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どんな神経をしていたら年金制度があと30年は持つなんて言えるのか?
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ogasawaraseiji/20140609-00036183/
2014年6月9日 11時14分 小笠原 誠治 | 経済コラムニスト
本日は、再び我が国の年金制度について考えてみたいと思います。
我が国の年金制度は100年安心なんて政治家が言っていたことがありますが‥まさかそんな言葉を信じる人はいないと思います。
ただ、その一方で、年金制度が数年後に破綻すると思っている人もいない筈。
では、率直に言ってあと何年程度は持つと考えていいのか?
50年?
それは長すぎるでしょう。では、10年? それでは酷すぎる?
では、30年?
実は、先日厚生労働省が公表した試算結果は、30年後の姿を示したものだったのです。経済成長率の高い順に8つのケースが示されていました。ご記憶にありますか?
そして、その8つのケースのうち5つのケースでは、目標とする代替率50%が維持できるであろうという見方が示されていたのです。
つまり、8つのケースのうち5つのケースでは取り敢えず30年後においても年金財政が維持できるという結果なのです。8つのうち5つですから、確率としては62.5%と言いたいのでしょうか?
政府がそんな偽装まがいの試算をするのであれば、はっきりと言いましょう。
これはインチキである、と。
そして、そうした政府の発表に何の疑問も呈することなくただ右から左に伝えるマスコミは、一体何を考えているのか、と。
何故、私はこの試算がインチキであるというのか?
それは、現実に起こり得ないとしか思えない事態を前提においているからなのです。少なくても、過去20年間の経済状況からは想像できないものなのです。
何が一番おかしいのか?
それは、前提としている運用利回りなのです。
年金財政を長持ちさせるためには、年金積立金の残高が減るペースを少しでも遅らせることができればいい、と。できるならば少しでも増やすことができればいい、と。
退職した人ならすぐに分かることなのです。
退職金を取り崩して暮らしていく生活を考えてみて下さい。仮に昔のように定期預金の金利が3%とか4%でもあるというのであれば、何となく明るい未来が予想されるのです。仮に5千万円の預金残高があったとして、それが4%の金利を生むならば200万円になる訳です。もし、1年間の生活費を200万円で抑えることができれば、預金残高が減ることはありません。しかし、これが、例えば最近のように0.3%程度しかなかったら金利収入は1年間で15万円にしかならないのです。これでは、毎年元本が減っていくのは避けられません。
私の言いたいことがお分かりでしょうか?
そうなのです、政府は、年金積立金の運用利回りに関して、現実離れした予想をしているということなのです。
一体、どれくらいの利回りを想定しているのか?
少しだけ考えてみて下さい!
10年物国債の利回りが、最近では0.6%程度だから‥その倍の1.2%程度?
いえいえ、そんな生易しい水準ではないのです。
な、な、なんと8つのうちの一番高いケースは、5.4%を想定しているのです。以下、5.1%、4.8%、4.5%、4.2%、4.0%、3.1%、2.3%となるのです。
いいでしょうか? 代替率50%を維持できるというケースは、運用利回りが4.2%以上の場合なのです。
今時、4.2%の金利をどうしたら予想できるというのでしょうか?
厚生労働省の審議会の委員には著名な学者が名を連ねていますが、貴方がたには良心はあるのかと問いたい。
最も悲観的なケースでさえ2.3%の運用利回りを想定しているのです。しかし、例えば10年物国債に投資して得られる金利は、今や1%を上回ることさえなかなか厳しい。
もちろん、株式投資の比重を増やせば、株価が順調に上がった場合には運用利回りを大きく引き上げることも可能ではあるのですが‥しかし、株価は大きく下げる場合もあるのです。
はっきりと言って、悲観的なケースでさえ超楽観的な前提条件を置いているとしか言えません。
それに、もう1つ大事なことを言っておきましょう。
仮に、幸運が重なったとして、政府が想定したように高い運用利回りが実現したと仮定します。では、そうなったときに全ては巧く行くのか?
もし、そのようなことが起きれば確かに年金財政が破綻する時期は遠のくでしょうが‥しかし今度は政府の借金の利払い負担が急増し‥そうなると利払いのために借金をする必要に迫られ、財政そのものがパンクしてしまう恐れがあるのです。
ということで、どう考えてもこのままでは年金財政は持たないし‥仮に奇跡が起きて金利が上がったとしても、今度は利払い負担が急増して財政そのものが破綻してしまう恐れがあるのです。
政府、マスコミ、学者、皆分かっていて、どうして黙っているのでしょう?
それとも、見て見ぬふりをするしかないと思っているのでしょうか?
以上
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