http://www.asyura2.com/14/senkyo166/msg/724.html
Tweet |
フランスから見た安倍政権 アベノミクスへの称賛と外交戦略への皮肉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140613-00010000-wedge-pol
WEDGE 6月13日(金)8時20分配信 岡崎研究所
5月5日付け仏ル・モンド紙で、仏国立社会科学高等研究学院(EHESS)のSebastien Lechevalier日仏財団理事長が、2012年末に総理として再登場した安倍晋三氏は、彼に成功のチャンスはないと思っていた国民や専門家達を驚かせる政策を次々と実行している、と論じています。
すなわち、1990年代後半から続いた長いデフレから日本を脱却させた総理として、安倍氏の名は歴史に刻まれるだろう。安倍氏は、保守派ナショナリストとして知られているが、彼は、成長と信頼を取り戻すという国民の期待に応えるため、優先順位を変えた。そして、経済政策を刷新した。
それが「アベノミクス」である。少なくとも、最近まで、アベノミクスは、成長と価格上昇をもたらし成功した。もちろん、アベノミクスが奇跡を起こしたわけではない。新しい方法の1つは、2%のインフレ目標を設定した金融政策である。が、それ以上に驚くのは、首尾一貫して分かりやすい政策を提示しようとしていることである。
もう1つの驚くべき成果は、給与政策である。15年以上も、安倍氏の前任者達は、デフレの根源である給与削減政策に終止符を打つように日本企業を説得することができなかった。安倍氏は、財界に好意的政策を示し、代わりに、大企業に対して、昇給を与えるよう圧力をかけることをためらわなかった。
この政策で、安倍氏の人気は上がった。50%以上というのは、政治への信用を失った国家では例外的数字であり、欧州の首脳達が羨むものも無理はない。
が、経済成長のみが、日本が直面している課題ではない。2011年3月の福島原発の事故から3年経ち、エネルギーと環境問題は、第1の課題である。問題は、単に原発を破棄して人と環境への被害を止めることではなく、経済成長の要求に応えつつ環境に配慮した斬新なエネルギー政策を実施することである。
2番目の課題は、社会保障である。問題は、共通の目標に向けて国民の活力を結集するような制度を構築し、若者に自信を取り戻すことである。そのためには、社会保障の要求に応えつつ、同時に、限度を設けることも必要である。
日本の財政赤字は、国内総生産の200%以上になるが、安倍政権で取られた措置は消費税の増税で、5%から8%、2015年には10%と、かなり低いものである。
3番目の課題は、人口問題である。日仏両国は、1980年代には、1.8人の出生率であったが、その後の異なる歩みにより、現在、日本の出生率が1.4人なのに対し、フランスは2人以上となっている。ここでも、フェミニストとしては知られていなかった安倍氏が、社会における女性の地位向上を掲げ、我々を驚かせた。この分野に関しては、日本はフランスの成功を参考にしたら良いだろう。
最後の課題は国際問題である。簡単に言えば、台頭する中国にどう対応するかである。2010年に中国が日本を越して世界第2位の経済大国になったのは歴史的転換点だった。日本は韓国と並んで、1990年代以降の中国の経済成長から恩恵を受けてきたが、中国との競争においては、新たな産業戦略を必要とする。TPPの締結は、この問題とは別ではあるが、相対的には、中国を周辺に押しやる経済圏を構築することになる。自由原則に基づくTPPは、まずは米国の利益に応えるものであり、日本の経済や社会の一部に悪影響がないわけではない。この点、安倍氏の慎重な態度は適切であり、TPP同様にEUと米国で交渉しているTTIPに関しても、参考になる。
だからこそ、安倍氏の外交関係における見識と戦略の欠如には驚かされた。
中国が、領土問題で近隣諸国に挑戦している時、この地域で韓国を除いては唯一の民主主義国である日本には、安定装置の役割を担ってもらいたい。が、靖国参拝や歴史修正主義、平和憲法改正等の話は、近隣諸国のみならず、地域の緊張を高めたくない同盟国、米国にも衝撃を与えた。
上記の様々な課題は、日本独自のものではなく、我々皆に関係する。だからこそ、経済政策でも、エネルギー政策でも、国際関係でも、安倍政権が、時に慎重に時に大胆に行なう政策は、注目に値する。
このことは、一方で、日本がじっとしてはいないことを、他方で、国際的、技術的制約があっても改革の方法は1つではないことを示す。これは、フランスにとっても教訓になる。折しも、フランスは、二国間関係やアフリカ等第三国への協力に関して、日本と戦略提携を結ぶことを決めた。だからこそ、今後も安倍総理が我々を驚かせてくれ、フランスを特別なパートナーと認めてくれることを望む、と述べています。
* * *
上記は、安倍総理の訪仏に合わせてル・モンド紙(電子版)に掲載されたものです。安倍内閣のこれまでの成果について、特に金融政策と給与政策について、驚きと称賛の意は表しています。ただ、100 %好意的というわけではなく、靖国神社参拝を外交戦略の欠如と呼ぶなど、シニカルな批判もしています。
結論部分では、問題を特定しているわけではありませんが、「国際的制約が有っても解決の方法は1つでは無い」ことを示した安倍総理の政策は、フランスにとっても教訓となると言っています。つまり、安倍総理の大胆不敵な行動を称賛し、それが日仏関係にも有益となるので、フランスと戦略的パートナーシップを進めて欲しいと期待している論説です。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK166掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。