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2014-06-21 08:45:31
来年4月から小学校の教科書が4年ぶりに変わります。いま全国各地で、来年度はどの教科書にするか、先生方への採択のための閲覧が行われています。私たち一般の人間も閲覧し、意見を提出することもできます。
先日、ぼくが住む箕面市の教育センターを訪れました。東京書籍、光村図書、教育出版、日本文教出版の4社からの国語、算数、社会などの教科書が2階ロビーに並べられ、自由に手にとって見ることができます。
ぼくがのぞいた6月17日(火)の午後は、まったく人影がなく、ソファーに座ってゆっくり目を通すことができました。
問題にしたい教科書は、社会科。まず、領土問題。4社とも、尖閣は「日本固有の領土」と政府見解通りの記述でした。どの出版社のものでも一緒です。文科省の教科書検定を通じて国定教科書化が進んでいる証拠です。
領土問題は、「固有の領土」というだけでは、問題解決に向かいません。「国際紛争はどのように解決すべきか」という問題も一緒に考える教科書にしたいものです。
次に、東北大震災と原発事故。4社とも「東北大震災」は取りあげていましたが、光村、教育、日本文教の3社は、原発事故についてはまったく触れていませんでした。
東京書籍のみが6年生用の「新しい社会」下巻で、原発に触れていましたが、「原子力発電の安全を今後どのように確保すればよいか、見直しが進められています」とあるだけ。
原発があることを前提とした教科書になっており、原発から脱して、再生エネルギーへ転換しようとする動きがあることなどは、どの教科書にも見当たりません。
音楽の教科書では、1年生から6年生まで、かならず「君が代」のページがあり、歌詞と楽譜、簡単な解説がありました。
一番の問題は、教科書の閲覧が行われているということが、一般にはほとんど知らされていないことです。僕がのぞいた教育センターでも実にひっそりと置かれていました。「だれも見に来ないでいいよ」みたいな雰囲気なのです。
教科書に関するパブリック・コメントを出すことはできるのですが、そんなお知らせもまったくありません。ぼくも、「意見を提出したいのだけど、どうすればいいか」と、係員に聞いて、提出用用紙をもらうことができました。
小学校の全教科の教科書を並べるに必要なスペースは、3人掛け用の長テーブルひとつあれば充分。だから、例えばどの図書館でも片隅に小さなスペースがあれば簡単に展示できます。
小学校の教科書には、できるだけ多くの一般の市民が直接触れ、どんなことをどんなふうに教えているか、関心を持ちたいものです。
文科省は、いまはそっとしておいて、その間にどんどん国定教科書化を進めようとしているかのようです。国定教科書化とは、全国一律に同じ内容を、子どもの頭に刷り込む仕掛けです。「君が代」の教え方が、いい例です。
社会科では、「福島での原発事故のことは教えない」という文科省のご意向が徹底しているようです。
社会化という科目では、「人間はどうすれば平和で暮らしよい社会を作ることができるか、本当の民主主義はどういう風に身につけるべきか」、そういうことを学ぶ場のはずです。ところが、偏ったナショナリズムにもとづく教育をしようとしているように見えます。
国民の広い監視の目が必要だといえます。
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