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2014/05/30 集団的自衛権行使に孫崎氏が警告「死者191人、負傷者2000人のマドリッド列車爆破事件が日本でも起き得る」
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/143695
5/31 18:30 IWJ Independent Web Journal
「安倍総理は、『内閣総理である私は、いかなる事態にあっても国民の命を守る責任がある。憲法が国民の命を守る責任を放棄しろと言っているとは思えない』と言っているが、まったく逆だ。マドリッド列車爆破事件で何人が死んだ」
元外務省国際情報局長で、新たに立ち上がった「国民安保法制懇」のメンバーでもある孫崎享氏が5月30日、東京世田谷の市民団体の勉強会に講師として招かれ、「安倍政権と集団的自衛権」というテーマで講演した。孫崎氏は、集団的自衛権の行使が国民を危険に晒すと論じ、安倍政権の主張する行使容認論の欺瞞を指摘した。
記事目次
・「グレーゾーン」という大嘘
・オバマは日本で何を語ったのか
・邦人を米輸送艦が運ぶという疑問だらけの想定
・秒速2キロのノドンを撃ち落とす?
・報復の対象国で国民の安全?
・自腹で米国の傭兵部隊への志願
・場所 世田谷区民会館(東京都世田谷区)
・主催 生かそう憲法!今こそ9条を!世田谷の会 (告知)http://blogs.yahoo.co.jp/kenpo_setagaya
■「グレーゾーン」という大嘘
安倍政権は集団的自衛権の行使を可能にする解釈改憲の閣議決定に向け、現在、公明党との与党協議を重ねている。
その中で政府は、集団的自衛権の行使や、新たな法整備をしなければ実行できないと考える15の事例を提示。15事例のうちの一つ、尖閣諸島などに武装集団が上陸した場合などの「離島における不法行為への対処」については、現時点で「グレーゾーン」であるとして、対処法や法整備を検討しようとしている。
これについて孫崎氏は、「集団的自衛権の議論の中で、一番の嘘らしきものがこの『グレーゾーン』の項目。日本の国土の安全とは全く関係ない」と断言。その根拠に「日米安保条約」の第5条を挙げた。
日米安保条約の第5条は、「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動する」と規定している。
孫崎氏は、「日本の国土に誰かが攻撃してきたら、自国への攻撃と見做して憲法上の規定、手続きで対処しろ、と書いてある。尖閣諸島は日米安保の範囲内で、『集団的自衛権どうこう』の問題ではない。それを安倍政権はあたかも法整備が整っておらず、集団的自衛権でやらなければならない、としている」と反論した。
■オバマは日本で何を語ったのか
孫崎氏は尖閣諸島の安全保障環境について言及を続けた。
今年4月、来日した米国のオバマ大統領は、「尖閣諸島は日米安保5条の適用対象だ」と明言し、共同声明にもその旨が明記された。これを自民党側は「満額回答」と歓喜し、大手メディアも大成功だとして、大々的に報じた。「しかし、他にも3つ、オバマ大統領は尖閣諸島について喋っていた」と孫崎氏は指摘する。
「一つは『領有権問題について、米国はどちらの立場にも立たない』ということ。そして安倍総理にもっとも強調したのは、『平和的解決をして、非難合戦は小さくしろ』ということ。だから本来、報道の見出しは『安倍総理に平和解決を強調』でなければいけない」
さらに孫崎氏は、「最後に、米国記者の『安保適用とは、尖閣有事の際はすぐに米軍が出るということか?』という質問に、オバマ大統領は『レッドラインはない』と答えた。つまり、『ここを超えたら米軍が出る、というのは尖閣にはない』と言ったということ」と解説。現にオバマ大統領は、米国記者の質問に「私たちはただ単に条約を適用している」と続けている。
日米安保5条には、「自国憲法に従って行動」とある。米国憲法では、「交戦権」の決定は議会にある。よって、議会が承認しない戦争はできない。尖閣有事の場合も、議会が承認すれば米軍は出動するというだけで、日米安保が、米軍の自動的な出動を定めているわけではない。孫崎氏はそう説明した。
軍事ジャーナリストの田岡俊次氏は、岩上安身によるインタビューの中で、オバマ大統領の安保適用発言に関連して、「米国は二枚舌を使っている」との見解を示し、「米国にとって、親中であることは親米であり、反中であることは反米だ。安倍総理は、反中だから米国から釘を刺されているのではないか」と分析している。
■関連記事
・2014/04/25 日米首脳会談、大手メディアの偏向と米国の本音〜岩上安身による軍事ジャーナリスト・田岡俊次氏インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/136391
■邦人を米輸送艦が運ぶという疑問だらけの想定
「紛争地帯から在留邦人を避難させる『米輸送艦』を、集団的自衛権を行使して防護すべきではないか」――。
安倍総理が会見で用いたロジックである。与党協議の15事例にも含まれている。150万人の日本人が海外で生活していて、年間1800万人の日本人が海外に出かける。もし、渡航先で紛争が勃発した場合、そこから米輸送艦で避難してくる日本人の生命を守る必要がある、との主張である。
これについて孫崎氏は、「私はソ連に5年、イラン・イラク戦争下にあるイラクに3年。1999年には、イラン大使としてテヘランにいた。任地は厳しかった」と述べ、自身の実体験を踏まえた上で安倍総理の主張に反論した。
「邦人保護については、その間、一生懸命考えた。どのルートを通って、どう避難するか。しかし、どの場合も米軍がくるなんてシナリオは、ありはしない」とし、安倍総理のロジックが非現実的なものであると批判した。
■秒速2キロのノドンを撃ち落とす?
