみたことないから,わかりませんが。はははは。(笑)
堀 茂樹
私は安倍さんの個人的なナルシシズムだと思いますけどね。つまり「美しい日本」というのは,自分を投影してるんだなあ。自分が好きなんだ。自分の,素晴らしいイメージなんだと,いう気がして...(笑)それはちょっと余談ですので。
政治的に見ても,国政レヴェルと地方行政レヴェルと,両方しっかり持つという,この,小沢さんの地方分権ヴィジョン。
本当に真面目な話し,今の世界の...今でもそれが大問題なんですけど,世界の政治哲学の最前線と言ってもいいんですけど,そこで,結局のところそれが論争されていることなんですが,デモクラシーの両面を,よく言うんですね。
小沢 一郎
はい。
< 続く >
◇
小沢一郎の,雇用安定化・少子化解決を見据えた地方分権【4】
http://4472752.at.webry.info/201407/article_12.html
2014/07/08 15:06 銅のはしご
http://www.youtube.com/watch?v=d8EuUgpaKzM&feature=youtu.be
2:00:02 文字起こし。読み易くするため,若干語順などを整えました。
対談【4】01:18:28〜01:37:00/2:00:02
堀 茂樹
政治的に見ても,国政レヴェルと地方行政レヴェルと両方しっかり持つという,この,小沢さんの地方分権ヴィジョンはね,本当に真面目な話し,今の世界の...今でもそれが大問題なんですけど,世界の政治哲学の最前線と言ってもいいんですけど,そこで,結局のところそれが論争されていることなんですが,デモクラシーの両面を,よく言うんですね。
小沢 一郎
はい。
堀 茂樹
1つは,国家権力やそういうものによって,個人の自由を侵されないということ。これが人権だということが,1つあります。
でも,人権というのは,個人が政治に参加する,主権を担うんだ,という側面もあります。
小沢 一郎
はい。
堀 茂樹
そうしますと,これを,前者のほうを強調すると,自由主義型のデモクラシー。後者のほうを強調すると,いわば参加型のデモクラシー。この両者をどうやったら...
一方だけでは,個人には国家権力に対して「ノオ」と言う権利だけは,あるんだけど,「こういうふうに国を作っていこう」というようなことを(発言して)参加できない。
かつ,参加型の民主主義を強調するとですね,「民主主義で決めたことなら何でもいいんだ」と。言ってみれば,今の自民党の憲法改正草案には,基本的人権を軽視する体制の方針がありますけれども,ああいうことは,言ってみれば,民主主義の名においても,決めると民主主義に矛盾する。その意味では,民主主義の名においても,やっちゃあいけないことを やろうとしてるわけなんですね。
自由主義型と,市民参加型の(デモクラシー)はよく,対立すると言われておるんですが,これの1つの決定的な解決策は,国政レヴェルでは自由主義型をやる,と。そして地方分権して,地方行政レヴェルでは,市民が個人としてあるいはアソシエィションとして,参加して。身近な問題だから,本当に自分達が作っていく。そういう,自律して作っていくというほうをしっかりやる。そして,例えば安全保障とか,警察権とか,そういうものに直接,市民が参加するわけにいかないので,そちらは,国政は,しっかり中央政府がやって,しかし,中央政府の権限はきちっと限定をしておく。
本当に簡単に略して言いましたけど,政治哲学の直接民主主義か間接民主主義かというずうっと議論されているその問題(について)ピタッと,解決策を持ってくる(小沢氏の地方分権)ヴィジョンだと。そういうものに,もの凄く興味があるんですが。
小沢 一郎
国政と,地方と,役割分担をきちんと線引きすりゃあいいと思うんです。
近代国家の中でも,スイス(≒直接民主制)みたいにね国民投票で決めるという例外的なところはありますけど,その他のところは,住民が全員参加して全部一々決めるちゅうことは不可能ですから,代議制を採る以外ないですね。
堀 茂樹
スイスは例外ですね。はい。
小沢 一郎
そうすると,やっぱり,その弊害を除くと同時に,非常に効率的・機能的にするには,役割分担する以外ないですね。
今,官僚支配の弊害ちゅうのが,例えば消費税の話しがさっき出ましたが,予算の面でも,一般の人は国政レヴェルの役所=霞が関で(何が行われているか)その中身のことについては,知る術がないですよ。
堀 茂樹
ないですね。
小沢 一郎
何やってるんだか,わかんない。
堀 茂樹
わからない。
小沢 一郎
本当のこと言うとね,政治家だって,わかんない。
堀 茂樹
ははは。(笑) はい。
小沢 一郎
絶対、言わないから,彼等は。
堀 茂樹
ああ,はい。
小沢 一郎
多分,所管大臣にだって,上げることなんかは(ない)。まあ,どうでもいいことしか上げないですよ。 大事なことは,絶対,大臣に上げないですよ。
そのぐらいね,非常にクローズド closed なね,官僚・権力の中に,今,行政が政治が行われているということになります。
堀 茂樹
はい。
小沢 一郎
ですから僕は,ムダ金はいくらでもある,と(主張した)。これをもう,ムダを省けば,多少の当面の金ぐらい,いくらでも出ると言ってたんですがね。
堀 茂樹
はい。
小沢 一郎
民主党(政権)のときは「いや(金は)ない,ない、ない,ない」つってね。「小沢,ヘンなことばっかり言う」つって,役人の言う通りで消費税作ったんですがね。自民党になった途端にバッカスッカ,バッカスッカ使うでしょ。
堀 茂樹
今,国債をどんどん出して...
