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藤井浩人・美濃加茂市長(29) 【7月7日、さくらフィナンシャルニュース=東京】
【コラム 江川紹子】藤井美濃賀茂市長収賄容疑事件、裁判所は令状発行機関なのか
http://www.sakurafinancialnews.com/news/9999/20140706_3
2014年07月07日 00:02 JST さくらフィナンシャルニュース
●全国最年少首長逮捕の妙
なんか変な事件だな…。報道を見ていて、気になった。何がどう変なのか、手短に表現するのは難しいので、とりあえず「勘がはたらいた」ということにしておこう。
それというのは、全国最年少の首長、藤井浩人・美濃加茂市長(29)が収賄容疑で逮捕された件。藤井氏が市議だった2013年4月上旬と下旬の2回、プールにためた雨水を浄水して飲用可能にする設備の導入を勧める見返りに、業者から現金を合計30万円受け取った疑いで愛知県警に逮捕された。
この浄水設備は災害対策として役立つのではないか、と藤井氏が考え、設置の検討を勧めたのは間違いないらしい。
問題は、現金の授受があったか否か、だ。
藤井氏は業者からの現金受け取りを否認している。その市長自身の話が聞けるというので、名古屋地裁で行われた勾留理由開示公判に行ってきた。これは、勾留を決めた裁判官が、その理由を説明する手続きだが、そこで被疑者本人が意見陳述を行える。合わせて、他の関係者たちの話も聞いてきた。
法廷で、藤井市長は現金の授受について次のように述べた。
「一切そのような事実はありません。同席した高峰さんに聞いていただければ一目瞭然です」
「高峰さん」とは、市長選でのマニフェスト作りなど、藤井氏の政策立案をサポートしてきた政策コンサルタントの高峰洋史氏(42)。くだんの業者ともつきあいがあり、仕事を手伝ったこともあった。業者を藤井氏に紹介したのも高峰氏。現金の授受があったされるのは、1回目がファミリーレストラン、2回目は居酒屋だが、いずれも高峰氏が同席していた。
高峰氏に話を聞くと、現金授受も有利な取り計らいをしてほしいとの請託も、明確に否定した。
「そもそも、彼(藤井氏)はこの浄水設備の導入に乗り気になっていたので、業者が賄賂を渡したり、有利な取り計らいを頼んだりする必要が、全くないんです。会った時には、ずっと私がいて、彼と業者の2人だけになる機会もありませんでしたし」(高峰氏)
いよいよもって「変な事件」だ。
高峰氏は、警察の事情聴取でも、同様の話をした。だが警察は説明を受け入れず、執拗な取り調べを行った。高峰氏が体調を崩し、それを訴えても帰らせてもらえず、意識を失って倒れるまで取り調べが続いた、という。
そんな過酷な取り調べではないものの、検察も最大の障壁である高峰証言の影響を薄めるのに躍起らしい。高峰氏の調書の中に、「(藤井氏と業者だけになった時間はないというのは)絶対ではない」という言葉を紛れ込ませるために、懸命の”駆け引き”が行われている様子。
報道によれば、捜査側の有力な証拠は、業者側の供述以外には、業者が藤井氏との面談前に金融機関から現金を引き出した記録くらい。ちなみに、その業者は、他の自治体で浄水設備の導入が決まったと嘘を言って銀行融資を引き出した詐欺罪で逮捕・起訴されている。多くの余罪が疑われ、その捜査の中で藤井氏への贈賄を供述したとみられる。
●お粗末な裁判官の対応
警察での取り調べは可視化されておらず、密室での供述。もし裁判になれば、藤井氏側の弁護人は、徹底的に信用性を争うだろう。そこは、検察側も想定しているはず。なので、勾留期限までに、業者の供述を補強する状況証拠をどれだけ集められるかかが、藤井氏を起訴するかどうかのポイントになる。
それにしても、勾留理由開示公判での裁判官の対応は、実にお粗末だった。分厚い眼鏡をかけた若い新任判事補の森文弥裁判官(司法修習、第66期)は、
1)関係者に働きかけるなどして、有利な供述証拠を作出して罪証隠滅を行うおそれがある
2)一時的に身を隠すなど逃亡のおそれがあるーーと、型通りの理由を述べるだけ。
だが、「関係者」のうち、現金授受現場に同席したはずの高峰氏は、授受を否定しているので、藤井氏側は「有利な供述証拠を作出」する必要はない。業者は、詐欺罪で起訴勾留中で、「働きかける」ことが不可能。また、逮捕前にも報道陣の取材に応じ、市政への早い復帰を目指している藤井市長の「逃亡のおそれ」は、全く現実的でない。
嫌疑があるなら、警察や検察は徹底的に捜査を行えばよい。しかし、未だ有罪が決まっていない人の身柄拘束には、慎重でなければならない。ましてや、自治体の首長を逮捕・勾留する場合は、自治体の運営や住民への影響も出るため、よほど慎重であるべきだ。
森裁判官の対応からは、そうした慎重さが全く感じられない。捜査機関が求めているから勾留状を発布する??これでは、何のために裁判所がチェックをする仕組みになっているのか分からない。
裁判所が、しばしば”令状発行機”と揶揄されるのも、こういう対応が頻繁になされているからだ。【了】
えがわ・しょうこ/1958年、東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒。1982年〜87年まで神奈川新聞社に勤務。警察・裁判取材や連載企画などを担当した後、29歳で独立。1989年から本格的にオウム真理教についての取材を開始。現在も、オウム真理教の信者だった菊地直子被告の裁判を取材・傍聴中。「冤罪の構図 やったのはお前だ」(社会思想社、のち現代教養文庫、新風舎文庫)、「オウム真理教追跡2200日」(文藝春秋)、「勇気ってなんだろう」(岩波ジュニア新書)等、著書多数。菊池寛賞受賞。行刑改革会議、検察の在り方検討会議の各委員を経験。オペラ愛好家としても知られる。個人blogに「江川紹子のあれやこれや」(http://bylines.news.yahoo.co.jp/egawashoko/)がある。
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