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小沢の隠し玉か? 反骨リベラル政治家村上誠一郎と云う男
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2014年06月28日 世相を斬る あいば達也
いま最も旬な政治家がいる。その名は、自民党の衆議員9期・村上誠一郎だ。どちらかと言えば、悪役的風貌の62歳の自民党政治家だ。本来であれば、大物政治家として活躍の場が度々あってもおかしくないのだが、小泉政権下で内閣府特命担当大臣になったのが役職らしい役職だ。東大法卒の切れ者でもある。人格は極めて高潔にして穏健なイデオロギーを有しているが、付和雷同が大の苦手らしく、なあなあで手打ちをすることを好まない面があるようだ。しかし、安倍の勢いにおもねる日和見自民党政治家の中で、自民党のリベラルな側面を継承し、且つ臆することなく安倍晋三の間違いを指摘し、憲法解釈にと云う、下位法が上位法を捻じ曲げる禁じ手を強く非難する姿は爽快であり、痛快でもある。
小派閥河本派に属していた。(*注:後に高村派所属だが、そりは良くないようだ)河本派は宏池会同様に自民党の融通無碍、清濁併せのむ懐の深さ、安定感のある政党としての特性があった。しかし、宏池会の後継者谷垣は、リベラルを捨て、ボクちゃんは保守だと言って恥じ入る素振りも見せない。宏池会の恥さらしであるが、今の得を手に入れるための手段として、あまりにも情けない。それだけに一人野党精神を貫くリベラル保守・村上誠一郎の存在が際立つ。表面上、間違いなく自民党内で村上は孤立している。しかし、永田町全体で見た場合、必ずしも孤立はしていないし、朝日新聞が心配している口調で揶揄するほど軟な政治家でもない。以下は朝日の揶揄込の特集コラムだ。
≪ (政々流転)村上誠一郎・衆院議員 リベラル一人旅どこへ
◇村上誠一郎・衆院議員(62歳) 水軍子孫、国家の大事と大音声
集団的自衛権、特定秘密法。どんどん進む安倍政権のブレーキ役が不在だ。村上誠一郎(62)は自民党内でたった一人、異論を唱え続ける。仲間は集まらず、立ちはだかっても声が聞こえないかのようにするりと素通りされる。野党さえ支持率が高い安倍政権にすり寄る。それでもほえる。
*
特定秘密の指定が妥当かをチェックする、国会に監視機関を設置する国会法改正案。採決の13日、村上の姿は議場になかった。約7カ月前、「国民の知る権利を奪う」と反対した特定秘密保護法の採決に続く欠席だった。
党の最高意思決定機関、総務会のメンバーで、積極的に発言する。役職もなく、発信の場が限られているせいでもある。原発の再稼働方針が記されたエネルギー基本計画案には「福島の原因究明が中途半端なのにいいのか」と声を荒らげた。首相安倍晋三が「集団的自衛権行使容認の憲法解釈の最高責任者は私」と答弁したときは、「選挙に勝てば勝手に変えられるのか」。
総務会で集団的自衛権が議論された今年3月には「あんたらより若い連中が戦場に行かされて死ぬかもしれないんだぞ。そんな大事なことを閣議決定で簡単に決めていいのか」。記者たちを前に声を震わせ、感極まって涙があふれた。
「問題の本質に気づかないのか、ノー天気なだけか」。本人は、同調者がいないのが不思議でならない。首相に直言できない党は「右に傾いて沈没しかねない船」と映る。「何でも反対だと党内の共産党といわれる」と、ここぞという時しか反対していないつもりだ。でも総務会長の野田聖子の声が党内の冷たい視線を代表する。「いつも言いっ放し。そういうスタイル」
*
異議申し立ては昔からだ。1987年、当選1期の村上はスパイ防止法案を巡り、谷垣禎一らと反対の論陣を張った。政界へ導き教育した元通産相の河本敏夫は後押ししてくれた。
かつての自民党は、右にふれそうになると、リベラル派が存在感を示しバランスをとった。村上は自らを「ぶれないリベラル」という。
村上が属した河本派は小派閥。自民党のリベラル本流は、大平正芳や宮沢喜一ら首相を生んだ「宏池会」だった。宏池会は分裂、なりを潜めている。宮沢にかわいがられ、宏池会の流れをくむ谷垣は今年、国会で「私は自分をリベラルと思っていない。保守と思っている」と答えた。