小沢 一郎
だからね,国債を出す前に,もっと色んな,貯めてた,役所の財布・懐から取り出せるんですけど。
いずれにしろ,そういう,一般国民の皆さんがムダが多いに決まってると思いながらも手が届かない。 代表の国会議員でさえ,手が届かない。 その厚いヴェールの中で(行われているから)。
堀 茂樹
はい。
小沢 一郎
ところが,そのお金をですね,権限と一緒に地方に移しちゃえば,同じように,それは隠そうとするでしょう。お役所や,担当者の人は。
だけども,地方だと,それは毎日,目の前でやってるわけですから。
国民の皆さん,住民の皆さんの監視の目が届きやすいんですよ。
堀 茂樹
そうですね。
小沢 一郎
霞が関まで来るんじゃ,とてもじゃないけど,できませんけれど,自分の町の中で 「 あすこで,市役所で,何やってんだ 」「 あれ,ヘンじゃないか 」 とか(疑問点を表面化できる)。
というのは,皆なの目がありますから,そのチェックが,国政で金も何も全部握ってるより,遥かに,住民の皆さんのチェック機能が働く。
そういう意味からも,住民参加の良い面が出てくると,私(わたくし)は,そう思ってんですよ。もちろん,雇用の問題や何かも当然ですけれども。
そういう点からも私(わたくし)は,地方分権が良いと思ってんです。
堀 茂樹
そうですね。だから,まさに300〜400ぐらいの基礎自治体であれば,それができるわけですよね。
小沢 一郎
はい。それはもう,自分とこのね,市役所ですからね。それは,皆なが見てますから。毎日,毎日見てるんですから。
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堀 茂樹
日本は,若者が減ってると言うけれども,私の狭い見聞の範囲かも知れませんが,今の若者,学生や何かでも,甘やかさないで高いハードルを突き付けたほうが,やる気出したりする学生が多いんですよね。
小沢 一郎
はあ,はあ。
堀 茂樹
「易しいですよ,易しいですよ」って,こちら側 教授のほうが何か甘いオブラートに包んで,ものをあげるよりも(厳しい態度で)「これは,わかるようになれよ」っていう感じでハードルを突き付けると...やっぱりチャレンジの意識は,若者にはあるんですね。それから,向学心だってね,色々悪口言われてるけど,やっぱりあるんですね。
だから,そういうエネルギーそれがまさに中央,国家だと,わけわかんないところにある。 もっと近いところで,そこへ参加できれば,エネルギーが発揮できると私は思うんですね。
小沢 一郎
はい。
堀 茂樹
これ結局のところ,地方で,基礎自治体でできることは,全部やる,と。基礎自治体でできないこと,つまり国家でしか担えないようなことは,国家でやる,と。こういうことですよね。
小沢 一郎
はい。
堀 茂樹
これは,プリンシプル・オヴ・サブシディアリティ principle of subsidiarity(補完性の原則)って言って,ヨーロッパ統合の中で非常にキー概念だったことがあるんですね。
subsidiarity : 〔政治〕(下級機関への)権限移譲 ; 小政府主義 ; 規制緩和主義《中央政府は地方レヴェルでできない活動だけ管轄権を行使すべきだとする主義》
小沢 一郎
成程,ほう。
堀 茂樹
ところが,ヨーロッパ統合が,我々が地方分権でやろうとしているのとは逆転で(ユーロ圏としてなされることで)今,上手くいってないんですが。
要するに,身近なところでやれることは,全部,身近なところで自律的にやると。そしてそれが担えない所は,上のレヴェルでやるというプリンシプル=原則なんですね。
本当に政治的に見ても意味があるし,かつ実際に,具体的にお話しいただいたように,経済・地方の多様性を活かすし,活性化に繋がるし,人びとのやる気を引き出しますよね。
小沢 一郎
はい。(頷きつつ)そう思います。
堀 茂樹
そういうことですよね。はい,有り難うございます。
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堀 茂樹
そうしますと地方分権と直接関係があるんですが,今,雇用のことを(取り上げたい)。さっき,正規,非正規(雇用)ということをお話しいただきましたが,これ,色んなことがある。
女性の労働力をどうやって引き出すかだとか,高齢者の場合はどうするかとか,実際,本当に雇用の安定があるほうが「流動化」という名の不安定化よりも,日本人の潜在能力を引き出し,かつそれが,単に安心な社会っていうだけじゃなくて,やっぱり積極的な成長に繋がるんだと。
もうちょっと,その辺り,小沢さんとして(のお考えを)。
じゃあ実際正規雇用を確保するのには,どうしたらいいでしょうか。
小沢 一郎
基本的な問題として,日本は大陸・欧米と違いまして,まだそれぞれ各自の自立的な,自立心と言いますか,自立的な考え方ちゅうのは弱いですから,そういう意味では,彼等はクビ切られてもそのときは「まあ,しょうがない」みたいな感じで,またやり始めてますが...その「雇用の流動化」がもたらすプラス・マイナス,それから「雇用の安定化」がもたらすプラス・マイナス,両方,プラス・マイナス考えますからね。
