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2014年06月10日
人口の急減が国家存亡に関わる重大事だと云う認識に立った議論が、10年、20年前から百年一日の如く交わされている。些か食傷気味なのだが、敢えて今夜は、この「少子化問題」を取り上げてみる。おそらく、少子化で一番困るのは、生産人口が減少することで、生産能力が落込み、国家の歳入が自然減してしまうことだろう。そして、その為に、現行の社会保障制度の給付額を落としても、年金受給者や介護を受ける人々への社会保障総額は半端なものでなる。3人で一人の老人の面倒を見る時代から、一人で一人の老人の面倒を見る時代が迫っていると云う、専ら経済的事情によるものとの認識がある。
上述の問題であれば、団塊世代の急激な高齢者増と云う“団塊ジジババ時代”が過ぎてしまえば、嵐は過ぎ去り、逆ピラミッド人口構成は、いずれ解消し、円錐型の人口構成が生まれる筈である。その意味では、極めて無責任な見方をすれば、一時の過酷時代であり、出来ないことのために、無節操な歳出を垂れ流す必要がないともいえる。官邸のHPを覗いて、森まさこの“「少子化危機突破」〜少子化対策まったなし〜”と云う資料をざっと眺めたが、新味はゼロ。「産めよ増やせよ」と云う音頭取りで、国家主義と誹謗されるのを怖れたのか、“個人の自由を侵害するものではない”という文言が度々登場しているのが目立つ。
≪ ◆目標について議論する際の《3原則》
@個人の希望を尊重
個人の産む産まないを選択する自由を侵害するものではなく、あくまでも、希望する人が結婚でき、希望する人が産むことができるようなものであること。
A国・地方自治体等の目標であることの明示
個人に対するものではなく、国、地方自治体、企業等の取組を通じて達成すべき目標であり、それを国民に丁寧に説明すること。
B必要な財源確保
必要な施策を精査・総動員した上で、そのための財源を確保すること。 ≫(官邸HP:経済財政諮問会議資料より抜粋)
毎日新聞は以下のように、この少子化対策等の経済財政諮問会議における事務進行事務方のレジュメについて伝えている。
≪ 骨太の方針:人口減対策に本腰 法人税改革推進…骨子
政府の経済財政諮問会議が9日開かれ、「50年後に1億人程度の安定した人口構造の保持を目指す」ことなどを柱にした経済財政運営の基本方針「骨太の方針」の骨子をまとめた。会議では安倍晋三首相が「人口急減、超高齢化への流れを変えるため、従来の枠組み にとらわれない抜本的な取り組みにより、結婚、妊娠、出産、育児への支援を行っていくことが重要だ」と述べ、人口減少問題への対応を強化する方針を示した。
骨子は(1)アベノミクスのこれまでの成果と今後の日本経済の課題(2)経済再生の進展と中長期の発展に向けた重点課題(3)経済再生と財政健全化の好循環(4)2015年度予算編成に向けた基本的考え方−−の4章立て。
中長期的な課題として、人口減少と高齢化を明示し、「2020年をめどに『人口急減・超高齢化』への流れを変える改革」を実行すると明記。少子化対策として第3子以降への重点的な支援の検討を盛り込んだ。また、東日本大震災の被災地で「新しい東北」の創造を目指し、少子高齢化などに対応した、世界のモデルとなるような地域社会を実現するとした。
財政健全化では、政策経費を国の借金なしでまかなえるかを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス) について、15年度の赤字を10年度の半分にし、20年度で黒字化する目標を堅持。諮問会議の監視機能を強化し、半年ごとに経済財政の動向を点検し、進捗 (しんちょく)状況を確認するとした。また、来年10月に消費税率を10%に引き上げるかどうかは年内に判断する方針を示した。
このほか、経済再生に向けて、イノベーション(技術開発)とコーポレートガバナンス(企業統治)の強化が重要と指摘。原子力発電所については「原子力規制委員会の判断を尊重し、再稼働」との方針を改めて示した。
