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集団的自衛権と戦争する国の未来
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2014年06月17日 兵頭正俊 兵頭に訊こう
日本を終末感が覆っている。ネットメディアの論調、良心的な大学教師・弁護士等の発言を見ても終末感がにじみ出ている。
この状況の終末感は、原発輸出や消費税増税、NSC、がん登録推進法(福島県などの爆発的ながん発症の隠蔽)、特定秘密保護法、武器輸出三原則を廃止して、武器輸出へ転換、TPP参加による売国、解釈改憲で集団的自衛権の確立といった、外国に向けては軍事国家として、国内に向けては警察国家として、日本が戦前に回帰してゆく状況を反映したものである。
この状況の終末感、終末としての状況を準備したのは、民主党政権の菅直人・野田佳彦である。かれらの国民無視、野党無視、マニフェスト無視の手法に学んだ自民党安倍政権によって、徹底的に国は壊されていっている。
国家の破壊と売国は、これまで新自由主義とグローバリズムによって説明されてきた。しかしそれだけでは不十分である。近代の日本は、これまで被差別出自の政治家たちによって壊され、売られてきた。その視点を今後は加えねばならない。
わたしは教育の現場にいた人間であり、マイノリティの苦しみは、生徒と保護者を通じて一般よりはよくわかっている。しかし小泉純一郎、安倍晋三、橋下徹らを見ていると、やることがひどすぎる。それはマイノリティの怨念によってしか説明できない体のものである。
大きな枠組みとしては、この国は少子化、高齢化、人口減へと向かっている。この大局観に立てば、合理的な、そして論理的な政治家は、わざわざ国のかたちを戦争する国には変えない。未来の納税者としての若者が戦争で死ぬし、若い世代から結婚して子供を作る気持ちを奪うからだ。
この一事をもってしても、安倍晋三は頭の悪い政治家である。
戦争に反対すること。戦争に向かう状況に抗うこと。これほど人間として正しいこと、大切なことはない。これは自信をもっていえる。
戦争をするときに、国も個人も、その最悪の醜悪な姿を現すのである。嘘が幅をきかし、バカな男たちが肩で風を切る。内容のない、大きな声が国を支配してゆく。
負け戦になったのが、先の太平洋戦争であった。そのときの日本の支配層が何を考えていたかを、知っておくことは大切だ。
わが国の既得権益支配層がもつ棄民意識は、実は3.11以降に始まったものではないのである。
正木ひろしは、『近きより』のなかで、太平洋戦争の幕引きが遅れた理由を、次のように記している。『兵頭正俊の優しさ出前』の購読者は、すでにご存知の内容であるが、再録をお許し願いたい。
「高級職業軍人や憲兵や検事の大部分、その他の戦犯らが戦争の継続を必死になって望んだのは、敗戦になれば、戦勝国の手による刑罰の必至であったため、それを恐れて1日も長く自分の寿命を延長するため、また絞殺されるよりは、国を焦土と化し、全国民と無理心中するため、一億戦死を叫んだもので、その残忍酷薄非人道は、地獄の悪魔の心と少しも変はるところがない」
戦争は、1%にとって、始まってしまえばなるべく長引かせた方が儲かる。もし負け戦になれば、なおさらなるべく長引かせる力が働くものなのだ。これが戦争の、1%側の真実なのである。
国民に、ものを考えさせないこと。日本の破壊と売国にはそれが大切だ。そのためにパソナのセックス迎賓館「仁風林」まで登場した。それを伝える週刊誌には、竹中平蔵や飯島愛、南部靖之、安倍晋三、森喜朗、竹中平蔵、猪瀬直樹、堺屋太一、永島敏行、小野寺五典、田村憲久といった関係者の名前が踊る。
1%の酒池肉林の退廃と番(つが)りながら、この国は戦争をする国へと転がり落ちてゆく。
戦争は、 1%にとってはビジネスであり、莫大な金儲けに直結している。それも、儲かるのは軍需産業ばかりではない。やりようによっては元首も軍人のトップも莫大な富を手にするのである。
安倍晋三は、日本人を運ぶ米艦艇が敵に攻撃されたとき、日本の自衛隊はその米艦艇を守れない、これでいいのか、と語った。
おバカな国民をだますにはこのレベルの話で十分だと思ったのだろう。あるいは安倍がおバカなので、このレベルでしか考えられないのかもしれない。
しかし戦局になれば、戦端が開く前に日本国民は民間の飛行機や船で帰国する。外務省もそのように指示する。また、米国は外国の住民を艦艇に載せて運ぶようなことはしない。
安倍晋三がいっていることは、ただ米国に指示されたので、米国に自衛隊を傭兵として差し出す、それだけのことなのである。
自民党が公明党に示した集団的自衛権の行使容認は、以下の3つである。( )内は兵頭の注である。
1 我が国に対する武力攻撃が発生したこと、または他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがあること。
(これはおバカの書いた文章である。「他国に対する武力攻撃が発生」とは具体的に宗主国の米国のことである。イラク戦争もアフガニスタン戦争も、さらに遡ってベトナム戦争も、これらの米国に攻撃された国は、米国を先制攻撃したわけではなかった。
したがって傭兵の自衛隊を参戦させるには、侵攻先で米軍部隊が反撃に遭ったという拡大解釈を使うことになる。しかしそのときも「これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがある」わけではないのだ。
安倍晋三は、無理に米国軍産複合体の利権をわが国に結びつけ、日本の若者を殺そうとしている
現在の日本「国民の生命、自由及び幸福追求の権利」を「根底から覆」そうとしているのは安倍晋三である。日本国民にとって、もっとも危険な存在は安倍晋三なのだ)
2 これを排除し、国民の権利を守るために他に適当な手段がないこと。
(「1」がおバカの屁理屈なので、この「2」は、米国からの要請から日本の総理を守るために、他に適当な手段がないために傭兵を差し出す、という以外の意味はない)
3 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと。
(戦争には相手が存在している。いくら日本が「必要最小限度の実力行使にとどまる」といったところで、世界は日本のようにおとなしい奴隷民族ばかりでできているわけではない。
6月15日のツイッターに「ブラジルの現実。反W杯抗議デモが相次ぐ国では、ある横断幕に衝撃を受けました。「W杯サポーターの皆様への知らせ。ワールドカップのため、訪れた皆様へ感謝します。貴方が一つの試合を観戦できるように沢山の人々が亡くなりました」この文章に託されているのは我々ブラジル人の素直な気持ち」というツイートが流れていた)
集団的自衛権の行使容認の3条件といったおバカの文章に付き合った後は、原点に戻るのがもっともいい。日本国憲法の第9条をもう一度読み返してみよう。
「第2章 戦争の放棄
第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」
この憲法のどこに、米国への武力攻撃が発生し、わが国の存立が脅かされたら戦争をしてもいい、と書かれているか。
日本は、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とし、「国の交戦権は、これを認めない」とする9条に守られて、世界第3位の経済大国にもなれたのである。
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