堀 茂樹
両方,プラス・マイナスはある。
小沢 一郎
あると思います,両方ね。日本社会では,僕は「雇用の安定化」がもたらすプラスのほうが大きいと思います。
堀 茂樹
成程。
小沢 一郎
ですから,そういう意味で,自分が能力あって,あっちこっち転職してでも自分に合ったところの仕事を見つけていくと,その自由は当然保障していいんですけれども。
堀 茂樹
ああそうですね。それは自由主義経済だから。
小沢 一郎
それはもう,自由にやれる人は自由にやればいいんで。 ただ,そうではなくてやはり,ここの会社へ勤めて一生懸命自分はこれで頑張るんだという人がね,途中で会社具合悪くなったらクビになるっつう話しになっちゃたらね,そこで一生懸命やろうという気持ちが薄れちゃいますよね。
堀 茂樹
ふむ,ふむ。
小沢 一郎
特に日本人の場合は,そういう傾向が強いと私は思います。ですから,やはり「雇用の安定化」のもたらすプラスのほうが,日本の場合は強いと思いますんでね。
今,安倍内閣の進めている「雇用の流動化」=「雇用の不安定化」っちゅうことは,日本社会の不安定化に繋がるんじゃないかと。
そういうことで,僕は心配してます。
堀 茂樹
成程。つまり,日本の良い面も悪い面も,長所・短所両方あるけれども,日本の持っている,与えられていると言うか,我々の社会文化というものを踏まえて適切な策を採るべきだと。
小沢 一郎
はい,そう思います。
堀 茂樹
それはその通りなんですが,実際例えばどうやって...
グローバリゼィションになってるので,特に大企業などはコスト削減のためになるべく 非正規(雇用)にもっていこうとしていますので,これをどの程度 国家が介入して,つまり自由主義経済をないがしろにすることなく,どの程度国家が正規雇用を増やすほうに...
現在は,非正規(雇用)を増やすほうへ,どんどん補助金やったりするが,逆に,正規雇用をしっかりある程度作るというために,どうしたらいいんでしょう。
小沢 一郎
僕はね,やっぱり,社会・国家が関与すべきだと思います。こういう規制は,あったほうがいい,と。 だからクウォータ制みたいにね。
堀 茂樹
クウォータ制,ああ。
小沢 一郎
例えば他の国でも,日本でもやってますが,障がい者を雇えとか,あるいは多民族国家では黒人を雇えとか何を雇えとかちゅうのは,ちゃんと国が社会が,規制してますね。
堀 茂樹
はい。
小沢 一郎
私は,その意味では,この問題についても,最低この会社が運営を維持していける人数については,というところから割り出して,クウォータ制を,やっぱりやるべきだと思います。
堀 茂樹
成程。
小沢 一郎
それで,さらにもっと景気が良くなったから,もっともっと臨時に人を雇うっつうのは,それはもう,自由でいいんですけれども。
そういう意味での規制は,私は,国民のために良い規制だから,国家がやるべきだと思います。それとさっき仰った,老人と女性ね。
堀 茂樹
あ,ちょっとその前に,そういう規制に加えて,あるいは規制という手法よりも,いやそれも必要だと思う(が)税制面で,何かそういう正規雇用をちゃんとやる企業(に対して)何とかしてやる...
小沢 一郎
制度面と税制面と。歳出ですよ,要はね。 国家で言えば,歳出面。 税制面と制度面と,そりゃあ両方なきゃ(なら)ないと思います。はい。
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堀 茂樹
成程。 じゃあ,女性だとか高齢者のこと,これはどういうふうに。
小沢 一郎
特に,財界は,少子高齢化で労働力が「ない,ない,ない,ない」ね,言ってるでしょ。
堀 茂樹
はい。
小沢 一郎
ほんで何か,外国から労働力入れるみたいなね。僕はこれ,本当にね,不遜な考えだと思ってんですよ。
堀 茂樹
不遜な考え。移民を入れるってこと(に関する財界などの考え)ですね。
小沢 一郎
単なるコストの削減のために,人間を,他の国の人間を入れるっちゅうことでしょ。
堀 茂樹
そうです。
小沢 一郎
(憤懣遣る方無い口調で)それは,奴隷を買うみたいな話しですよ。
堀 茂樹
そうです。
小沢 一郎
同じことでしょ。
堀 茂樹
そういう意識で,移民を入れようとしているんですね。
小沢 一郎
だから,もの凄く,いけないと思うんです,これは。
堀 茂樹
ああ。成程。
小沢 一郎
だから,そんなことしなくても,きちんと子どもを産み育てられる環境を社会が用意すりゃあね,人口はね,絶対増えますよ。
そりゃあ,今のまんまの出生率で言うと,百年後に半分? 七百何十年後には日本人1人もいなくなるわけですよね。
堀 茂樹
ええ。
小沢 一郎
そういうことで,何か「 大変だ,大変だ 」「 外から安い人間買って来い 」 みたいな話しが横行してるちゅうのは,僕は,非常に良くないと思います。
堀 茂樹
ふむ。
小沢 一郎
