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安倍首相に迫る決断の時 安全保障と経済改革:選挙対策だけでなく“保守強硬政策”を口先だけにとどめるためにも公明党を活用
http://www.asyura2.com/14/senkyo167/msg/239.html
投稿者 あっしら 日時 2014 年 6 月 20 日 19:59:50: Mo7ApAlflbQ6s
 


安倍首相に迫る決断の時 安全保障と経済改革[英国エコノミクス:日経新聞]
2014/6/20 7:00

 安倍晋三首相は最近の日本の首相の中で、誰よりも明確な目的意識を持つ。同首相には2つの大きな野望がある。1つは、長らく停滞を続ける日本経済に活力を取り戻すこと。もう1つは、第2次世界大戦後に制定された平和憲法が課す防衛上の“足かせ”を取り払うことである。

 日本の国民は今のところ、第1の目的に向けた改革に対しては積極的に受け入れる姿勢を見せている。だが2つめについてはそれほど快く思っていないようだ。慎重に事を運ばなければ、安倍首相の憲法改正への熱意が経済改革を台無しにする可能性がある。

 2012年に政権に返り咲いた時、安倍首相は、自らが率いる自民党と連立相手の公明党が持つ圧倒的な議席数を盾に、憲法第9条の改正を進めようと考えていた。第9条は、日本の戦争放棄を定めた条文である。だが安倍首相はすぐにこれをあきらめざるを得なかった。
 次に憲法改正の手順を変更する計画を打ち出したが、これも失敗に終わった。現在はさらにトーンを抑え、同盟国(主に米国)が攻撃を受けた場合に日本がその防衛に参加できる(=集団的自衛権を行使できる)よう第9条の解釈を見直そうとしている。だが、これも周りからの強硬な反対にあっている。

 自民党内には、集団的自衛権の行使容認を巡り、公明党との連立関係が破綻するのではないかと懸念する向きが多い。先月、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」が報告書を発表した。そして、「自衛隊(として知られる軍隊)は今後、戦闘の際には制限付きではあるが、米国に後方支援を提供する。同盟国の領土に向けて発射されたミサイルを迎撃することも許されるべきだ」と論じた。これらの行為は現在許されていない。
 この内容でさえも、安倍首相にとっては「後退」である。同首相は国連が認める海外ミッションにおいて、自衛隊が同盟国と共に戦えるようにしたかったのだ。米国は日本との同盟強化の一環として、この制限付きの変更を強く支持している。


■創価学会は集団的自衛権に強く反対

 だが平和主義を掲げる公明党にとって、安倍首相の意図は既に行き過ぎたものだ。5月29日、公明党の漆原良夫国対委員長は、安倍氏が目指す集団的自衛権の行使容認を巡って対立が深刻化した場合、連立政権からの離脱もあり得ると発言をした。これは政権の崩壊を意味する。自民党は大きな衝撃を受けた。

 問題は公明党の幹部ではない。安倍首相にとって真の障害となっているのは創価学会だ。平和主義の仏教団体で、公明党の支持母体でもある。創価学会は安倍首相の計画に反対している。

 この団体は国外では無名だが、900万人の信者を擁する。選挙における集票能力は抜群だ。同会の信者たち、特に300万人の女性信者たちは、国政選挙と全国の地方選挙で、何百という公明党候補を当選させるのに貢献してきた。自民党所属の政治家もまた、創価学会を頼りにしている。シンクタンクの東京財団が行った分析によると、創価学会のバックアップがなければ自民党は衆議院で約100議席を失う可能性があるという(現在は294議席を擁する)。

 一般世論を見ても、同盟国を武力で支援することに対する反発はいまだに根強い。共同通信社が先月実施した世論調査では、回答者の39%が安倍首相の方針を支持したのに対し、48%が集団的自衛権の行使に反対した。
 創価学会の婦人部でリーダーを務める笠貫由美子氏は、時の政権が憲法の解釈を見直すことの危険性を指摘する。そして安倍首相は「解釈の見直し」ではなく、正当な民主主義的合意を得て正式に憲法第9条を改正すべきだと主張している。それには衆参両院でそれぞれ議員の3分の2以上による賛成が必要となり、実現はほぼ不可能に近い。
 笠貫氏は、安倍首相が正当な手続きを踏まない限り、創価学会の婦人部は自公両党の候補者のための票を集めることはないと言外に伝えているのである。公明党は、もしここで安倍首相とひそかに妥協したならば、来春に予定されている統一地方選挙に悪い影響が出ると恐れている。

 この行き詰まりを打破する方法の1つは、安倍首相が2015年の春に先立ち、衆院の解散総選挙を実施することだと言われる。これをほのめかすだけで、公明党には大きな圧力となる。安倍氏の支持率が高ければ自民党にとって有利な結果となるはずで、野党各党が右往左往する中、公明党への依存度を減らすことにもつながる。一方、公明党にとっても「世論は安倍氏の防衛政策を支持している、だから安倍氏を支持すべきだ」と創価学会を説得する材料にできる。


■北朝鮮対応策はリスクにも

 安倍首相は、1970〜80年代に北朝鮮が行った日本人の拉致事件の局面打開にも望みを賭けている。日本と北朝鮮は5月29日、北朝鮮が拉致に関する再調査を行い、その見返りとして日本が制裁を緩和することで合意した。この問題における数年ぶりの進展である。

 拉致問題は日本では感情的に受け取られている。「合意した」との報道だけでも安倍首相にとっては政治的勝利だ。安倍首相はもともと、2000年代初めに拉致被害者家族を擁護することで、一躍脚光を浴びた人物である。6月の第1週、政府は安倍首相が平壌を訪問する可能性さえあることを示唆した。
 だがこの大胆な策はリスクもはらむ。北朝鮮が方針を180度転換したのは、さらなる援助と貿易を日本から引き出すことが狙いだ。米テンプル大学日本校現代日本研究所のロバート・デュジャリック所長は、北朝鮮には日米間に緊張を生じさせる意図もあるかもしれないと指摘する。安倍首相は外交的な代償と、拉致被害者が一人も帰国できないという極めて現実的な可能性をてんびんにかけなければならない。拉致被害者の大半は既に北朝鮮国内で亡くなったと考えられている。

 一方、経済の改善に向けた安倍首相の取り組みは最も重大な局面に臨んでいる。先月、自民党は長らく待ち望まれた経済改革の一覧を発表した。政府は今月中に新たな成長戦略を公表する予定だ(注:16日、政府は産業競争力会議で新しい成長戦略の素案をまとめた)。しかし今後何らかの政治的変動があれば、せっかくの経済変革のチャンスにも影響が出る。何を優先事項とすべきなのか――安倍首相は近く選択を迫られるかもしれない。

(c)2014 The Economist Newspaper Limited. Jun. 7th, 2014 All rights reserved.

英エコノミスト誌の記事は、日経ビジネスがライセンス契約に基づき翻訳したものです。英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1900V_Z10C14A6000000/?n_cid=DSTPCS001


 

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