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集団的自衛権と解釈改憲 否定する政府・公明の恥知らず
http://hunter-investigate.jp/news/2014/07/20140709-jieiken.html
2014年7月 9日 09:30 HUNTER
集団的自衛権の行使容認とそれにともなう憲法解釈の変更を閣議決定した安倍政権。密室協議の末、国の根幹を揺るがす暴挙に与した公明党だったが、姑息なことに、今回の決定を「集団的自衛権の行使容認ではない」「解釈改憲ではない」などとする主張を展開し始めた。
一方の政府は、閣議決定の内容について説明するため公表した問答集のなかで、集団的自衛権を容認したことを明記。政府与党内の認識の違いを露呈する形となった。ただし、驚いたことに、政府までが「解釈改憲ではない」と言い出す始末。政府与党が足並みを揃えて国民を騙し、戦争への道を歩むことだけは確実のようだ。
公明党がなくした「平和の党」の看板と「恥」の一文字
公明党が、今月4日と5日にホームページ上で公開した「安全保障のここが聞きたい(上・下)」には、合わせて15項目のQ&Aが紹介されている。答えはいずれも子どもじみた言い訳ばかり。とくに、Q3―集団的自衛権の行使を認めたのか?と、Q4―「解釈改憲」ではないのか?に対する答えは国民をばかにしているとしか思えないお粗末な内容だ。
Q3 集団的自衛権の行使を認めたのか?
A3 外国防衛それ自体を目的とする集団的自衛権は認めていない。
個別的自衛権の行使は、自国が武力攻撃を受けたことが条件ですが、今回、その前であっても限定的に実力の行使が認められました。この場合、国際法上、集団的自衛権が根拠となる場合があります。
Q4 「解釈改憲」ではないのか?
A4 憲法の平和主義は守られており、改憲には当たらない。
「解釈改憲」とは、解釈によって、憲法の考え方の柱を変えてしまうことであり、解釈改憲ではありません。
今回の決定では、国民の命と平和な暮らしを守るため、自国防衛の場合に例外的に武力行使を認めた憲法第9条の柱はそのまま堅持されています。決定は第9条の枠内で、自国を守るための「自衛の措置」の限界について解釈の見直しをしたにすぎず、解釈改憲ではありません。
一方、「さらなる解釈変更により行使できる自衛の措置の範囲を広げることができるのではないか」との懸念の声がありますが、今回の閣議決定では、解釈変更の限界を示しており、自民党の高村副総裁も「これ以上しようと言うならば、憲法改正しかない」と明言しています。
自らが作成したQ&Aでありながら、A3の『集団的自衛権の行使を認めたのか?』という問いに対する公明党の主張(A3)は、正確な答えになっていない。問いは『集団的自衛権の行使』を認めたのかどうかであって、『外国防衛それ自体を目的とする集団的自衛権』のことなど聞いていない。そもそも、外国を防衛するための武力行使の是非など議論されていない。うまくはぐらかしたつもりなのだろうが、安倍内閣による閣議決定の内容は、限定的であろうがなかろうが≪集団的自衛権の行使容認≫なのだ。
Q4の「解釈改憲」ではないのか?という問いに対しては、臆面もなく『改憲には当たらない』……。公明党は「平和の党」の看板とともに、「恥」という言葉も廃棄処分にしたのだろう。閣議決定の内容を見ると、これまでの憲法解釈を変えることを明記している。つまりは「解釈改憲」。念のため、下に閣議決定の該当部分を抜粋しておきたい。
現在の安全保障環境に照らして慎重に検討した結果、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小限度の実力を行使することは、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として、憲法上許容されると考えるべきであると判断するに至った。
歴代内閣が、憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使を、「許容される」と明記している。解釈を変えて憲法の根幹を変える以上、「解釈改憲」以外の何ものでもあるまい。
解釈改憲―政府も否定
今回の閣議決定のタイトルは「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」。内閣官房が公表した≪「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」の一問一答≫を見てみよう。
【問1】 なぜ、今、集団的自衛権を容認しなければならないのか?
【答】 今回の閣議決定は、我が国を取り巻く安全保障環境がますます厳しさを増す中、我が国の存立を全うし、国民の命と平和な暮らしを守るため、すなわち我が国を防衛するために、やむを得ない自衛の措置として、必要最小限の武力の行使を認めるものです。
【問2】 解釈改憲は立憲主義の否定ではないのか?
【答】 今回の閣議決定は、合理的な解釈の限界をこえるいわゆる解釈改憲ではありません。これまでの政府見解の基本的な論理の枠内における合理的なあてはめの結果であり、立憲主義に反するものではありません。
問1の問答でも明らかな通り、安倍内閣が行ったのは「集団的自衛権の行使容認」。公明党の主張とは、あまりに違う内容だ。ただ、この問答も姑息であることに変わりはなく、容認したのがあたかも自国防衛のための権利であるかのような記述となっている。言うまでもなく、「個別的自衛権」は従来から認められている権利だ。集団的自衛権とはまったく異なる概念であることを忘れてはなるまい。問1に対する答えは、“自国を守るためなら仕方がない” ―― 国民にそう思わせるためのトリック的文章なのだ。
閣議決定が≪解釈改憲ではありません≫とする問2の答えは明らかに虚偽だ。前述のように、閣議決定では憲法解釈の変更を明記している。これまでの内閣が「立憲主義」に基づいて集団的自衛権は容認できないとしてきた解釈を180度変えたということ。これは立憲主義の否定であり、いかなる理由を並べても平和主義を謳った憲法の精神を捻じ曲げたことに変わりはない。いまさら「解釈改憲ではない」などという言い訳をするのは卑怯というものだ。公明党同様、安倍内閣も「恥知らず」ということか……。
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