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2014-06-10 10:18:45
インターネット上にアップされた情報によると、「国際NGO『国境なき記者団』が発表した『世界の情報ヒーロー100人」に、日本人でただ一人、フリージャーナリストの寺沢有さんが選ばれた。これを受けて5月20日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見が開かれた」とあります。
寺沢さんは、25年間におよぶジャーナリスト活動で、主に警察、検察、裁判所などの腐敗、不祥事を暴く記事を書き続けてきました。
その寺沢さんは、外国特派員協会に招かれた会見の席で、日本の大手メディアについて、「「記者クラブ制度を通じて情報を提供してもらっているので、警察を批判できない」と指摘。記者クラブ優先の首相記者会見は「いちげんさんお断りの会員制バーのようなものだ」と、その閉鎖性を批判した」という内容がアップされました。
寺沢さんは、選ばれた理由について、日本の大手メディアが取材しない(できない)警察や検察などの腐敗について、縛られない立場から取材を続け、こうした司法・検察の腐敗を暴き続けたことが評価されたのだろうと、みずから分析。
日本の大手メディアは、当局側が費用を負担しいわば丸抱えの「記者クラブ制度」に頼っているので、当局を批判できない、と指摘しています。この指摘自身は以前からなされている長年の悪弊ですが、メディア側はよほどおいしいと見えて、お偉方が集まる日本新聞協会でも「廃止」の方向はついぞ出されません。
寺沢さんは、「記者クラブは国や自治体の『広報部門』といってよい」と、強調してきました。この長年の「記者クラブ批判活動」の実績が、選ばれた2番目の理由としています。
会見では、こう説明しました。「日本には記者クラブという新聞社や通信社、テレビ局で構成される組織があります。これは主要な国・地方公共団体の機関ごとに設置されており、たとえば国会記者会、司法記者クラブ、警察庁記者クラブ、東京都庁記者クラブなどがあります」
「記者クラブは、庁舎内に記者室という広大な執務室を与えられており、賃料や水道光熱費も支払っていません。ちなみに国会記者会は、国会議事堂の隣に、国会記者会館という名前のビルを丸ごと一棟与えられています。記者室には、記者クラブの世話をする公務員が常駐していますが、彼ら・彼女らの給料も税金で支払われています」
「つまり記者クラブは、国や地方公共団体の広報部門といっても過言ではないと思います」
「私のようなフリーランスは、記者クラブに加入することや記者室を利用することが認められていません。それ自体は構わないんですが、長年、国や地方公共団体は記者クラブに対してのみ記者会見を開いたり、資料を提供してきたりしてきました。フリーランスが記者会見に参加したい、資料を提供してほしいと要請しても、拒否されることがほとんどでした」
「近年、一部のフリーランスが記者会見に参加できるようになりましたが、これにも理不尽な条件がいくつも付けられており、それをクリアしなければなりません」
「たとえば、私は何度も首相の記者会見に参加したいと要請していますが、首相官邸は、内閣記者会(記者クラブ)の加盟社などの推薦状がなければ認めないと拒否しています。日本では首相の記者会見が、いちげんさんお断りの会員制バーのようになっています」
「付け加えますと、首相の記者会見に参加しているフリーランスが手を挙げても、司会者の内閣広報官が指名しないため、質問ができないという状態も続いています」
「また、警察庁はいまだにフリーランスが記者会見に参加することを拒否しています。理由はセキュリティ対策ということです。これに対して、私は2010年、警察庁の記者会見に出席させろという仮処分を東京地方裁判所に申請しました」
「すると警察庁は、フリーランスなどというものは暴力団組員やテロリストと同じである、そのような者は記者会見に参加させるわけにはいかない、という趣旨の主張をしました。そして東京地裁・東京高裁・最高裁までもが、その警察庁の主張を認めたのです」
「そもそも裁判所自体が、フリーランスに対しては極めて差別的です。たとえば、新聞記者には用意する裁判を傍聴するための記者席を用意しない、判決要旨などの資料を提供しないといった、あからさまな差別を行っています」
