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安倍首相がマジで仕掛ける農協解体(1)
http://wjn.jp/article/detail/1905411/
週刊実話 2014年6月26日 特大号
突如、永田町に思わぬ暗雲が立ち込め始めた。安倍晋三首相が6月22日の国会会期末後に、まさかの「電撃解散」を断行。総選挙を行うとの観測が駆け巡りだしているのだ。
政治部記者がこう語る。
「その解散総選挙の争点と見られているのが、他ならぬ農協の解体なのです。ご存じの通り、政府は昨秋から農業、IT、医療福祉、雇用などの改革を見据えた会議を実施。農業においてもワーキングチームが会議を重ねてきたが、5月22日に農協の総元締めである『全国農業協同組合中央会』(以下、中央会)の廃止を発表したことで、族議員を巻き込んで中央会側が猛反発する騒ぎに発展している。それを見据えた安倍首相が、農協の解体を実現するために、“伝家の宝刀”を抜くとの情報が駆け巡りだしているのです」
ちなみに、農協はかつて“自民党の集票マシン”と呼ばれた一大組織。正組合員、准組合員を合わせ約1000万人が加入し、その支部は全国で約700カ所に及んでいるが、かつての友好団体に安倍首相が後ろから鉄砲を射掛けたことで、俄然、この噂に拍車が掛かっているのである。
自民党議員がこう語る。
「今では6月末の解散、7月中旬の投開票日まで囁かれている。集団的自衛権の行使容認問題は日増しに反対派が増え今では5割に達しているが、このタイミングで解散を打たれたらいまだ自民党の圧勝は確実。そのため、野党筋も解散情報を無視できないと官邸の動きに注目しているのです」
だが、気になるのは集団的自衛権の行使容認問題が熾烈化している最中に、なぜ政府が突如、農協の解体に手をつけ始めたのかという点だ。実は、そこには安倍首相の老獪な策略が渦巻いていると評判なのだ。
全国紙編集委員がその権謀術数ぶりを解説する。
「実は農協の解体を争点とする解散論は、集団的自衛権の行使容認問題、さらには交渉が難航するTPP問題を解決する奇策として、政府内で議論されていたのです。知っての通り、行使容認問題は公明党の反発で暗礁に乗り上げ始めている。同党は『連立離脱』までチラつかせているが、その実、来春の統一地方選での自民党との選挙協力を喉から手が出るほど欲しているのです。このため、安倍自民は農協解体選挙でその溝を埋めて選挙協力。大勝のどさくさで集団的自衛権のミソギを済ませ、巻き返しを図ろうと企んでいるのです」
また、この編集委員によれば、TPP交渉についても周到な策略が張り巡らされているという。TPP交渉が難航しているのは、関税撤廃で米国などの安価な農産物が輸入され、日本の農業が壊滅的になるとの理由から。我が国の農家が反対しているといわれているが、実はこれをけしかけているのが中央会なのである。
「そのため、安倍首相は最大の抵抗勢力である中央会を廃止する農協解体選挙で大勝し、TPP交渉を進める魂胆なのです。しかも、安倍首相の策略はさらに老獪で、5月22日に政府が発表した農業改革案では、企業による農業生産法人への出資制限の緩和なども盛り込み、農家の農協離れを誘っている。農協票がまとまって他党に流れないよう、先手を打った分断作戦を繰り広げているのです」(前出・編集委員)
要は、水面下ではすでに農協解体選挙に向けた“布石”が打たれ始めているようなのだ。
ただ、安倍首相が集団的自衛権の行使容認の成立と、TPP交渉の進展に農協を利用しようとしたのも無理からぬ話というほかはない。実は、農協は我が国の農業を支えてきた組織だが、今では「農業界のガン」とも呼ばれているほどなのだ。
政府関係者が言う。
「もともと、農協は協同組合という形で日本の農業に貢献してきたが、組織が肥大化し、第一次産業に悪影響を及ぼす団体に成り下がってしまった。中でも農家泣かせなのが資材や肥料、農機具などをホームセンターや直営店以上の割高な値段で農家に売りつけている点で、金融機関から融資を受けにくい農家の大半が、この代金を農協から借りて購入している。借金の返済は農産物で得た金から差し引かれるが、返済が追いつかないことも多く、雪だるま式に膨れ上がっている農家が後を絶たないのです」
ちなみに、農協を脱会することは可能だが、これに踏み切ると育苗施設、米の調整施設などさまざまな施設が使用できなくなるという。しかも前記した通り、農家は銀行などから融資を受けにくいため、農業資金だけでなく学資融資、自宅のリフォーム代なども農協が丸抱えで、実質的に脱会は不可能に近い状態なのだ。
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安倍首相がマジで仕掛ける農協解体(2)
http://wjn.jp/article/detail/8213336/
週刊実話 2014年6月26日 特大号
また、農協が「農業界のガン」と呼ばれる原因には、農作物の流通を牛耳っている点も見逃せない。
「代表例が米の流通だ。現在、日本の米価は減反政策で調整され、本来一俵(60キロ)9000円程度のものが、1万5000円強の値段となっている。毎年減反農家には総額5000億円もの補助金が支給され、消費者は割高な米を買わされているのです。また、農協が大手を振って推進するこの政策は、農家にも悪影響を及ぼしている。本来は米より葉物などの野菜の方が高収入なのだが、補助金がもらえるために、米に固執する農家が増殖。農業の競争力と作物のブランド化に歯止めをかけまくっているのです」(商社関係者)
さらに、一方で問題となっているのは、コングロマリット化した中央会の焼け太りぶりだ。中央会は全国で約700カ所に及ぶ農協から加入者数によって算出された賦課金を徴収しているが、その額は一カ所で年間約80億円にも及ぶという。
この潤沢な資金と肥大化した組織を武器に政界にやりたい放題の圧力を掛け続けてきたため、自民党内でも長らく解体論が叫ばれてきたほどなのである。
もっとも、安倍首相が農協の解体に踏みだした裏には、集団的自衛権の行使容認、TPP交渉問題以上の思惑があるとの見方も指摘されている。
「それが農協に許された金融面での特権なのです。農協は協同組合法を盾に金融業務に加えて生保や損保の業務も兼ねている。膨大な組合員を抱えているため、生保や損保業務を切り離すよう米国が水面下で安倍政権にネジを巻いているらしいのです。また、農協のJAバンクには90兆円の預金量がある。この額は、今やメガバンクでもトップの三菱東京UFJ銀行に次ぐ預金量なのです。政府は5月22日の発表の際、JAバンクなどの金融事業を農林中金などに業務移転することまで盛り込んだが、この囲われた金を市場に転用し、アベノミクスの新成長戦略に活用しようと目論んでいるともみられるのです」(前出・編集委員)
一方、前出の政治部記者はこう語る。
「実は農協は民主党政権樹立時に、一部が一度自民党を裏切った経緯があり、自民党内にはその恨みが渦巻いている。また、近年農家の子供たちがサラリーマンとなり、准組合員数が増え続けているため、以前のように“自民党の集票マシン”として機能しなくなってきているのです。安倍首相が農協解体に手をつけ始めたのはこの組織を解体、再構築し、再び自民党の大票田とするためで、解体の延長線上には第二の中央会の設立も視野に入れているという。そのために、郵政選挙さながらの解散総選挙を打とうとしているとも伝えられているのです」
果たして、今後農協と安倍首相の闘いはどう進展するのか。国会会期後の動きが見モノだ。
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