ですから,子どもを産むのは女性ですけれども,それでもちゃんと産んで育てて,あるいは仕事をしたい人は仕事をしてという社会のシステムを,作ればね,私は絶対人口は増えると思いますよ。
堀 茂樹
長期的にはね。
小沢 一郎
「子ども手当て」もね,自民党になって,なくなっちゃったですけど。 あれはもう,ずうっと前からフランスやドイツでは,相当高い金出してるんです。
堀 茂樹
いや,もう比べものにならないですよ。
小沢 一郎
それで,フランスは出生率2点いくつに <2006年に合計特殊出生率 2.1 に回復> なっちゃったでしょ。金だけではないですけど。
堀 茂樹
ええ,金だけではないです。
小沢 一郎
社会が,そういった色んな面で,出産や子育てについて,あるいはその雇用について,きちっとしたシステムを作ってやれば,絶対,少子化なんか すぐ解決すると,僕は思ってるんです。 それから,老人ね。今僕も老人の域に入ってきてますけれども。
堀 茂樹
(笑)いや,まだ壮年...ははは。
小沢 一郎
(笑いながら)ある意味で,老人,元気でしょうが。
堀 茂樹
はい。(笑)
小沢 一郎
元気な老人を,利用しない活用しないちゅう手はないんですよ。
堀 茂樹
ああ。
小沢 一郎
60(歳)でね,皆仕事辞めてボーッとしてたらね,どっかこっか悪くなっちゃいますよ。 それで,医療費ばっかり かかるちゅう話しになるでしょ。
堀 茂樹
ええ。
小沢 一郎
医療費も,今もの凄いかかってんのは老人医療ですよ。日本人の場合は特にですね,それは何か生き甲斐を持って(生活するのを望んでいるのに敵わないことがあるからだ)。 欧米人は,早くリタイアして遊びたいってことのようですけど。
堀 茂樹
ええ,アンケートをとると,やっぱり一番欲しいのは生き甲斐だって言うね...
小沢 一郎
生き甲斐なんですよ。 それは一生懸命仕事することでも,趣味をやることでも,何でもいいですけれども。やっぱ,日本人の場合は大概,死ぬまで生き甲斐持って働きたいちゅう人のほうが多いんじゃないですかね。
だから,そういう高齢者の活用ですよ。これも社会的システムをきちんと作ればね,まだまだ元気ですから。 それこそ,死ぬまで一生懸命働いてもらうということも,僕は可能だと思うんです。そういうことですよ。
堀 茂樹
そうですよね。
中小企業で働いて,実に高いレヴェルの質の良い技術を持った人がよく話題になるのは,中国あたりに(技術指導者として)教えに行ってますよね。あれ,日本で もっと教えて,引き継いでもらわないとね。
小沢 一郎
韓国,中国で,そういう人達を皆 引き抜いていってるでしょ。
堀 茂樹
そうですね。
小沢 一郎
教えてちゅうよりも,定年終わってから向こう行って,ずっと就職するちゅうね。
技術の流出にも繋がるって言うか,日本でその技術を活かす機会を(日本が)自ら失ってるっちゅうことですよ。
堀 茂樹
失ってる...そうですよね。
< 続く >
◇
小沢一郎の,子育て=次世代を育てる人びとを勇気づける理念・意識【5】
http://4472752.at.webry.info/201407/article_13.html
2014/07/09 15:36 銅のはしご
http://www.youtube.com/watch?v=d8EuUgpaKzM&feature=youtu.be
2:00:02 文字起こし。読み易くするため,若干語順などを整えました。
対談【5】 01:36:38〜01:49:32/2:00:02
小沢 一郎
教えてちゅうよりも,定年終わってから向こう(韓国・中国などに)行って,ずっと就職するちゅうね。技術の流出にも繋がるって言うより,日本でその技術を活かす機会を(日本が)自ら失ってるっちゅうことですよ。
堀 茂樹
失ってる...そうですよね。
確認しておきますと,少子化。現在日本の(合計特殊)出生率は 1.43 なんですね。これじゃあもう,全然人口を維持できない。
常に少子化の問題(を言う)ときには,これを克服するのに成功しているということで,先進国の中ではフランスがいちばんに例に上がりますが,これは 2.00 を超えているので。 それでも十分とは言えないけれども相当いい線行ってる。加えて,あの国は移民も入ってきている。移民のことは後で戻って話しますけど。
小沢 一郎
それは旧植民地から入ってきてますね。
堀 茂樹
(それは)多いです。人口は,まあ(フランスでは)維持されてる。
ロシアがね,復活している。色んな意味で(笑)。強権的なことも含めて復活してきていて,1.3 ぐらいしかなかった(合計特殊出生率)が,やっぱりそういう国家の施策によって,現在 1.7 まできているんですね。
小沢 一郎
(ロシアは)豊かになってきましたしね。
堀 茂樹
日本だって,やれないことではないですね。
小沢 一郎
いや,できますよ。絶対できますよ,うん。
堀 茂樹
ですから 小沢さんの考えとしては,移民導入によって人手不足を解消するというやり方が「不遜だ」と言うことは,特にそれは 移民の人達に対する,尊厳を何か全然認めないような形で,単に労働力として...