*
村上のルーツは、中世から瀬戸内海を支配した海賊、村上水軍だ。村上は水軍が行き交った島々を愛媛の選挙区として回り、船上から政策を訴える。
村上家には「国家の大事には親兄弟のしかばねを乗り越えて戦え」という家訓が代々継がれる。大蔵省事務次官から参院議員になった伯父孝太郎は「次世代につけを残すな」。衆院議員だった父信二郎は「防衛予算は少ないほどいい。隊員が犠牲にならないよう国は万全を期すべきだ」と説いた。
勉強熱心で分析好き。推理小説を読みながら筋やトリックを紙に書き、作者の隠した意図を読み解こうとする。「政策のプロフェッショナル」を自認し、日本の財政状況や安全保障環境などのデータをいつも持ち歩く。
政治家一族の毛並みの良さ。9回連続当選の選挙の強さも発言を後押しする。32年支援する地元の渡辺隆士は、党に反発する体重110キロの村上に「暴れず小さなみこしは担ぎやすい。でも間違ったことは言っていない。応援する人は増えている」と自慢げだ。
そんな村上にも古傷がある。05年の小泉純一郎首相による郵政民営化解散。行革相だった村上は解散に反対した。自民党が負けると思ったからだ。ポケットに辞表を入れ小泉の説得を試みたが、届かない。所属派閥の若手の顔が浮かんだ。大臣の肩書で選挙応援に行こう。解散詔書に署名をした。選挙は大勝したが、小泉を止められなかった後悔は残る。だからこそ今回は。
「このまま行けば、国民に倍返しされる」と村上は次の選挙での自民党を危惧する。党内に同志がいない村上には、党派を超え「問題の本質を判断できる仲間」が必要だ。今年から行革相時代の秘書官、民主党の玉木雄一郎ら野党若手国会議員と勉強会を始めた。
「魔女狩りも間違っていたと、歴史が真理を証明した」と自分に言い聞かせながら、村上の党内一人旅は続く。
村上はピエロか、それとも党の救世主なのか。審判は次の選挙で下される。=敬称略 ≫(朝日新聞デジタル:上地一姫)
村上の論は筋道が通っている。狂気の安倍政権では瞬間的にピエロのように見えるかもしれないが、トータルしたとき、村上の一人野党精神が政党政治を守るかもしれない。集団的自衛権の閣議による憲法解釈変更がナチスのワイマール憲法形骸化現象と同様であり、三権分立、立憲主義の基本を無視したファシズム思考と云う論は、まさに正当な主張だ。村上が言うように“首相は集団的自衛権や武器輸出三原則の撤廃、靖国参拝だとか、隣国を逆なですることばかり行っている”たしかに、現在の安倍晋三の動きは隣国に対し、宣戦布告に近い布石を打っているように見える。
Wikipediaを参考に、この村上誠一郎と云う政治家について、もう少し語っておこう。村上誠一郎は、戦国時代に活躍した伊予村上水軍の血を引き継いでいるようだが、戦国時代の伊予村上水軍における系譜は定かなものはないようだ。そのことはさておくとして、村上誠一郎が育った村上家には政治家の血が脈々と流れている。
・曾祖父村上紋四郎(政治家・衆議院議員、今治市長、愛媛県議会議長)
・祖父 村上常太郎(官僚・最高検察庁次長検事、弁護士)
・父 村上信二郎(官僚、政治家 - 衆議院議員、防衛庁審議官)
・伯父 村上孝太郎(官僚、政治家 - 大蔵事務次官、参議院議員)
*妹 岡田多津子(三重県、元官僚、衆議院議員岡田克也の妻)
日本の政治家としては相当の血筋であり、頭脳の方も代々明晰だったことが窺われる。伊予村上水軍の血脈が生きていれば、かなりの闘争心や反骨の精神が宿っている可能性もありそうだ。現与党自公の議員の多くは、強権恐怖政治の大帝暴君ネロではないが、詮議されないポジション選びに奔走しているあり様で、到底本来の懐の深い政党色は消え失せている。河野太郎の反原発姿勢も、どこか胡散臭く、腰が据わった反安倍行動と云うよりも、自民党には、河野太郎のような政治家もいますよ、と云う党宣伝用のパフォーマンスに見えてくる。仮にそうでなくても、彼の人間力ではリーダーとしての資質が抜けており、父洋平を抜くことは出来ないだろう。