一方、「民間投資を喚起し、(海外からの)対日直接投資を促進するため、法人税改革を推進する」方針も示した。ただ、法人実効税率の引き下げ幅などについては、政府・与党内の調整が大詰めを迎えているため、具体的な記述は骨子段階で見送った。13日開催予定の諮問会議で改めて議論する見通しだ。 ≫(毎日新聞:小倉祥徳)
日本における少子高齢化問題は、概ね経済的問題として受け止められている。「このままでは、まともな年金も高齢者医療も維持できない。現役世代の負担が常軌を逸するレベルに達する」という議論に集約されるのだが、財政負担で行えば、現役世代への負担は軽減するわけで、要はプライマリーバランスを達成するためには、現役世代にツケ回しをしたならばと云う仮説の上に成り立っている。前述のように、いずれは円柱形の人口構成になるのだから、一時異常な財政赤字が出るが、いずれ解消すると云う問題だ。
国債格付けが投機レベルに達しようと、国債を購入する誰かが居ればいいことで、何も海外の資金の流入がなければアウトと云う話ではない。団塊世代高齢者御用達でプレミア付き特別枠国債発行などと云う選択もある。団塊世代の金融資産から国が借金をして、プレミア金利を付加すれば、かなりの量の国債は消化されるだろう。10年物で0.6%なのだから、1%上乗せの1.6%レベルでも、充分消化可能である。やる気になれば、まだまだ出来る。それから、債権大国としては、海外に流出している金融資産の利益を最大限生かすためには、円高誘導こそ正論であり、輸出なんか増えるはずもないの、円安誘導政策なんてのは、愚の骨頂である。
子育て支援とか、いろんな手を様々に打ってきているわけで、同様の発想から生まれる少子化対策など、上手く行くはずもない。あらゆるものを民営化方向に誘導し、グローバルに門戸を開く決意であるなら、中途半端に私企業の活動を阻害する政策が、この少子化対策で出てくること自体奇異なのだ。弱肉強食、市場原理主義、新自由主義な方向に向かうのであれば、全体主義的観念の入り込む余地はないのが自然なのである。個人の自由意思を尊重すると言いながら、子供を産み育てたら、税金で保護する政策は、明らかに論理に矛盾がある。この論理の矛盾解消の答えは、「移民」になる。おそらく、この言葉を隠しているために、論理が矛盾するのだろう。
文明や文化の先進性。中央集権における一律統治システムは、子供を欲する環境を阻害する。無宗教の国家における自由主義とは、実は無秩序を生む。この無秩序の善悪は別にして、結果は自明なわけで、欧米と世間を構築しているベースが異なるのだから、価値基準が金銭的ものだけになってしまい、共同体も宗教もイデオロギーもない国家に自由主義、弱肉強食社会を持ち込めば、人々は究極の選択をする。その選択が、極めて個人に属する問題だけに収斂するのも、これまた当然の帰結だろう。自分の給料で、家族を養うなんてぞっとする、と云う心理に追い込まれ、団塊世代である両親世代の資産を食いつぶせば生きていけると云う、自己中心世代になってしまっても、彼らの責任だとは言えない。
そういう中央集権な、没個性国家をつくってしまった、政治や行政の責任であり、そのツケを、彼らや、彼らの親たちに押しつける政策は、責任逃れだ。民営化と云う方向が強く打ち出されているのに、公共事業で大盤振る舞いをするのだから、政策の多くがアベコベなのだ。これ以上深入りは避けるが、なぜこのような国になったのか考えると、米国の属国でありながら、属国的振る舞いに徹し切れなかった為ともいえる。ここに、霞が関の奮闘の跡がみられるのだが、この奮戦が仇となっているとも言える。属国を続けるのであれば、最終的には韓国並の没国家になるしかない。年がら年じゅう「恨み節」を謳う国家が良いのか、日本人の矜持を選び、痩せても枯れてもの美意識に生きるか、こりゃ国民の考える事だ。筆者が、あれこれ薫陶を垂れても意味はない。少なくとも、グローバル自由主義と全体主義は調和しない。筆者の趣味からいえば、どちらも御免蒙りたい(笑)。
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