小沢 一郎
途上国の人達に,色んな技術を教えるという意味での修業の場を与えるのは,それは積極的にやるべきだと思うけど。
ただ単に,単純に労働力が不足だから入れるっちゅうのは,これは本当に,いけないと思いますね。
堀 茂樹
そうですね。ヨーロッパでも,それでもの凄く社会の軋轢もありまして。だけど,私が知る限り,移民を入れよう入れようと旗を振っている日本の人達は,何にも考えてないと思いますね。
ヨーロッパ.フランスでもドイツでも,イギリスでも,色んな社会問題が起こっていますが,しかし同時にそれは,確かに多様な背景を持った人達が入ってきて,その国の文化をまた活性化していくという面もあるんですが,しかし,コストも高いです。社会的なコストも高い。
それを,フランスやイギリスやドイツの 政府が,その移民の人達のために,社会統合のために一体化を失わないために,どれだけ,努力してるか。
これはもう,今話し出したら,きりがないんですが。日本で(移民導入を)言っている人達,旗を振っている人達は,まったく考えてないと思いますね。
小沢 一郎
当面の自分達の企業経営だけなんですよ。
堀 茂樹
ええ,そうするともう本当に,10年20年30年したら,エライことになると思います。
小沢 一郎
社会保障関係費だって,もの凄く増えますしね。
堀 茂樹
そうです。
小沢 一郎
大変なんですよ,コストは。
堀 茂樹
そうです,そうです。 ですから,フランスでもそうですが,それは正規で合法的に外国人が滞在している場合は,社会保障から何から民間の(企業は)すべて保障するわけですよ。政治的権利は与えてないですけれども,それ以外の権利は人間として保障するわけなんで。それが当たり前なんだけど,日本では,それも考えてないんじゃないかと思う。
小沢 一郎
そう思いますね。はい。
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堀 茂樹
で,むしろ,小沢さんとしては,少子化克服のほうに大きな努力を払うべきだということ。
小沢 一郎
少子化対策を「子ども手当て」 みたいな色んなことをやるという,根本的な対策と,それから女性とお年寄りを有効に使う仕組みを作る,と。はい。
堀 茂樹
根本的な(施策である) 例えば「子ども手当て」のことも,あのときよく「バラマキだ,バラマキだ」って言われましたですよね。
小沢 一郎
そうですね,はい。
堀 茂樹
それから「お金だけの問題じゃない」なんていう反論されたりもしたが,当たり前ですよね。お金だけのことじゃないのは。
小沢 一郎
うん,金だけじゃないですよ。はい,そうですよ。
堀 茂樹
お金だけの問題じゃないけど,お金が補助してもらえるってのは(重要で) 実は,子ども育てていくのにはお金がかかりますから。
小沢 一郎
意識的にもね。
堀 茂樹
(意識的にも)違います,違います。
小沢 一郎
やっぱり,国家や社会がそういうことに目を向けてくれているということは,非常に私は,その人を勇気づけると思いますよ。
堀 茂樹
私,実感として,下の娘が1年だけ(子ども手当て支給対象に)引っ掛かったんですね。それで,何か振り込みがあった。ああ,こういうことなんだなあ,と思いましたけどね,あのときね。その後はもう...
小沢 一郎
(笑)。今は,都会で「待機児童」なんつってね,保育園だ幼稚園だにも入れないでいるっちゅうこともあるから。そういった類いのことも全部きちっと整備していくことによって,僕は(少子化の克服について)大丈夫だと思う。
堀 茂樹
それもあるし,私は「子ども手当て」的なものをもっと出すべきだと思いますが,しかし実際のこの頃の日本人は,意識が高くなって,いわば本当に日本人の多くの人にとって,いちばん自分にとって大事なものは,それは「自分の子であれ他人の子であれ,子どもだ」っていうことは,あるんじゃないかと思うんですね。「次の世代だ」と。
そのことを考えると,まして自分の子どもだと教育を与えなきゃいけない。ところが日本は,教育費が高いんですね。
それで,大学の教育費って言ったらもう,ちょっと信じられないような額ですし,それが,国立でも高いんですね。年間で70万円,80万円。しかも,それだけで済みませんし。そして今は,何しろすべて東京が中心ですから,地方の教育熱心な人が,エライよくできる子がいて東大行くんだったら,東京へ送らなきゃならない。東京に住まなきゃならないんですね。子どもを遠い所へ住まわせるのは,これも金がかかります。
そういうことを考えると,まず1つ。地方分権も,よく(小沢氏が)仰っている,会社が地方に本社を置けるように,ということもあれば,同時に日本の旧帝大を中心に地方の大学の強化。東大だけ突出させておくっていうんじゃなくて,地方の大学をもっと強くするということも含めて。そうすれば,子どもを遠い所へ住まわせるっていうことの教育費(の負担)もちょっと減りますし。
加えて,大学の教育費だって,日本は,突出して高いんです。
アメリカやイギリスが高いって言う話はよく出るんですね。これは,アメリカやイギリスは 私立の大学がトップですから。これはもう,日本とは比べものにならない。 アメリカの名だたる大学なんて1年間に 500万,600万,700万円(の学費)。 もう本当に特権的な人しか入れないのでね。 だけど,あすこはまた別のシステムがあって,奨学金で大きくカヴァーしているところがあります。
だから結局のところ客観的に見ると,大学教育を受けさせようと思うと非常に金がかかるのは,日本がいちばんぐらいなんですね。
そして,教育費の歳出の割合ってのは,日本は,OECDの中で,最低の額ですよ。これも少子化対策としても重要なんじゃないかと思います。
小沢 一郎
そう思います。ですから,赤ちゃんのね,小っちゃいときの,育てるという環境と同時にね,今度はそういう成長してきた(子どもの)教育のことですね。。
