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北朝鮮の崩壊シナリオ、米中と「二股」かける韓国…アジアの安全保障を考えれば集団的自衛権は当然だ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39762
2014年07月07日(月) 高橋洋一「ニュースの深層」 現代ビジネス
先週1日の臨時閣議で、安倍政権は集団的自衛権の限定行使容認を決定した。これについては、国際法の観点から当然ということを本コラムでも既に書いている
(→4月28日付、http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39129
→5月19日付http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39296)。
公明党が同調するのも予定通りだ(→5月26日付http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39362)。
朝日新聞などは相変わらず反対しまくっている。自衛権を戦争と誤解して思い込んでいるので仕方のないところだが。
朝日新聞大阪本社が開設している「朝日新聞女子組」というツイッターアカウントがある(@asahi_joshigumi)https://twitter.com/asahi_joshigumi。そこに5日、こんな投稿がなされた。
〈そもそも国連加盟国は武力行使してはダメ。戦争はダメ。それが決まり。だけど、唯一の例外が「個別的自衛権(正当防衛)」。だから、表向きはすべての戦争が「自衛のため」になっています〉
これは知識不足による明白な誤りだ。すぐに指摘があり、
〈さきほど「国連加盟国は武力行使してはダメ。唯一の例外が『個別的自衛権』」と書き込みましたが、「唯一の例外が『自衛権』」の誤りでした。自衛権の中に「個別的自衛権」と「集団的自衛権」があります〉
と訂正された。
このコラムを読んでいれば、「個別的自衛権」と「集団的自衛権」はともに正当防衛であることがわかる。どうして、訂正で「自衛権(正当防衛)」と書かないのか。いずれにしても、この程度の浅薄な知識しかマスコミは持っていないことが見え見えだ。
■北朝鮮崩壊後は韓国が飲み込み、中国と「同盟関係」に
集団的自衛権の問題は、国内だけの観点から議論せずに、国際法や国際情勢から考えなければいけない。先週の3日から2日間、中韓首脳会談が開かれたことにも注目すべきだ。
マスコミでは、安倍政権が山口那津男公明党代表の顔を立てるために6月までの国会開催中の閣議決定を見送ったかのように報じられているが、むしろ、中韓首脳会談の直前にぶつけた公算が高いと筆者は見ている。これは、安倍政権が国内の議論に終始せず、国際関係の中で安全保障を考えているからだ。
中韓首脳会談はこの1年間に5回目という蜜月ぶりだ。しかも、中国の習近平国家主席は、中国の指導者として初めて、北朝鮮より先に韓国を訪れた。これまで中国は北朝鮮の後ろ盾としてサポートしてきたが、そろそろ終わりになるということだ。
北朝鮮は三代目指導者であるが、「売り家と唐様(からよう)で書く三代目」という日本の川柳のようになるかもしれない。中国は北朝鮮に対し石油制裁(対北朝鮮むけ、原油輸出の制限等)をしているといわれ、いよいよ北朝鮮崩壊のシナリオが本格化しているようだ。
この時期に、日朝の拉致問題が急展開していることと、中国の対北朝鮮政策が変貌していることとは決して無関係でない。そして、この北朝鮮崩壊シナリオを、中国と韓国がある程度共有しているからこそ、中韓の蜜月状態があると考えたほうが自然だ。
北朝鮮崩壊後は、ベルリンの壁崩壊後に西ドイツが東ドイツを併合したように、韓国が北朝鮮を飲み込む。ただし、これで中国と接する新たな「韓国」は、中国と「同盟関係」になるということだろう。
しかし、これは今のアジアの安全保障状況を大きく変化させる。
まず現状を整理しておこう。アジアでの安全保障体制は、米国による二国間同盟(日米安全保障条約、米韓相互防衛条約、米比訪問軍隊協定、米国台湾関係法など)が基軸になっている(下図)。
