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アラビア湾入り口の軍事的要所・ホルムズ海峡
今国会中の「憲法解釈変更」へアクセル踏み直した安倍首相の答弁に矛盾あり
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39420
2014年05月31日(土) 歳川 隆雄「ニュースの深層」 現代ビジネス
「それではこの規定がなければ政府は憲法の規定に従わなくてもいいのかといいますと、そうではありません。従いましてこの規定がないとしても、政府は憲法の規定に従って当然実施するのであります。
従ってこの規定があるからというだけのことではありません。なくても同じことであります。憲法の規定から見ましても、海外派兵ということはありえないということは、たびたび明らかにいたしておる通りです」――。
■自衛隊発足時の外相答弁は「国内限定」
はるかに昔、1954年(昭和29年)3月29日の衆院外務委員会の議事録からの抜粋である。先ず、こちらの規定は、同年3月8日に調印された日米相互防衛援助協定(MSA)のことを指している。そしてこの大臣答弁を行ったのは、第5次吉田茂内閣の岡崎勝男外相である。当時の野党・社会党(右派)の河野密衆院議員の質問に答えたものだ。
1954年初頭から各野党や新聞はMSA締結で同年7月1日に発足する自衛隊が米国の要請に応じて海外派兵させられるのではないかと懸念・批判し、国会審議は、ちょうど現在の集団的自衛権行使容認問題のように、侃々諤々の論戦が行われていた。
タイムスリップをもう少し続ける。岡崎外相はさらにその後の答弁で次のように語っている。
「この部隊(注:自衛隊)は、かりに今度の協定によって援助を(米国から)受けるにいたしても、また(外国からの)直接侵略に対抗する任務を与えられることになりましても、海外に部隊を出すということはないのであります。日本の国内における自衛権の発動ということに厳に限定いたしております」
この外相答弁は60年も前のことであり、その後、日本を取り巻く安全保障環境は大きく変わったにしても、実に興味深い内容である。当時の吉田政権は、「集団的自衛権」の行使を憲法の観点から認めていなかったのだ。
当然と言えば当然のことである。歴代の自民党政権はその基本政策を堅持、集団的自衛権を「保有するが、行使できない」ものとしてきた。
しかし、その吉田首相は、『読売新聞』(5月16日付朝刊)の永原伸政治部長が書いたように、1946年の憲法制定議会で憲法9条について「自衛権の発動としての戦争を放棄した」と明言したが、その後の朝鮮戦争勃発(50年)によって「主権国家が自衛権を持つのは当然」と主張を変え、さらに警察予備隊、保安隊を経て自衛隊を発足させた。
そして先述のMSAを締結したのだ。それでも、岡崎外相は当時、繰り返し自衛隊の海外派兵はあり得ないと答弁していたのである。
■安倍首相の「機雷除去」答弁には矛盾がある
さて、安倍晋三首相は5月15日の記者会見で集団的自衛権行使容認のための憲法解釈見直しに強い意向を示した。
それでも、憲法解釈変更に慎重な公明党への配慮から「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の報告書について、「必要最小限度の武力行使は許容されるという従来の政府の立場を踏まえたものだ」としながらも、同報告書にある多国籍軍への直接参加については「自衛隊が武力行使を目的として湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加することは決してない」とした。
安倍首相はこれまでアクセルを踏み続けたが、いったんブレーキ・ペダルに足を移し減速したかに見えた。ところが、28日の衆院予算委員会での安全保障政策集中審議で再びアクセルに足を乗せ、エンジンを吹かしたのには驚いた。
安倍首相は民主党の岡田克也元副総理との激しい応酬の中で、集団的自衛権の行使が認められた場合、自衛隊を中東・ペルシャ湾のホルムズ海峡へ敷設された機雷撤去のために派遣することを想定していると答弁したのだ。
首相答弁では、明らかにイランを念頭に置き、国連安保理事会から求められれば敷設された機雷の掃海活動に参加するのは当然だとしながらも、武力行使を目的とした戦闘には参加しないとも言い、矛盾したものであった。
なぜならば、機雷敷設は武力攻撃の一環であり、それを除去することは敷設した国への武力行使と見なされるからだ。然るに「限定容認論」もまた小手先をかわすための理屈と言わざるを得ない。
■外務省旧条約局マフィア
言いだしっぺの高村正彦自民党副総裁に「知恵」をつけたのは、外務省の石井正文国際法局長とされる。安倍首相のブレーン、谷内正太郎国家安全保障局長に連なる外務省旧条約局マフィアの一員である。
それにしても、安倍首相の突然の“変心”はどこから来たものなのか。一度決めたはずの憲法解釈変更の閣議決定先送りを思い直して、やはり今国会中(6月22日が会期末)に強行しようということなのだろうか。
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