孫崎氏は、他にも与党会議で挙げられた15事例を細かに分析した。15事例の中には紛争地でのPKO、それに伴う武器使用の必要性なども提示されている。孫崎氏はこれにも懐疑的だ。
「本来は、戦争が終わったあとの方が、支援が必要だ。イラクやアフガンなど、なぜ戦争が終わったらやめるのか。あらゆるPKOは戦闘行為の一貫で、本当に人道的にやりたければ、戦争終わった後にやればいい。そうすれば受入国も評価する」
同じく15事例で挙げられている「国際的な機雷掃海活動への参加」については、「ペルシャ湾でホルムズ海峡が封鎖されれば大変なことになるが、もし、戦闘中に機雷の除去に行けば、戦争行為の一環とみなされ、攻撃されるだろう。平和時とは違うんだ」と主張。「日本上空を横切る米国向けのミサイル迎撃」などについては、次のように分析した。
「ミサイル防衛など機能しない。北朝鮮のノドンが日本に落ちてくるスピードはどれくらいか。秒速2キロだ。そんなものを撃ち落とせるわけない。野球の時速150キロのボールが秒速で言えば45mくらいで、サッカーのペナルティキックのボールも同じくらい。キーパーはボールを見ずに飛んでいるんだから、ミサイル防衛などありえない世界だ」
ミサイル防衛について、孫崎氏と同じ「国民安保法制懇」のメンバーであり、元内閣官房副長官補である柳澤協二氏は、「そもそも米国には抑止力が備わっているし、そうでなくても、グアムやハワイへミサイルが飛んで行く前に在日米軍基地が攻撃され、日本国内は『有事』になっている」と指摘している。そうなれば、グアムを守るどころではない。安倍総理の前提は、非現実的である。
■関連記事
・2014/02/28 元内閣官房副長官補・柳澤協二氏「安倍総理が集団的自衛権の行使をしたいのは、単に『やりたいから』」
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/127098
■報復の対象国で国民の安全?
さらに孫崎氏は、「安部総理は、『内閣総理である私はいかなる事態にあっても国民の命を守る責任がある。憲法が国民の命を守る責任を放棄しろと言っているとは思えない』と言っているが、まったく逆だ」と反論する。
「2004年3月11日、マドリッドで列車爆破事件があって191人が死んで、2000人が負傷した。スペインのイラク戦争参加に対し、アルカイダが報復したのだ。日本もそうなるかもしれない。安倍総理は150万人の海外滞在者、年間1800万人の渡航者を守るというが、むしろこの人たちもターゲットになるだけだ」
国民の命と暮らしを守るため、どうしても集団的自衛権の行使が必要だ、という安倍総理らの主張は、対米追従のための牽強付会に過ぎないと批判せざるを得ない。現場のリアリティを知る元外交官の目には、現実味に欠けた安倍総理のロジックや15事例が、ひどく空虚に映っていたようだ。
■自腹で米国の傭兵部隊への志願
孫崎氏がここまで指摘してきたように、日本には現在、集団的自衛権の行使を必要とする合理的な理由が見当たらない。にもかかわらず、なぜ、解釈改憲などという手段を用い、日本を民主主義の危機に追い込んでまで、集団的自衛権の行使容認を実現したいのか。孫崎氏は、「米国の傭兵になるため」だと分析する。(IWJ・原佑介)
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