だから,地方分権ちゅうのは,単なる予算や権限を移すだけじゃなくして,そういった教育や文化施設やあるいは娯楽施設も含めてですね,そういうものがないとですね,実際のコミュニティは,成り立たないんですよね。
堀 茂樹
成程。
小沢 一郎
ですから,私は,そういうことを踏まえての地方分権論じゃないといけないし,まあだいたいは,権力と財政が移っていけば,それに付随してきますけれども。
しかし,先生仰ったように,教育なんかの場合は,特にそこは新しい知恵を出して考えていかなくちゃいけないと思いますね。
堀 茂樹
どうですかね。大学だとか高等教育は,かなり地域に密着した形で強いものを作っていく,と。
いずれにしても小沢さんの地方分権のヴィジョンってのは,大きな改革ヴィジョンでありまして,これは,夢があると思うんですけれども。今の枠組みの中でチョコチョコ何かを動かすということじゃないですよね。
小沢 一郎
そうです。もっと根本的に変えよう,と。
堀 茂樹
根本的ですよね。
それで,1つ,議論になるかも知れないと思うのは,初等教育ですね。
簡単に言えば初等教育ってのは,基本的な社会的な礼儀と,あとは読み書きソロバンだと思うんですね。 読み・書き・計算だと思います。そういう基本的なところが,日本は中央集権の国民国家でやったお蔭でか,もの凄く強い。 私も外国に長いこといましたから,日本に帰ってきたら,日本のその,何て言うんでしょう...大学エリートじゃない一般の人びとの知的レヴェルが,もの凄い高いんですよ。 これが,日本の力だって,もう,どうしたって,思うんですね。
小沢 一郎
はい,そう思います。
堀 茂樹
それは,やっぱり本当に地方に格差を作っちゃいけないので,何処へ行っても最低の,これはやれるっていう,どっちかって言うと むしろこれは,国家の,中央政府の責任で やるべきじゃないかと思うんですが,どう(お考えか)。
小沢 一郎
中央政府(の役割について)? はい。特に小いちゃい(子どもの)初等教育のあれは,やっぱり,先生だと思うよ。
堀 茂樹
ああ。
小沢 一郎
良い先生ちゅうのは本当に教育に情熱を持った先生。(そういう先生を)それに充てることだと,私(わたくし)は思う。 そのためには,やっぱり先生の身分・立場,それをきちんとしたものにしないとね,いけないんですよ。
堀 茂樹
そうですね。
小沢 一郎
昔は田舎だと「先生と,お巡りさんと,お寺の坊さん」と,言ったでしょ。
堀 茂樹
そうです。
小沢 一郎
そのぐらい地域社会で,あるいは国家としても,それだけの評価を与え,そして(先生も)生活・現実に食ってかなきゃなんないですから,そういう生活の点においても,僕は,教育に当たる人達に手厚くしていくべきだと思うし,そこの面については,やっぱり国が責任持つべきだと思いますね。
堀 茂樹
そうですね,そうですね。(その考えに)大賛成でしてね,私は本当にね。初等教育・中等教育ぐらいを担っている先生達が,今,疲弊するぐらい忙しいんですね。そして,決して給料は高くないです。だからこれは,日本はね,何が強みかと(言えば)人間だと思うので。優れたレヴェルの人びとが大勢,沢山いる。
先程(小沢代表が)いらっしゃる前に,残念なことに日本は政治文化のレヴェルが低いっていう話しをしてたんですけどね。しかし一般のレヴェルってのは,これは,高い。
聞かれ方によっては誤解をうむかも知れませんが,私はヨーロッパから日本に帰ってきたときに,スーパーマーケットの店員さんが,あっという間に足し算・掛け算・引き算・割り算ね,できる。 こんなの,できないんですよ,向こうの人は。だからね,もう,本当にそういう差が(歴然とある)。そのことの基礎的なレヴェル(が日本はすぐれて高い)。
それから,日本のマスコミも問題多いですよ,それは(苦笑しつつ)問題多いんだけど。 それでも,朝日新聞や読売新聞や毎日新聞やそういうのが,あれだけの部数出ていて,あれだけの文章を読む人達がこれだけいるっていうのはね,これはもう大変な力なんで。
これ,絶対に衰弱しないように。今,衰弱しつつあるようですから。
< 続く >
◇
小沢一郎の,「人気取りの票読み公約」に頼らず 理念を主張する選挙【6】
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2014/07/09 16:16 銅のはしご
http://www.youtube.com/watch?v=d8EuUgpaKzM&feature=youtu.be
2:00:02 文字起こし。読み易くするため,若干語順などを整えました。
対談【6】 01:49:32〜2:00:02
堀 茂樹
それから,日本のマスコミも問題多いですよ,それは。 (苦笑しつつ)問題多いんだけど,それでも,朝日新聞や読売新聞や毎日新聞やそういうのが,あれだけの部数出ていて,あれだけの文章を読む人達がこれだけいるっていうのはね,これはもう大変な力なんで。
これ,絶対に衰弱しないように。今,衰弱しつつあるようですから。
小沢 一郎
はい,そう思います。それでね,やっぱりね,先生方をもっと,もっと尊敬し敬意を払って,そういう存在にしなきゃね,子どもだって言うこと聞きませんよ。だから今は,先生方は,PTAに気兼ねしたり,何だりかんだり色んなとこに気兼ねしなきゃならないでしょ。
堀 茂樹
いわゆるクラブ活動,部活というのに,週末まで(時間を拘束されている)。
小沢 一郎
子どもにまで機嫌取ってたんじゃね,そらあ教育なんか,できっこない。ビシビシ,ね,やっぱ。 僕等んときは,そうでしたよ。今ちょっと先生がひっぱたいたりすると,何かマスコミでワアワア,ワアワアなるでしょ。
堀 茂樹
ははは。
小沢 一郎
あんなのもう,しょっちゅうでしたからね。
堀 茂樹
(少し呆れたふうに笑いながら)ああ,そうでしたか。体罰はよくないと思うんだけど。(笑)
小沢 一郎
あのね,やっぱ,多少小さいときはね,必要なんですよ。 だって,ヨーロッパだって鞭だの何だの...
