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集団的自衛権 公明、地方から慎重論
県代表懇「平和の党に合わぬ」
公明党は28日、党本部で全国の地方組織の幹部を集めた県代表懇談会を開いた。政府が検討する集団的自衛権の行使容認を巡り、「平和の党」を掲げる方針に合わないとの慎重意見が相次いだ。執行部は今回の説明で一定の理解は得られたと判断し、7月1日の閣議決定に向けて週明けに党内手続きを終える。組織内に不満が残ったままの苦渋の決断となる。
「執行部の説明を聞いたが、地域には慎重意見が多い」。28日の懇談会で北側一雄副代表が政府の示した自衛権の新3要件の概要を説明すると、地方の出席者から慎重意見が噴き出した。執行部は一つ一つに丁寧に答え、質疑は予定を30分超える3時間半に及んだ。
会合には山口那津男代表、北側副代表、井上義久幹事長ら約20人の国会議員と、地方組織の代表者約50人が参加した。
山口代表は冒頭、「積極派の自民、慎重派の公明だが、国民を守るための切れ目のない法整備が必要だ」と強調。北側副代表の説明の後、約25人の地方代表者が質問に立った。「憲法改正すべきではないか」「専守防衛の概念は維持されるのか」といった声のほか、「選挙への影響が心配だ」との意見もあった。
●「結果責任は負う」 それでも井上幹事長は「執行部が責任をもって判断する。結果責任は負う」と表明。最後は山口代表が「今回の集団的自衛権は極めて限定的だ。閣議決定後に説明責任を果たしたい」と締めくくった。
会合後、上田勇政調会長代理は記者団に「ちゃんとした政策判断のなかで判断しているとの安心感を持ったのではないか」との認識を示した。だが静岡県の代表者は会合後「地元の納得を得られるかはこれからだ」と話し、党本部を後にした。
連立体制の維持を優先し、集団的自衛権を含む安全保障法制の見直しで柔軟姿勢を見せる公明党。自民党と連立を組んだ1999年以降、米同時テロを受けた2002年のインド洋へのイージス艦派遣、04年の自衛隊のイラク派遣など、慎重論が根強い分野で譲歩を迫られてきた。
結党50周年目に迎えた集団的自衛権の行使容認問題は、安倍晋三首相の強い意向を前に与党協議開始から1カ月半で押し切られる格好となった。
●与党合意を優先 28日の懇談会では、現状を憂う地方幹部から「平和の党のイメージはなかなか厳しいものになる」「『憲法の根幹に関わるところで考え方が違うので政権離脱すべきだ』との声が地元にある」との意見も出た。
執行部は組織内の慎重論を承知のうえで与党合意を優先させる。30日の党会合で所属の国会議員から一任を取り付ける見通しだ。しかし、その先にも具体的な法改正の手続きや国会での審議が控え、山口代表ら執行部が与党の立場と党是の間で葛藤する日々は続く。
[日経新聞6月29日朝刊P.2]
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