05. 2014年6月04日 16:55:08
: nJF6kGWndY
>公的年金 確保には経済成長が不可欠もちろん、現状では期待できないけどね http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/archives/51585374.html 2014年06月04日 政府の年金見通しの「最も悲観的なケース」に用いられたあり得ない前提条件 厚生労働省が100年間に渡る公的年金財政の見通しを公表しましたが、ご存知でしょうか。 とは言っても、このような政府の見通しをそのまま受け止める人は少ないかもしれません。 何故か? だって、そんなの真に受けられるか、と。 まあ、そう言いたい気持ちも分かります。つい先日も、年金の支給開始年齢を75歳に引き上げるなんてことが言われただけに‥どう考えても今の制度が持つはずがない、と。 でも、それはそれとして‥ 政府の見通しはどのようになっているのでしょうか? NHKは次のように報じています。 「経済が順調に成長すれば、政府が約束している現役世代の平均収入の50%以上の給付水準をかろうじて維持できるものの、経済が成長しない場合は、最悪で35%程度まで落ち込むこともありうるとしています」 現役世代の平均収入に対する年金支給額の割合を所得代替率というのですが、その所得代替率は、経済が順調に成長すれば50%を維持できるのだ、と。 それが本当であれば、もう少しは年金制度も持続可能ということなのでしょうか? 但し、経済がマイナス成長になれば、最悪で35%程度しか年金は支給されない、とも言っています。 どう思います? でも、まだ35%でも支給できるのであれば、有難いと考えるべきなのでしょうか。 表をご覧下さい。 (データ元:厚生労働省) ケースAからケースHまでの8つのシナリオが想定されており、そのうちのケースHは、実質経済成長率がマイナス0.4%であり、その場合の所得代替率が35%〜37%になることが示されています。 では、ケースEまでの実質経済成長率が0.4%以上を確保できる場合には、このまま年金制度が維持されると考えていいのでしょうか? 私は、よくもこのようないい加減な見通しを政府が発表できたものだと思います。 実質経済成長率に関し、最高1.4%から最低マイナス0.4%を想定したと言うことについては特に異存はありません。それから、物価上昇率に関しては、過去の実績からすれば相当高めのケースを想定しているようですが、これについても取り敢えず異議は申しません。 しか〜し‥実質賃金上昇率を見て下さい。 最高で2.3%、そして、最低でも0.7%も実質賃金が伸びるなんて、超あま〜いケースを想定しているのです。 念のために言っておきますが、これらは実質賃金上昇率なのです。だから通常の賃金上昇率、つまり名目賃金上昇率は、それにインフレ率を加味することになるので、最高で4.3%、そして最低でも1.3%と信じられないほど高いのです。 よ〜く考えてみて下さい。今年のベアは、名目で1%に遠く及びません。その一方で、物価は最近3%以上も上がっている、と。消費税増税の効果を除いても物価は1%以上も上がっているので、実質賃金上昇率はマイナスでしかないのです。 そのような現実がありながら、何をどう考えたら今後賃金のアップ率が物価上昇率を上回るなんてことが考えられるのでしょうか? バカも休み休み言え、と。 おかしいのはそれだけではありません。 年金基金の実質運用利回りが最高で3.4%、最低でも1.7%と想定されているのです。繰り返しになりますが、これも実質利回りであり、名目利回りでは、最高で5.7%、そして最低でも2.4%となるのです。 いいでしょうか? 単純に考えて、運用利回りが2.4%になるということは、10年物国債の利回りが現状の0.6%程度から一気に1.8ポイントほど上昇することを意味すると考えていいでしょう。 おかしいと思いませんか? だって、異次元の緩和策を採用している日銀であり、また、そのような超緩和策を強要している安倍政権であるからです。そんなに金利が上がることを認めるのか、と。そうやって実質金利が上がれば、景気の腰を折ってしまうことが明らかではないか、と。 多分、このように実質運用利回りが高くなるような状況は、安倍政権が続く限り容認することはないでしょう。そのような事態になるということは、実質金利が急騰して企業の投資活動の阻害要因になってしまうからなのです。 では、何故このようなあり得ないシナリオを想定せざるを得なかったのか? それは、そのように運用利回りを高くしないと、年金財政を維持することができないからです。正直に予想される可能性の高い前提を置いたとすれば、遠からず年金財政が破綻することが明らかになってしまうので、そのような最も可能性の高いシナリオは排除せざるを得なかっただけなのです。 アベノミクスのリフレ政策は、簡単に言えば、お金を借りる側、つまり企業側にとって優しい政策と言えるでしょう。しかし、お金を借りる側にとって優しいということは、お金を貸す側、つまりお金を運用する年金基金にとっては大変厳しい政策でしかないのです。 年金基金にとって厳しいような金融政策を前提としたシナリオを示す訳にはいかないでしょう? 要するに、この年金財政の見通しは、良いとこ取りの両立不可能なあり得ない前提の下での見通しに過ぎないのです。一言で言えば、この見通しにおける最も悲観的なケースであっても、普通で考えたらとても考えられない超楽観的な前提の下でのシナリオだ、と。 このような理屈に合わない見通しを発表して、これで国民が納得するとでも思っているのでしょうか。 認めたくはなくても真実の姿を国民に知らせることこそが政治家の務めだと思うのですが、如何でしょうか。 |