http://www.asyura2.com/14/senkyo166/msg/868.html
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思想や気分を別にすると、所得格差そのものが問題なのではなく、低所得者の所得水準が上昇しない(上昇どころから下降している)ことが問題なのである。
それはともかく、先進諸国で経済格差がより酷くなっている理由として、先進国経済が「産業資本主義」から「金融資本主義」にシフトしたことを第一に上げたい。
産業資本主義的成長には膨大な労働力と国内需要が必要だが、金融資本主義的成長であれば、少数のひとが新興国など今なお産業資本主義的成長の余地がある地域で金融活動に励めばOKである。(先進国なら国債の売買が中心だから、数百兆円を運用するとしてもひとはたいしていらない)
新興国を経済成長させなければ先進諸国の金持ちも富や所得を増大させられない時代になったのである。
このような変化を端的に言えば、多くのひとが高付加価値の生産活動に従事して経済成長の果実を手にする場が縮小し、消費活動向けの仕事で稼ぐひとが増大することを意味する。これが、所得格差の拡大及び低所得者層増加の要因である。
「21世紀の資本論」の著者であるピケティ氏は、高額所得者や資産保有者への課税強化を処方箋として提示しているようだが、それによって低所得者の所得水準が上昇するわけでも国民経済が成長するわけでもないから、あまりお奨めはできない。
金持ちへの課税強化で期待されるのは、それを財源とした低所得者に対する減税ないし扶助であろう。それなら、低所得者の課税最低限を引き上げて税を徴収しないようにし、金持ちにはカネを稼いでもらい消費活動に精を出してもらったほうがましだろう。
(より低い低所得者には、給付付き税額控除で扶助を行う)
世界的にディスインフレが問題視されている経済状況だが、悪性インフレを招かないレベルの赤字財政は無問題である。
(赤字財政は、借金が問題なのではなく、インフレにつながる可能性があることが問題なのである)
※ 参照投稿
「アメリカ経済格差がますます開く理由:「本物の金持ち」は上位1%よりごく少数の上位0.1%:「格差」レベルは戦前への回帰」
http://www.asyura2.com/14/hasan87/msg/217.html
「[富の偏在問題]「裕福なわずか67人の富=世界人口のほぼ半数35億人の富」という現実」
http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/174.html
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「21世紀の資本論」旋風、日本も?
フランスの経済学者、トマ・ピケティ氏の『21世紀の資本論』が米国でベストセラーとなり、日本の経済学界でも話題になっている。フランス語版に続き今春に英訳が出版されると、米国の学界では富や所得の格差問題を巡る議論に火が付いた。日本語訳の出版への期待も高く、分配や格差問題を改めて議論する材料になりそうだ。
同書は、欧米や日本など20カ国以上を対象に過去3世紀にわたるデータを集め、富と所得分配の変遷を検証した。株式などの資本収益率は経済成長率より高いため、2度の世界大戦で資本が打撃を受けた時期を除くと資本を持つ人と、持たない人との格差が広がっているとの見方を示す。
同書で日本のデータの推計を担当した森口千晶・一橋大教授によると、各地域の担当者が税務統計を基にデータを集め、国際比較が可能な客観的なデータがそろったという。福田慎一・東大教授は「綿密なデータの検証を通じて所得分配や平等など、これまであまり焦点が当たらなかった問題に一石を投じた」と評価する。
橘木俊詔・京大名誉教授も「欧米諸国の超長期にわたる格差拡大の要因を資本収益率の高さに求めた点に独創性がある。世襲を廃して再分配する政策を好むフランスの知識人特有のリベラル派でマルクス経済学者でないところにも注目したい」と同書の意義を認める。
ピケティ氏の矛先は主に米国に向けられており、「金融資産や所得の格差が米国などに比べて小さい現在の日本では必ずしも同じ議論は当てはまらない」(森口氏)。それでも「格差が拡大中の日本でも、ピケティ氏の仮説が妥当なのか、興味がわく」(橘木氏)との声は多く、日本でも旋風を巻き起こすかもしれない。
(編集委員 前田裕之)
[日経新聞6月12日朝刊P.26]
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