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2014年06月25日
ワールドカップ、国威発情のセレモニーは、サポーターのゴミ拾いが、世界を唸らせて終わった。コロンビア戦は結果的にボコボコだったが、弱者の反撃を試みる気力があった分、3戦中で一番好感の持てる試合だった。ここからゆっくり、世界のサッカーと云うスポーツを観戦出来るだろう。何時ものことだが、日本のマスメディアに祭り上げられたチームは気の毒だった。初めから、“出場チーム最弱な日本は頑張れるか?”な感じの煽りの方が、選手には発奮材料になったに違いない。
まあそれはさておき、プーチン大統領が和平交渉に臨む姿勢を示した、と西側メディアは大喜びだが、ウクライナ・ポロシェンコ大統領が米国やNATOから、どこまで独立性を保っている存在なのか確認のための、一時停戦状況の権威づけをしたのだろう。このウクライナにおける、ウクライナ人が蚊帳の外にある欧米勢力の、ロシア、延いては中国包囲戦略と云う目的があるウクライナ問題は、世界を大戦の方向に導く導火線であることに変わりはない。問題は、直近ではポロシェンコ大統領が平和交渉の当事者として、親ロシア派勢力の参加を認めるか否かがポイントだ。その辺で、米国の口先介入が行われれば、停戦前より悪い状況が待っているのだろう。
6月17日付拙コラムで以下のように『第一次大戦前夜に近似してきたウクライナ 内戦から東西大戦へ』を書いた。 【 …第一次大戦前夜に近似してきたウクライナ 内戦から東西大戦へ 日本人の多くが、ウクライナで起きている紛争を、第一次大戦同様に「遠い海の向こうの戦争」と思っているだろう。商才豊かな産業に携わる者たちは、戦争特 需が舞い込むのではないかと皮算用しているかもしれない。たしかに、戦場がウクライナ国内に限定された局地戦であるなら、特需が日本経済を潤す可能性はある。しかし、第一次大戦レベルにまで戦況が拡大されれば、日本も否応なく巻き込まれ、第三次世界大戦が勃発するかもしれない。ドイツ・シュミット元首相は 以下のように言っている。 ≪ 「第1次大戦前夜を想起」=ウクライナ危機で警告−元西独首相【ベルリン時事】旧西独のシュミット元首相(95)は16日付のドイツ紙ビルトに掲載されたインタビューで、緊迫の度を増すウクライナについて、第1次大戦開戦(1914年)直前のように「危険は日に日に高まっている」と警告した。 シュミット氏は「第3次大戦に言及するつもりも、北大西洋条約機構(NATO)の軍事費増強を要求するつもりもない」と述べながらも、「当時の状況にますます近づいているように思える」と語った。 ≫(時事通信)… 】
参考URL:
http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/e75a02e8b013ef0f6c172bc8acbd9ed7
このような世界観で、我々は第二次世界大戦の原型である、第一次世界大戦について、もっと深く学んでおくべきだと思っていたが、やはりタイムリーに講談社が『第一次世界大戦と日本』と云う本を出版した。本日は安倍官邸のアホな成長戦略「日本再興戦略」をぶった切るつもりだったが、急きょ、当該本の紹介文を掲載しておく。本の帯説を引用し、現代ビジネスの書評を読んでもらおう。今後の世界を見渡すのに、適切なガイドブックになる。まあ、思考ゼロの人には戦争本で終わるが、近現代史原点だけに、反省とロマンを憶えたら、それは想像力豊かな証左でもあろう。
帯説:【サラエボの銃声は日本を震撼させた。複数政党制、長期停滞、格差社会・・・・・・、現代日本が抱える課題の原点は第一次世界大戦にあった! 2014年は第一次世界大戦の開戦100年目です。その影響は第二次世界大戦以上で日本にも深く及んでいました。大戦前後の日本社会を 観察すると「複数政党制への過渡期」「好景気から長期停滞へ」「大衆社会のなかの格差拡大」という、まさに今日的な課題がみえてきます。この戦争が浮かび あがらせた課題は21世紀の現在も構造としては変わっていないのです。本書は、さまざまな側面から「現代日本」の始まりを考える一冊です。】
◆著者紹介 井上寿一(いのうえ・としかず) 1956年、東京都生まれ。一橋大学社会学部卒業。同大学院法学研究科博士課程、学習院大学法学部教授などを経て、現在、学習院大学学長。法学博士。専攻は日本政治外交史。主な著書に、『危機のなかの協調外交――日中戦争に至る対外政策の形成と展開』(山川出版社、吉田茂賞)、『日中戦争下の日本』『戦前昭和の国家構想』(講談社選書メチエ)、『吉田茂と昭和史』『戦前昭和の社会 1926-1945』(講談社現代新書)、『戦前日本の「グローバリズム」』(新潮選書)、『昭和史の逆説』(新潮新書)、『山県有朋と明治国家』(NHKブックス)、『政友会と民政党』(中公新書)、『理想だらけの戦時下日本』(ちくま新書)などがある。