「これに対して私は過去2回、裁判を起こしています。しかし裁判所は、記者席を用意したり、資料を提供したりするのは裁判所の義務ではない、便宜供与であると言っています。そして、誰に対して便宜供与するかというのは裁判所の自由だ、と言っています」
「つまりこれは、役所に便宜供与してもらいたかったら、あなたも役所が便宜供与してあげてもいいな、と思わせるような報道をしなさい、という意味です。このように日本では、役所の広報部門になり下がることを良しとしないフリーランスに対する取材上の差別が続いています」
「今回の受賞をきっかけに、このような取材上の差別に対して、さらに戦っていかなければならないなと決意を新たにしたところです」
□秘密保護法に対して、「違憲差し止め訴訟」を提訴
「今回の受賞の3番目の理由ですが、それは、秘密保護法に対して違憲差し止めの訴訟を起こしたことが評価されたということです。昨年12月に秘密保護法というのが制定されまして、今年の12月に施行されると言われています。この法律は、役所がこれは秘密であると決めたものに関しては、我々ジャーナリスト、あるいは新聞記者も含めて、取材しようとすると、最高で懲役10年という重い罰が科せられる可能性があるという法律です」
「しかし取材する側からすると、何がその秘密に当たるのかということが全く分からず、通常の取材行為をしていて突然、警察なり検察から、あなたが取材しようとしているのは秘密だと、その秘密に近づこうとしたということで逮捕されるという危険性を秘めています」
「つまり、政府なり役所なりの発表したことだけを報道すれば大丈夫ですよと、そうしなさい、という法律なのです」
「もう一つ問題があって、この法律の中では、取材に対して配慮するというような一文があります」
「しかし、『取材に従事する者』という定義の中に我々フリーランスが入らないことは明らかです。つまり、さきほど記者クラブについて説明したように、記者会見にも出られず、資料も提供されないという人間は、秘密保護法が配慮しなさいと言っている『取材に従事する者』に該当しないだろうということは明らかです」
「仮にフリーランスが、新聞記者などと同様に、取材に従事する者と認められたとしても、正当な取材でなければ駄目だという一言が入っています」
「つまり、さきほども言ったように、『役所が発表したことを、役所が提供した資料で、記事にしなさい。それが正当な取材だ』と言っているのに等しいと、私は思います」
「このような法律が施行されてしまうと、日本に報道の自由・表現の自由というものがなくなるのは明らかです。とりわけ我々フリーランスは、秘密を暴こうと活動したということで、いつ捕まってもおかしくないという状況に置かれます。そこで、これは憲法違反であるから、施行を差し止める訴訟を起こす必要があるということで、合計43人のフリーランスが賛同してくれて、一緒に原告になりました」
□最高裁に不合理な姿勢を続けさせるわけにはいかない
「この裁判は、第一回目が6月25日に、東京地方裁判所で開かれます。この裁判の見通しを言いますと、日本では、この法律が憲法違反であるから差し止めろという訴訟は過去になかなかなくて、実際、認められてもいません」
「それは、日本の最高裁判所の姿勢がおかしくて、たとえば今回の場合、私が秘密保護法違反で逮捕されて『この法律は憲法違反ですよ』という主張をしたときに初めて、『憲法違反かどうかを判断してあげましょう』というのが、日本の最高裁判所の姿勢なんです」
「一般常識から考えると、実際に逮捕されてからでは遅いのではないかと思いますが、日本ではそういうことになっています」
「しかし日本では、そういう最高裁判所の姿勢に何の疑問も持たない人が司法試験を受けて、司法試験でもそういう答えを書かなければ合格しないという法曹のシステムになっています。そこで私のように『最高裁判所のほうがおかしいじゃないか』と思う人間は、法学部に入っても3日でやることがなくなって、今こうしてジャーナリストをやっているわけです」
「見通しが大変厳しい裁判ではあるんですけれども、最高裁判所にいつまでも理不尽な、不合理な姿勢を続けさせているわけにもいかないので、国民的に世論を盛り上げて、『憲法違反だから法律を差し止める』という判例を作れたらなと思います」
□記者との主な質疑応答
―いままで警察に対峙するような取材をしてきて、具体的に警察からハラスメントを受けたことはあるか。
寺澤:「大きなことで言えば、取材をしているときに警察官に取り囲まれて、暴行を加えられ、逮捕状もなく、警察署まで連れていかれて、取調室に入れられて、半日監禁されたということがあります。
