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外形標準課税拡大で狙い撃ち 中小「100万社」倒産リスク
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/151400
2014年6月28日 日刊ゲンダイ
大企業優遇しか頭にない/(C)日刊ゲンダイ
安倍政権が新成長戦略の目玉に掲げた法人税の引き下げ。安倍首相は現在35%程度の法人実効税率を“ドイツ並み”の29%に下げ、株高を演出するもくろみだが、そのためには3兆円の財源が必要になる。代替財源として政府が狙っているのは、中小企業への課税強化だ。
政府税制調査会は、法人実効税率を引き下げる代わりに、税収の目減り分は「外形標準課税」を強化することで補うつもりだ。「外形標準課税」は2004年に導入された地方税の法人事業税の仕組みで、現在は資本金1億円以上の大企業にしか適用されていない。これを中小企業にまで広げようというのだ。
■赤字企業も容赦なし
国税庁の税務統計によると、12年度の日本の法人数は253万社。このうち85%の216万社が「資本金1000万円以下」の中小企業。全体の70%の177万社が赤字企業だ。現在、外形標準課税は0.7%の1万8000社にしか適用していない。
日本は原則、赤字企業は課税されない。資本金1億円以下の中小企業はほとんど赤字のため、法人税を払っていない。もし、外形標準課税が強化され、赤字の中小企業にまで適用されると、1社あたり平均161万円の増税になるという(日本商工会議所の試算)。
これが実施されたらどうなるのか。立正大客員教授で税理士の浦野広明氏がこう言う。
「中小企業の約半数、つまり100万社くらいが倒産に追い込まれるかもしれません。消費税が8%に引き上げられたことで、すでに中小企業は危機的な状況に陥っています。国税庁の徴収現場は“ノルマ主義”が横行していて、消費税を滞納している企業の取引先に行き、『売掛金から税金を払って欲しい』と要求する職員もいます。こうした強引な“取り立て”によって資金繰りが悪化したり、風評被害で融資が止まり倒産する企業が増えているのです。外形標準課税が中小企業まで導入されたら、徴収する都道府県の担当者が滞納者に対して国税と同じ強硬手段をとるでしょう。消費税とのダブルパンチで倒産する企業が続出すると思います」
中小企業をイジメても、いいことはひとつもない。むしろ弊害だらけだ。
「たしかに中小企業のほとんどが赤字で、法人税を払っていません。しかし、2000万人以上の雇用を維持し、雇用者は所得税を払い、企業は雇用者と折半で社会保険料を払っています」(浦野広明氏)
中小企業が100万社潰れたら、所得税が減り、保険も年金もメチャクチャになる。なぜボロ儲けしている大企業の税金を安くするために、まじめな中小企業が苦しむ必要があるのか。安倍政権がやろうとしているのは国を滅ぼす愚策だ。
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