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田原総一朗:集団的自衛権の行使容認、国民の信を問うべきだ
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140620-00000004-fukkou-bus_all
nikkei BPnet 6月20日(金)8時3分配信
集団的自衛権の行使容認については、政府が具体案を出せば出すほどわからなくなる。自民、公明両党による「安全保障法制整備に関する与党協議会」は5月27日、現行法制で十分に対応できない15の事例を示したが、この事例をめぐり矛盾や疑問がいくつか指摘されている。
■15事例は公明党との協議のために提示したようなもの
与党協議で示された15事例は、(1)武力攻撃に至らない侵害への対処(3事例、いわゆるグレーゾーン事態)(2)国連平和維持活動(PKO)を含む国際協力など(4事例)(3)「武力の行使」に当たり得る活動(8事例)――である。
これらの15事例について、新しい法律や改正が必要かどうかを自公両党で話し合うとしているが、多くの事例は「個別的自衛権や警察権で対処できる」といった主張がすでに公明党からも出ている。
そもそも政府は15事例を誰に向けて出したのか。具体的な事例が示されなければ国民も集団的自衛権行使容認の議論ができないとの指摘があったのは確かだが、政府は与党協議を進めるため公明党に向けて15事例を提示したと言っていいだろう。
■15事例に見られる矛盾や疑問
これまで与党公明党を含め、野党は自民党を批判してきたが、結局はどの批判も「手続き論」と言えるものである。集団的自衛権の行使容認をするなら憲法を改正して行うべきであり、解釈改憲、つまり憲法の解釈を変えることで容認するのはけしからん、という批判である。
そこで政府は与党公明党を説得するために15事例を提示し、与党内で協議を進めようとしているのだ。ところが、具体的な事例を出してから矛盾や疑問がいくつも見えてきた。
たとえば、「武力の行使」に当たり得る活動として提示された「米国に向け我が国上空を横切る弾道ミサイル迎撃」。北朝鮮の弾道ミサイル発射を想定したケースだが、弾道ミサイルは日本のはるか上空を飛んで行くため、それを迎撃することは難しいと言われる。弾道ミサイル迎撃という想定自体がおかしいというのだ。
あるいは、同様に「武力の行使」に当たり得る活動として挙げられた「邦人輸送中の米輸送艦の防護」。朝鮮半島で戦争が起きた場合、米艦が韓国に住む日本人を救出し、その軍艦を自衛隊が守るという想定である。これに対しても、本当に「米艦は邦人を輸送してくれるのか」という疑問が投げかけられている。
■現実には米艦の邦人輸送は困難か
6月16日付の朝日新聞は「『米艦で邦人救出』米拒む 過去の交渉」という記事を報じた。それによると、1997年、「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)を改定する際、米軍が「非戦闘員救出作戦」(NEO)を協力分野に加えることに合意していたが、98年の周辺事態法を作るときに米側の強い意向でNEOはメニューから外されたという。
つまり、現実には米艦による邦人輸送はきわめて困難というわけである。
このように事例を出せば出すほど矛盾や疑問が見えてくるのだ。集団的自衛権の行使を容認すると、日本にどのようなメリットがあるのか。結局のところ、それがよくわからない。
「集団的自衛権の行使容認により抑止力が働いて戦争が起きなくなる」。そういう意見もあれば、逆に「集団的自衛権を行使することによって米国の戦争に巻き込まれるのではないか」といった意見もある。自民党内にもこうした両論がある。
日本経済新聞社らが5月末に行った世論調査によると、憲法解釈による集団的自衛権の行使容認に対して「賛成」が28%、「反対」が51%だった。行使自体については、「使えるようにすべきだ」が37%、「使えるようにすべきではない」が47%となっている。
■国民の信を問うべきである
国民のほとんどが集団的自衛権の行使を容認したほうがよいのか、しないほうがよいのか、判断がつかないのが現状だろう。
私は、もっと国会で議論を積み重ね、国民がある程度理解できたところで、国民の信を問うべきだと考える。主権は国民にあるのだ。だが残念ながら、なぜかそれを誰も言わない。
安倍晋三首相はなぜこんなに集団的自衛権の行使容認を急ぐのだろうか。自民党の石破茂幹事長と公明党の井上義久幹事長は6月18日会談し、集団的自衛権行使容認のための閣議決定に関する日程を話し合った。政府・自民党は早期に公明党と合意し、6月22日に会期末を迎える今国会中に閣議決定を行いたい意向だ。これに対し、井上氏は「今国会中は厳しい状況だ」と語ったという。
私は官邸や自民党幹部の何人かに「閣議決定を急ぐ理由」について取材したところ、どうやら次のような「事情」があるようだ。
アベノミクス相場により、2013年末の東京株式市場は日経平均株価が1万6300円の手前まで上昇した。ところが今、1万5000円前後で推移し、株高になる気配はない。1万5000円をキープするのが難しいのではないかとも言われる。
■安倍首相が閣議決定を急ぐのはなぜか
この6月末には成長戦略の第2弾が発表されるが、それによって株式市場がどう反応するか不透明だ。しかも、今年末までには2015年10月の消費税率10%への引き上げを判断しなければならない。場合によっては、株価が下落することがないとは言えない。
だから安倍首相としては、日経平均が1万5000円前後を保ち、内閣支持率も50%台の高いうちに集団的自衛権の行使容認を閣議決定したい、というのである。
もし株価が1万4000円を割り込むようなことになれば、「アベノミクスは失敗だった」ということになり、安倍内閣の支持率が急落するおそれもある。支持率が下がれば、集団的自衛権行使容認の閣議決定どころではなくなってしまう、というのだ。
こうした説明が最もリアリティがあると私には思えた。
繰り返しになるが、もし閣議決定を行うのなら、その後に衆議院を解散し、総選挙で、集団的自衛権の行使容認について国民の信を問うべきである。国民の審判を受けてから判断すべき問題だと私は考える。
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