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地元住民の本音は? “パソナの島”と化した淡路島現地ルポ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/151054
2014年6月17日 日刊ゲンダイ
パソナ社員の宿泊施設「絵島館」/(C)日刊ゲンダイ
ASKA事件をきっかけに政官との不透明な癒着が露呈したパソナ。日刊ゲンダイは11日、兵庫県・淡路島がパソナに“乗っ取られている”ことを報じた。県や市がパソナに土地の一部を無償譲渡したり、巨額の補助金をつけたりして、島中、パソナの関連施設だらけなのである。「パソナ島」と化した現地を訪れると、島民がパソナに抱く感情は複雑だった。
パソナはここ数年、グループ企業を通じて「農業実習」「新規事業立ち上げ」などの業務名目で、数百人の契約社員を淡路島で雇用している。当然、感謝されているのかと思ったら、むしろ、不気味がられていた。
明石港から高速フェリーで13分、島の玄関口「岩屋港」に降り立つと、すぐ目の前に民宿を改装したパソナの契約社員向け宿泊施設「絵島館」が見える。15分ほど歩いた場所にも三洋電機の元保養所「淡路浦荘」を改装した研修施設「凛風館」があるが、どちらも「パソナ」の看板は掲げられていない。
付近住民に絵島館はまだ「パソナの施設」として知られていたが、凛風館は「無人施設」と思われているようだ。近所のお年寄りはこう言った。
「パソナで働く人はこっちに来たかと思ったら、すぐにいなくなっちまってのー。住民票も島に移さんし、町内会にも入ってくれんから、誰が誰だか分からんのよ。えっ! 淡路浦荘にパソナの人が住んどるの? ホンマかいな。まあ、ほとんどが契約社員らしいから、悪気がないのはよう分かっとるけど、年寄りにはちょっと不安やわ」
凛風館から淡路市役所に向かって車を10分走らせると、国道28号線沿いに古民家風の建物が現れる。聞けば淡路島出身の三洋電機創業者・井植歳男氏の実弟、祐郎氏の別宅だったそうだが、約1年半前にパソナの迎賓館「春風林」になった。
パソナ所有のクルーズ船に乗せてきた政治家や官僚を接待する施設で、元参院議長の江田五月や落語家の桂文枝も“おもてなし”を受けた。有名指揮者もブログに「コース料理を食べた」とつづった場所だ。
■自治体は何のために土地やカネを与えているのか
春風林の評判を聞くと、近所の老人は顔をしかめてこう言った。
「井植さんが住んどったころは、いかにも由緒ある旧家という感じだったけどな。パソナのものになった途端、庭にモンゴルの『パオ』(移動式住居)みたいな建物がポコポコできてヘンテコになってしもた。簡易宿泊所らしいけど、うちらには何の挨拶もないから、中で何をしちょるかよう知らん。週末になると黒い高級車が3台くらい横付けされて、若い男女が30人くらい乗ったマイクロワゴンが横付けされるんやけど、何をしとるのやら……」
ASKA事件以降はパタリと静かになったというが、「パオ」の中で何が行われているのか――。春風林の正面玄関のチャイムを鳴らしても、電話をかけても不在なのか、誰も出てこなかった。
地元住民も首をかしげている施設に、県や市が便宜を図るのは不可解だ。
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