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集団的自衛権と米国のEHM(エコノミック・ヒットマン)
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2014年06月28日 兵頭正俊 兵頭に訊こう
ジョン・パーキンスの『エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ』は、実に示唆にあふれた良書だ。
帯には「表の顔は一流コンサルティング会社のチーフエコノミスト 裏の顔は工作員 途上国を負債の罠にはめた著者が命がけで告発する」とある。
命がけで書く。この世にはそのような本が確かに存在する。ニーチェのいう「血で書く」というやつだ。こういう本は大抵成功する。この本も米国でベストセラーになった。
著者のジョン・パーキンスは、米国のEHM(エコノミック・ヒットマン)だった。
EHMをわかりやすくイメージするには、経済に特化したCIAと思えばいい。超エリート集団であるが、べつに高級車を乗り回すわけではなく、普通のネクタイを締めた民間人として、ある日、わたしたちの前に現れる。しかし、その権限は絶大だ。
ジョン・パーキンスが何をしたのか。その一部を読んでみよう。
「世界帝国を築くこと、それこそ私たちEHMが得意とするところだ。EHM は男性も女性もいるエリート集団であり、国際金融機関の融資を利用して、アメリカの大企業や政府や大銀行を率いるコーポレートクラシーが他の国々を思いのままに操れる状況をつくり出す。
マフィア組織のヒットマンと同じく、EHMもまずは恩恵を施す。それは発電プラントや高速道路、港湾施設、空港、工業団地などのインフラ設備を建設するための融資という形をとる。融資の条件は、そうしたプロジェクトの建設をアメリカの企業に請け負わせることだ。
要するに、資金の大半はアメリカから流出しない。単にワシントンの銀行のオフィスから、ニューヨークやヒューストンやサンフランシスコのエンジニアリング会社へ送金されるだけの話だ。
金がたちまちにしてコーポレートクラシーの一員である企業群へと還流する事実にもかかわらず、融資を受けた被援助国は元金ばかりでなく利息まで返済を求められる。
EHMの働きが完璧に成功した場合、融資額は莫大で、数年後に債務国は債務不履行に陥ってしまう。そうなればマフィアと同じく厳しい代償を求める。
代償はさまざまな形をとる。たとえば、国連での投票権の操作、軍事基地の設置、石油やパナマ運河などの貴重な資源へのアクセス。もちろん、それで借金が帳消しになるわけではない――わが世界帝国にまたひとつ国が加わったということだ」
米国のEHM(エコノミック・ヒットマン)が、世銀などの資金を外国に貸し付ける。発注した仕事は米国系企業のものだ。借金を膨らませて、その国を実質的な植民地にするのである。
その国の指導者が米国から自立しようとすると、最初はEHMがやめるように警告する。植民地のリーダーが傑物で、それでも自立をやり遂げようとすると、「ジャッカル」が暗殺に出てくる。
「ジャッカル」も手に負えなくなったら、イラクやアフガニスタンのように米軍の登場である。いずれ集団的自衛権はそれにも使われるだろう。米国の若者がやっていた役割を、日本の若者が担わされるのである。
出版社は注意深く「途上国を食い物にするアメリカ」とサブタイトルをつけている。しかしEHMは先進国でも仕事をしている。ウクライナを先進国とは呼べないが、安倍晋三がウクライナにばらまいた1500億円(米国1000億円、EU1400億円)もの巨額の資金は、ほとんど米国へ還流するのだとわたしは見ている。
「要するに、資金の大半はアメリカから流出しない。単にワシントンの銀行のオフィスから、ニューヨークやヒューストンやサンフランシスコのエンジニアリング会社へ送金されるだけの話だ」という仕組みは、米国が関係するあらゆる事象に適用して考えた方がいい。
つまり、何のことはない、日本は米国政府が国益のためにやるべきことをやらされているわけだ。集団的自衛権はその最たるものだ。今後は金だけではなく、命まで差し出すわけだから。
それを隠すために、安倍晋三はしきりに「日本国民の命と暮らしを守る」と語った。この言葉ほど言行が一致しないものも珍しい。まるで泥棒が人のものも盗むな、と説教を垂れているようなものだ。
集団的自衛権によって、日本国民の命と暮らしは、これまで以上に危険になる。日本国民にとって最大の危険は、安倍晋三の存在そのものなのだ。
昨日(6月26日)に、公明党の山口那津男代表が次のようにしゃべった。
『東京新聞』(6月27日)は「集団的自衛権 公明代表が行使容認 歯止めの確約ないまま」と題して次のように報道した。そのなかの「解説」のみ引用する。
「<解説> 公明党の山口那津男代表が二十六日、集団的自衛権の行使容認に転じた。山口氏は武力行使のための新たな三要件について「二重三重の歯止めが利き、拡大解釈の恐れはない」と言い切った。
しかし、既に自公間で集団的自衛権の行使として認められる活動の内容や範囲をめぐって食い違いが生じているように、時の政権が都合よく解釈できる余地を残していることは明らかだ。
公明党は集団的自衛権の行使容認に一貫して反対の立場を取ってきた。山口氏は昨年七月、「断固反対」と明言。今年四月には、解釈改憲という手法を「憲法の精神にもとる」と批判し、長く維持されてきた政府見解を閣議決定で覆そうとする安倍晋三首相をけん制していた。
山口氏としては、安倍首相が解釈改憲に強い意欲を示していることを踏まえ、連立政権の維持を優先したとみられる。しかし、結党から五十年にわたって掲げてきた「平和の党」の看板を傷つけ、安倍政権の「ブレーキ役」を期待した国民を失望させるのは間違いない。
山口氏はこれまで、戦後の安全保障政策の大転換につながる集団的自衛権の行使容認には、国民の理解が不可欠だと主張してきた。だが、各種の世論調査では依然、反対が多い。党内にも異論が根強い。党内の意見集約をする前に、執行部だけで決められる性格の問題ではない」
もう一度、自・公だけで決めた武力行使の「新3要件」を見ておこう。
1 我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
2 これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
3 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
「我が国と密接な関係にある他国」とは米国のことである。米国が武力攻撃されたら日本も米国とともにその国を武力攻撃するというのであるが、憲法9条は明確にこれを禁じている。集団的自衛権の根本が憲法違反なのである。
歯止めも限定も必要最小限度もない。米国が攻撃されて、それに日本が米国のために反撃すること自体を、憲法が禁じているのだ。
また、米国を守ることは、いかなる意味でも日本を守ることではない。苦し紛れに安倍晋三は米艦のなかに日本人を入れたのだが、この事例はありえないことが明確になっている。戦時において、米国は民間人の救出を拒否しているからだ。
公明党はこれで、仏教の「平和の党」から強欲資本主義の「戦争の党」への転換することになった。残念である。仏教が哲学の中心にあるだけに、いかなる意味においても殺生に反対すると思っていたのだが、政権の利権にしがみつく現世利益が優先した。
これなら改憲にも賛成するだろうし、対中戦争にも賛成するだろう。歯止めをなくしてしまったのは、公明党自身である。山口那津男は歴史への恐れをまったく持たない政治家のようだ。
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