筆者としては、或る時点で、民主党鳩山グループに所属していた松野頼久を見かけで判断し、次のリーダーに抜擢した苦い経験があるので、見た目の良い奴は推薦することを控えている(笑)。その点で、村上誠一郎議員は真逆に近い風貌である。悪い風貌と云うより、迫力のある顔と表現すべきだ。灰汁も強く、身体を見れば鈍重にみえるが、ここが彼の敵、味方を欺くに充分な政治家の資質でもある。鈍重にみえて、極めてクールな頭脳と云うのは魅力的だ。余談だが、筆者のルーツも愛媛県今治にあり、何らかの因縁を感じる。
公明党が、与党であること命状態になった以上、もう公明に創価学会の宗教的矜持を求めるのは、まったく無意味になった。いまや、安倍と一緒に好戦政党になったのだから、歯牙にもかけない方が良い。そうなると、期待は野党だが、ここれがまた全滅に近い。日本維新の会、(次世代党)、みんなの党、結いの党、民主党、社民党、共産党。共産党はイデオロギー的に、政権を取る気はないだろうから除外する。残りの政党でオリーブの木構想は、考えるだけで気が滅入る。到底実現の見通しはない。このままだと、小沢の縁の下の力持ち政治行動も無駄骨に終わる風が吹いている。
自・公・みんな・次世代の四党の政治家は概ね安倍ファッショ権力に収斂される。安倍が株価操作で大失敗を犯せば、オリーブの木構想が出来ないまま、自民が下野する可能性も大いにあるし、自民の一部がバラバラも想像できるが、安倍政権がこけない前提で話を進める。このまま最悪の政治権力構造で永田町が推移すれば、2016年の7月に衆参同日選挙が天下分け目の運命の日が来る。流れとしては、じわじわと一般国民の生活が困窮し、自民党に逆風はかなりの確率で吹くだろう。この時、そのチャンスを生かすも殺すも、野党の旗印と受け皿が明確になっているほうが望ましい。
そのためには、自民、民主、維新、ゆい、生活、社民などのリベラル勢力が連携できる絵図が出来上がっている環境は必須だ。特に城を構えて大上段に闘う必要はないだろう。その堅固な城造りに労力を取られ過ぎるのは賢明ではない。緩やかな連携でも、リベラル色が鮮明であれば、有権者の選択肢も増え、容易にファシズム勢力打破の流れは自然発生する。大衆は、一年も経てば、振り幅の大きな選択を希求し始めるに違いないのだ。小沢一郎が常々口にするような具体的受け皿に固執すべきではない。リベラルな政党の連携ムードが出来ればいい。ただし、一部の自民党や維新等々から離れた議員用に、「リベラルの会」のような政党の必要性は出るかもしれない。
このような情勢が生まれたとき、やはり、その連携体の顔と云うものが必要になる。村上誠一郎が一般受けする風貌の人物かと聞かれればノンと答えるしかない。しかし、2015年以降の、日本の政治情勢は風貌云々を論じている有権者の立場はなくなり、反自民、反安倍のウネリが確実に醸成されている。ここがチャンスなのだ。出来もしない受け皿づくりに奔走するよりも早道だし、選挙態勢づくりに早めに着手できる。村上誠一郎の場合、リベラル色を打ち出す点で問題があるとすれば、永住外国人への地方選挙権付与への反対姿勢だが、現時点の政治争点としては些末、ペンディングでもイイだろう。
古賀茂明氏も言っているが、現在の政党で純粋リベラルと言えるのは、生活と社民くらいのものである。そして、最も大きな野党は、40%を超えた無党派層が野党なのである。既存野党の間で、野党再編なんてのは、安倍右翼を利するだけで、なんら建設的ではない。日本の政治の最大の課題は、最大野党「無党派層」の取り込みである。この連携体の顔に、村上誠一郎が適任かと思うわけである。無論、本人にその気がないのに、外野で騒いでも意味ないことだが、村上誠一郎に、小沢一郎が目をつけている節もあり、一泡吹かせる大活劇がみられるかもしれない。
この流れに、細川・小泉、鳩山由紀夫が加われば、かなりのインパクトにはなる。最近の世界情勢なども加味して、日本の生きる道がどの辺にあるのか、生活が困窮するほどに、安倍の成長神話を信じて酷い目に遭った反動が必ず投票行動に出てくる。2016年までに、このような動きが鮮明化しないと、小沢一郎も細川、小泉、鳩山も過去に人にならざるを得ない。有能な埋もれた逸材を掘り起こすのが小沢や鳩山の最大の仕事ではないのか。嘉田由紀子なんてのを選択しないよう、今のうちに一言苦言を申し上げておく(笑)。
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