堀 茂樹
(困ったもんだというふうに笑いながら)いや,いや,今は,やりません。
小沢 一郎
また復活しようって意見あるぐらいでね。
堀 茂樹
いやあ,それは。(否定的に首を傾げながら笑い)
小沢 一郎
僕は,体罰悪いとは思わないんですよ。
堀 茂樹
ほお,そうですか。
小沢 一郎
それでね「いじめ」って今,あれ(問題)になってるでしょ。いじめって,僕等のときだって,あったんですよ。 ガキ大将がいて。 もう,ワンワン,ワンワンやられたんですよ,殴られたり何だり。
だけど,何故,そんときにおかしなこと起きなかったかと言うと,ちゃあんと代々,代々ね,次々次々と,その限度を心得てるんですよ。 だから,いくらいじめても殴っても何しても,怪我をするようなこととか,あるいはそれを除け者にしてあれするとかじゃなくて。皆な,やっぱりひとつの(連帯感に近いものがあった)。 僕等,子どもばっかり多い町だったもんですから,そこで遊んで暮らしたんですが,除け者にするんじゃなくて,いくら殴ったり何だりしてても,ちゃあんと仲間としてずうっと一緒に遊んでくれるという意味でね,善し悪しあるけれども。今の雰囲気見るとね,余計その良い点が目立ってくるんですがね。
堀 茂樹
昔の(子ども達の)ね。
小沢 一郎
昔のね。ところが,今の子どもはね,家の中(ばかり)で外で遊ばないんです。 全然外で遊ばない。学校でまで。
僕等はもう,時間がありゃあ外で遊び,道路で遊び,学校行っちゃあ遊んでね。しょっちゅう皆なで,こう(大勢が一緒で遊びを)やってましたよ。
だから,そこから,社会の仕組みと言うか,長幼之序とか,あるいはお互いの仲間の連帯とか,色んな意識を,多分学んできたんだと思うんですよ。
あまりにも今,何か,子どもに全部自由にさせる,好きなようにさせる。
自由にさせるのと,好きなようにさせるのと,違いますしね。
だから,僕は,いちばん学校の先生をもうちょっと権威あるものにすべきだと思う。
堀 茂樹
(先生を)権威あるものにすべきだと。
それは,小沢さん,それはもう時代が変わってね,今,語っていただいたような(ことは)私の ちょっと上の世代(のこと)なので十分想像できる,わかりますけど,それにそのまま戻るわけにはいかないですね。 ただ,基本の,先生が尊敬できる人物である。それで社会的にもそういうふうに扱われる。それだけの...週末に自分が疲労してしまうような,そういう労働を与えないとか...基本的なところは,それを新しい社会の中で回復しなきゃいかんと思うんですね。
今の「いじめ」のことも,もっと厭らしいって言うか,精神的な「いじめ」にもなってる。
小沢 一郎
だから,それはね,一人で孤立してるからですよ。
堀 茂樹
そうです。
小沢 一郎
仲間と一緒ならばね,いいんですよ。
堀 茂樹
共同のね。
小沢 一郎
それが全部,一人ひとりでしょ。 何か本当に神経の細かい人は,もう,そうなっちゃうんですね。おかしくなっちゃう。
堀 茂樹
そうですね。
小沢 一郎
だから,やっぱり,悪い点もあるけどね。 ガキ大将がいて威張っててね,よく殴られてあれだったですけれども,それでも僕は,ガキ大将も殴られた先生も,全然懐かしく想い出す。決して何のあれもないですね。
堀 茂樹
私(の時代)は,ガキ大将がいて,自分はガキ大将になれる体力がないので,独りでもガキ大将に反抗するということをやってまして,今でも,小沢さんを支持するのはそういう(笑)ははは...反骨で...
