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シンガポール安保会議の正しい評価
http://bylines.news.yahoo.co.jp/amakinaoto/20140602-00035921/
2014年6月2日 5時0分 天木 直人 | 外交評論家
せいぜい国防大臣クラスが出席するシンガポールでの安全保障会議。
しかもシンクタンク(英国戦略研究所)が毎年開催する単なる演説会、討論会にすぎない国際フォーラムに、なぜわざわざ安倍首相は、拉致再調査報告を慌てて済ませてまで、日本の首相として初めて参加し、演説しに行ったのか。
なぜ安倍首相は、シンガポール会議をそれほどまでに重視したのか。
その答えは、ずばり、中国の脅威を訴えて、アジアでの対中包囲網を作ろうとしたからだ。
そしてそのために、事前に米国の応援を取りつける周到な準備を取り巻きにさせて、成功気分だ。
御用評論家や御用メディアは、必死でそう持ち上げている(東京新聞だけは不発に終わったと書いたが)。
確かに、中国の最近の軍事的拡張ぶりに頭に来ている米国は、そんな日本に協力して恩を売った。
中国を批判し、日本の集団的自衛権行使容認を米国としても歓迎するというスピーチをバイデン国防長官が行い、安倍首相を喜ばせた。
確かに米国の中国に対する態度はひところより厳しくなった。
ここが私と寺島実郎の違いであるが、米国と中国は、日本はずしで一致しているわけではない。
日本は世界でもっとも米国に従順な属国だ。
主権も金も基地も沖縄も、なんでもくれる。
そんな日本を手放すことはない。
たとえ、あの安倍でもだ。
だから日本の言うことを聞く。
米国の利益を決定的に損なわない限り。
中国の出方次第では、日本をそそのかせて、中国を牽制することも、これからは中国の出方次第ではあるだろう。
中国もそれを警戒して米国に気を許していない。
場合によっては本気で米国批判をし、敵対行動するかもしれない。
しかし、ここからがポイントだ。
米国も中国も、当分はそのような利害関係を外交戦で乗り切り、決して軍事行動にさせないと決めている。
これは両国の合意ではなく、それぞれが自分たちのために決めた暗黙の了解なのである。
ちなみにオバマは5月28日のウエストポイント陸軍士官学校の演説で、軍事より外交だと言っている。
それぞれが、それぞれの戦略として、そうしているのだ。
そして、それが外交戦略である以上、政権によって異なるし、国内内部でも軍事を優先する者たちと外交を優先する者たちにとの綱引きがある。
そのような不透明な要素と危険性をふくみつつ、やはり米中は、当面は軍事衝突を避けることになる。
さて、ここからが私の本当に言いたい事だ。
どっちに転んでも、安倍首相の日本は梯子を外されることで終わる。
もし米中が軍事的対立を封じ、経済的利益の共有か、政治的利益の共有(たとえばテロとの戦い、サイバー攻撃の相互停止など)で手を組むと、日本は所詮わき役でしかない。
その逆に、万が一にも米中が極東の海で戦うようなことになったら、そして安倍首相として、それを内心望み、だから集団的自衛権行使容認は必要だったと証明したいと愚かにも内心、考えているのだろうとしたら、その場合は、まさしく米国は日中の戦争に巻き込まれたくないと宣言し、だから言っただろう、これが米国のアジア安全保障政策の分担計画(オフショアバランシング)だといって、日本だけに中国と戦わせるだろう。
どっちに転んでも、バカな目をせられて、損するのは日本だ。
その一方で、中国は今度の安倍首相のあからさまな対日包囲網に激怒し、11月の北京APECや来年の対日勝利70周年記念に向けて倍返しの報復をしてくるだろう。
いや、それはもう昨年12月の安倍首相の靖国参拝で習近平は決めており、周到な準備を着々と進めている。
11月の北京での中国のTPP参加という究極のサプライズ、いや、安倍つぶしにでるかもしれない。
オバマが協力してくれるなら、どんな譲歩をしようとも。
それが外交だ。
安倍首相がこだわったシンガポールへの外遊と演説は、いつもは観光やジョークですませられたが、今度ばかりは国益を揺るがしかねない大失敗となる。
誰がこんなバカなシナリオを書いたのだろうか。(了)
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