≪ 『第一次世界大戦と日本』著:井上寿一---100年前の日本
『第一次世界大戦と日本』(講談社現代新書)を書くことになったきっかけをさかのぼると、2011年のフランス・アルザスでの不思議な体験にたどり着く。 宮崎駿監督の『ハウルの動く城』に出てくる町は夢のなかのようなフィクションではない。実在する。山の向こうはドイツとの国境に近いフランス東部アルザス地方の町コルマールがモデルである。
コルマールからアルザスワインのブドウ畑を横目に、車で20分ほどのところにアルザス・欧州日本学研究所がある。これは夢かと錯覚する。フランス人 スタッフが流暢な日本語を話している。「ボンジュール」とあいさつすると、「こんにちは」と返される。2011年から毎年9月初旬、夢のなかのようなこの 研究所を訪れている。
欧州の若手日本研究者とのワークショップは楽しかった。最初の年、大正時代の政党の財政政策(!)を研究しているイタリア人研究者に「なぜ日本なの か、中国の方がいいのではないか?」と疑問を投げかけた。愚かな質問だったと今も悔やんでいる。「そりゃあビジネスへの関心だったら中国でしょう。でも日 本への関心は多様です」。教えることよりも学ぶことばかりのワークショップだった。
レストランでの夕食後、皆で付近を散策した。そこにキリスト教の教会があった。ドイツ人の若手研究者が指し示した。そのさきを見ると、戦没者の名前 が教会の壁に刻まれている。この地域からの戦没者は第一次世界大戦の方が第二次世界大戦よりも多い。すぐには呑み込めなかった。平均的な意識の日本人に とって、戦争といえばアジア太平洋戦争(第二次世界大戦―アジア太平洋戦線)である。第一次世界大戦は忘却の彼方に押しやられている。
翌年の九月、今度はひとりで確認した。戦没者数の差はまちがいなかった。ヨーロッパにとってこの世界大戦が持つ重い意味を伝えているかのようだった。それでは日本にとって第一次世界大戦はどのような意味を持つのか。考えてみることにした。
100年前と今との間に類似点があることに気付いた。第一に、当時の日本は今日と同様に、格差社会の問題に直面していた。第二に、第一次世界大戦に ともなう戦争景気と戦後の反動不況の長期化は、バブル経済とその後の長期経済停滞と重なる。第三に、当時も今も政党政治システムの模索の時代として似てい る。この世界大戦をはさんで非政党内閣から政党内閣と二大政党制へ、政権交代(2009年)と自民党の政権復帰(2012年)後の複数政党制の模索へ、政 党政治状況が類似する。
100年前の日本とは今の日本のことか。史料を読みながら、何度もそう思った。当時の人々に感情移入せずにはいられなかった。本書の登場人物はそのような人々ばかりである。
なかには無名氏もいる。第一次世界大戦後、顕在化する格差拡大社会のなかで、朝鮮人は悲惨な生活を強いられていた。朝鮮人の生活状況を調査した東京 府の担当者は言う。「彼等が原因となって、発生する処の数々の社会的諸問題の責任は、彼等自身の力に依りて解決を望むより、むしろ吾々と共同的努力に依っ て、之が解決を待たなければならない」。100年後の今、近隣諸国に対する不寛容なムードが広がっている。当時から学ぶべきことは多い。
引用したエピソードにはどれも強く感情移入している。とくに気に入っているのは、石井菊次郎と安達峰一郎の出会いである。ふたりの「国際会議屋」外交官は、大学生の頃、討論会で出会った。石井の発言に「ノン、ノン」と流暢なフランス語で反論したのが安達だった。
ふたりは外務省で机をならべて同じ仕事をするかのように、強い信頼関係を築く。外国語を自由に操り国際法に通暁する彼らが会議外交の最前線に立つ。 石井は中立的な立場から、国際連盟で欧州の国境線と民族をめぐる問題の解決に力を尽くす。安達は常設国際司法裁判所の所長の地位に就く。日本は国際協調外 交を展開する。彼らのような「国際会議屋」のプロフェッショナル外交は、今日の日本でも、政治家のアマチュア外交と比較して、もっと積極的に評価されてよ いのではないか。
第一次世界大戦が日本にもたらしたのは何か。開戦から一〇〇年の今年、議論が活性化することを願う。講談社 読書人「本」2014年7月号より ≫(現代ビジネス:メディアと教養・講談社読書人「本」より)
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