小沢 一郎
ガキ大将は,その上に,またやられるんですよ。だから,順繰り番こなんですよ。
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堀 茂樹
もう時間がなくなってきましたんでね。
小沢 一郎
はははは。
堀 茂樹
今のこと含めてだと思うんですが, 地方分権を中心にお話しいただきました。
日本人もここらで正気に戻ってね,基礎体力とか,読み ・ 書き ・ 計算能力とか,一般教養とか,基本的な礼儀とか,他人への当たり前の優しさとか,そういうのを大事にしたらいいんじゃないかと。
何かこう,浮わついた「グローバル何とか」 とか,そういう何処かの国の猿真似するよりも,日本の強みをしっかり回復して,かつ,その中に閉じ籠らないで,小沢さんの地方分権ヴィジョンってのは,まさに将来を見つめた大きなヴィジョンだと思うんで。
小沢 一郎
皆なで議論して,その問題に関連して僕が1つ考えたのは,今,土日休みでしょ。
堀 茂樹
はい。
小沢 一郎
先生方には大変になるかも知れないけど,子どもにね,週に2日も休ませる必要ないと。家にいて却ってもう余計なことするから。
土曜日は,教科書の勉強つうよりも,皆なで社会奉仕や,あるいは団体活動や,そういうものに充てる日にしたほうがいいんじゃないかと。そうすっと,ちょっと先生方大変ちゅうこともあるけど。全部出なくたっていいわけですから。
堀 茂樹
いや,それ,先生にやらせないほうが,いいですよ。小沢さん。 今もう,とにかくね,そんな場合じゃない。
小沢 一郎
先生にやらせるっちゅうんじゃなくて,父兄も子どもも,皆参加して,そういう日にしようという案を,僕は出した。
堀 茂樹
ああ,(その案を)出されたんですか,どっかに。
小沢 一郎
出しました。自由党 ※ のときに。
※ 自由党 : 1998年1月1日発足。2003年9月26日解党し民主党に合併
堀 茂樹
ああ,そうですか。
小沢 一郎
だから,子どもは,1日休めばいいだろうと思って。 あとは,今先生の仰ったような社会の色んな礼儀作法から,あるいは団体活動から,あるいはヴォランティアの社会奉仕の精神やら,そういうものを自然の中で学ばせる日にしたらいいんじゃないか,っていうふうに提案した。
堀 茂樹
ああ,そうですか。そこへ,地域の住民が参加できますよね。
小沢 一郎
それはもちろん。先生も参加していいんですけど,PTAも子ども も,良けりゃあ先生も参加して,やる,と。
堀 茂樹
成程。これ,意外と世間で知られてないけど,小沢さんの本を読ませていただくと,本当にいちばん大事なのは,意識の問題なんで。
小沢 一郎
そうですね。
堀 茂樹
だから,教育はいちばん大事だって,実は仰ってるんですよね。
小沢 一郎
はい。ですから僕は,自由党のときも「教育・人づくり」を公約の第1番目に上げたんです。
堀 茂樹
ああ,1番目でしたか。
小沢 一郎
民主党のときも,僕はもう,自分で主張して,それは,やったんですよ。ところがね,皆な中身には賛成(している)その主張には賛成なんだけど,公約に上げるのは反対なんですよ。
堀 茂樹
はああ。
小沢 一郎
公約の1番にって,僕は我を通したんです,そのときは。自由党のときも。 皆,何故反対するかっちゅうと,皆口開けば,教育,教育って言うけど,票になんないんですよ。
実際の票はね,やっぱ,ここに何造ります,金出しますっていうのが票になって,「教育 ・人づくり」 っちゅうのが票に結びつかない。
だから,中身は賛成なんだけれども,公約として上げるのはそうじゃないのにしてくれ,っていうのが意見だった。
僕は,それはいかん,それはいかん。票になんなくても,これはやるんだっつって,1番に,そのとき やりましたけどね。
そこはやっぱり,国民皆さんが,子ども達を育てる,はぐくむということを本当に大事に思うんだったらば,そのことを考えてもらいたいと思いますね。
堀 茂樹
成程ね,はい。
よく世間では間違ったイメージが流されて,小沢さんは選挙のことだけ考えてるとか。
だけど,我々,小沢さん(の考え)をわかりましたよね。 選挙は重要だってことは,しっかりある考え方で,強調しておられて,しかし国家百年の大計を考えれば,選挙で直接すぐ票にならないことでも,ちゃんと主張していくべきだということですね。
小沢 一郎
それはだから(選挙が大事なのは)選挙は,主権者が自分の意思表示をする唯一の機会だからです。 民主主義の原点です。 そこに自分達の考えを出すというのが,選挙でして。その選挙を通じて,国民皆さんの支持を得て,政策を実行するということだと思うんですよね。
堀 茂樹
基本中の基本ですね。
小沢 一郎
はい。
堀 茂樹
有り難うございました。
これで,この(対談)シリーズは,ラストで。一応,ひと区切りいたしますが,これ,ただお喋りで終わっちゃ絶対ダメなので,やっぱり大事なのは次の選挙だと思います。
私は何としても,こういう考え方が生きていくような社会を願いたいと,思います。
それじゃ本当にどうも有り難うございました。
(小沢代表に礼)
小沢 一郎
有り難うございました。
(会場に礼。 立ち上がって堀教授に礼)
< 了 >
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