ここで、ロシアのことは当面あまり考える必要はない。ロシアは歴史的にも、西で忙しいときには、東(つまりアジア方面)はおろそかになる。かつてのクリミア戦争の時もそうだが、今ではウクライナ問題があるので、極東には手が回らないからだ。
となると、基本的には、米国による二国間同盟と中国の覇権主義の争いになる。中国は、西でウイグル問題を抱えているが、今のところ国力に余裕があるので、東の海洋進出との両面作戦が可能になっている。海洋進出でぶつかるのが、日本、ベトナム、フィリピン、台湾だ。
このうち、日本、フィリピン、台湾には米国との二国間同盟(日米安全保障条約、米比訪問軍隊協定、米国台湾関係法)がある。ベトナムとの間にはない。
■一党独裁の中国は日本の「潜在的脅威」であり続ける
ここで、興味深い国際政治理論を紹介しよう。筆者が米国プリンストン大時代に、マイケル・ドイル教授から習った「民主的平和論」(democratic peace)だ。
それは「民主主義国同士では戦争をしない」というもので、そのルーツは、カントの「永遠平和のために」(1795年)などにある。そこで、多くの人は自衛以外での戦争を望まないとしている。ドイル教授らはこうした考え方を整理して、理論づけてきた学者の一人だ。
ドイル教授は、民主国家同士の交戦可能性が相対的に低いのは社会科学的事実だとしている。
その理由は、共通の価値観を持ってイデオロギー対立がなくなること、複数政党を背景にして議会主義的交渉能力が発達していること、マイノリティの言論の自由が保護されていること、情報がよく公開されていること、民主主義国では戦争の大義がないことなどが挙げられる。ここで、民主主義国とは、男女普通選挙、複数政党制、報道の自由の確保などが基準になっている。
この対極にあるのが一党独裁だ。日本の周りには一党独裁国家が多い。そして、民主的平和論の応用として、一党独裁国家同士は戦争になりやすい。また、一党独裁国家と民主国家の間では、時に戦争が起こる、とも言えるだろう。
これを現在のアジアの安全保障状況に当てはめると、ベトナムと中国の間で最も戦争となる確率が高い。両国は過去にもやっているが、ともに独裁国家なので、ふとしたことで戦争になりやすい。そのベトナムは、今回の日本の集団的自衛権の行使容認を事実上肯定しているようだ。対中国の観点からそうなるだろう。
ベトナムと中国のとばっちりを受けそうなのが、フィリピンである。日本と似たような平和憲法を持っている国だが、かつて米軍を追い出したツケが回っている。今は懸命にその挽回を図っており、日本の集団的自衛権の行使容認について積極的な立場であるのは当然だ。
台湾は、中国と運命的な対立関係だ。中国の憲法には、台湾は領土の一部と明記してある(前文)。そして、2005年に制定された中国の反分裂国家法は、台湾が独立宣言したら、武力制圧も辞さないと規定している。
ただし、アメリカは台湾に対し、台湾関係法で事実上の同盟関係にある。そのアメリカを後方支援するかもしれない日本の集団的自衛権の行使は、基本的には歓迎だろう。日本と正式な国交がないため公式に意見表明することはないが、民間交流が盛んなので一定の期待をしているに違いない。
そして、日本。尖閣諸島は、中国は「核心利益」と位置づけており、野心を隠さない。ただ、日米安保条約の適用対象になるとアメリカが正式に意見表明したので、とりあえず一服の状況だ。ただし、中国の一党独裁がなくなるまで、日本は潜在的な脅威を受け続けるだろう。集団的自衛権はそのための抑止力になる。
アメリカやオーストラリアも、日本の集団的自衛権の行使容認には賛成の立場である。
こうしてみると、日本の集団的自衛権の行使容認について、中国を別とすれば、韓国の否定的な反応が異様である。
韓国がこのまま中国との「同盟関係」に突き進んだ場合、アメリカとの同盟はどうなるのか。
可能性としては、二股がうまくいなくなるか、うまくいくかの二つしかない。これまでの国際社会の歴史どおり、自由主義経済と独裁社会は水と油のように混じり合わないことから、二股がうまかなくなる。後者は、韓国が何か魔法を使って、二つの体制の架け橋になることだ。筆者には、どうしても前者の予感がする
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