あるいは、警視庁公安部公安総務課と言って、非合法活動をやるところがあるんですけれども、個々の警察官に、取材中ずっと尾行された、ということがあります。
今の二つに関して、私はどちらも警察を訴えて裁判をやりました。しかし二つとも、私のほうが負けています。
その理由は、まず前者については、目撃者もいて、『寺澤は警察車両に乗りたくないと抵抗していた』という目撃証言もあったのですが、警察官十数人が全員、『寺澤が進んで警察車両に乗り、自ら進んで警察署まで行った』と証言しました。裁判所はそれを採用して、『寺澤が進んで警察署へ行った』という判決を書きました。
2番目の尾行されたほうですが、こちらについて、警視庁公安部のほうは『オウム真理教の信者に会うということで寺澤を尾行していたけれども、その詳細は明かせないと』いう主張をしました。
しかし当時、私はオウム真理教事件に関しては全く取材をしていませんでした。そのとき取材していたのは、警視庁と暴力団との癒着でした。
警視庁公安部公安総務課に尾行されて、本来より一週間遅れたんですが、私はその警視庁と暴力団の癒着に関して週刊文春に記事を書きました。その結果、警察官2名が首になって、そのほか何名もの警察官や警察幹部が処分されました。
このように大きなものだけでも2つありますが、そのほか、現場で小突かれたりということは無数にあります」
―あなたが話したような司法機関や記者クラブの現状に対して、海外から圧力がかけられることはないのか。
寺澤:「以前までは日本も、海外からどう見られているかということを非常に気にしていたと思います。しかし、このところ安倍政権になってから際立っていますが、海外かどう見られようが日本は勝手にやるんだ、という孤立を深めるようなことをやっていると思います。
たとえば、ジャーナリズムの世界でも、海外のNGOが『日本の報道の自由は非常に悪化している』という発表をしているけれども、そんなものは一切気にしない、日本はこれでいいんだ、記者クラブバンザイ、という色彩をますます強めているのが、現状だと思います。
なので、海外から圧力をかけられたりすると、なおさらこの現状が悪化するのではないかと思います」
―今回、「自由報道の世界のヒーロー100人」に寺澤さんが選ばれたことを報じた大手メディアを知っているか。
寺澤:「私も全部の報道を見ているわけではないですが、少なくとも私自身は見ていませんし、知り合いからこういう報道があったよと聞いたこともありません。私自身がメインストリームのメディアから何かコメントを求められたということもありません」
―大手メディアに対してはどういうメッセージを送りたいか。
寺澤:「我々フリーランスと記者クラブにいる新聞・テレビの記者というのは、似ていますけれども、全く違う商売だと認識しています。
ですので、現在に至るまで私が言っているのは、記者クラブメディアは堂々と大本営発表を垂れ流し続けろ、ということです。それが、彼らの役目だと。つまり、ジャーナリズムがどうのだとか、報道の自由がどうのだとか、そういう余計なことはもう言わなくていいということです。
実際、報道の自由・表現の自由を侵害することが火を見るよりも明らかな秘密保護法の施行に対して、本気で反対しているのは我々フリーランスくらいで、新聞・テレビはほとんど報道しないか、あるいはアリバイ的にちょこちょこっと報道しているだけです。その程度になってしまっていて、『これは違憲だから絶対に施行させないようにしよう』ということでキャンペーンを張っている社なんか一つもないと思います」
以上、引用終わり
長く引用しましたが、日本の報道界のガンはこの「記者クラブ制度」にあります。記者クラブを通じて、権力側となあなあの関係が生じ、それが長い間にジャーナリズム魂を骨抜きにするのです。今回の寺沢さんの「受賞」は、大手メディアは、一言たりとも報道しませんでした。徹底的に無視したのです。自分たちの、おいしい根拠地をつぶすような話は、「なかったことにする」のです。
私たちは、こうしたメディア空間の中で、「何が起こっているのか、何が闇に隠されているのか」を、目を見開き、耳をそばだたせてキャッチし、少しでも真実に近づく努力が欠かせません。相当の努力を要しますが、続けるほかありませんよね。
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