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安倍首相、積極的な外交政策について語る=WSJ会見
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304357604579586531485184574?mod=WSJJP_hpp_RIGHTTopStoriesThird
2014 年 5 月 27 日 06:39 JST WSJ
【東京】安倍晋三首相(59)は23日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューに応じ、積極的な外交政策について語った。中国との領有権争いが続くベトナムには海上警備支援を加速する一方、西側諸国との孤立が深まるロシアのプーチン大統領については今秋の来日を実現したいと述べた。
安倍首相は、ベトナムも領有権を主張する海域で中国による「一方的な掘削活動」が行われており、「それによる緊張の高まり」を深く憂慮していると述べ、「力による現状変更は許してはならない」と語った。首相はここ1年、中国の武力誇示に対して自ら周辺地域のバランスを取るべく、東南アジア諸国の指導者に連携強化を呼びかけている。
周辺地域のパワーバランス再編という自らの戦略の一環として、首相はロシアとの外交交渉継続への意欲も示した。ロシアによるウクライナのクリミア併合を非難し、日本は欧米諸国と連携して制裁措置を取っていると述べた。しかし、プーチン大統領とは、どの政府首脳よりも多い5回の会談を通して対話を深めており、それを今後も維持する意向を明確にした。
首相は「プーチン大統領の訪日については、今年の秋に実施することで大統領と一致している」とし、第二次世界大戦後から続く長きにわたる平和条約交渉について「交渉を加速化させていくことでプーチン大統領とも合意した」と述べた。その狙いは、北方領土の返還実現やロシアのエネルギー供給のさらなる活用、中国封じ込めを推進する上での新たなパートナーの獲得にある。
一方のプーチン大統領は24日、外国メディアに対して、日本の対ロ制裁に驚いていると述べ、日本は交渉する用意があるのかと疑問を呈した。
安倍首相インタビューの翌日、東シナ海の尖閣諸島(中国名:釣魚島)周辺空域をめぐって日中が再び緊迫化した。中国とロシア海軍による合同軍事演習を監視していた自衛隊機に24日、中国軍の戦闘機が2度、異常接近したのだ。いずれも衝突には至らなかったが、両国政府は互いに抗議を申し入れた。日本政府は中国の行動は「威圧を意図したもの」だったとし、一方、中国は日本が「危険な行為をし、国際法に著しく違反した」と述べた。
この出来事は安倍政権の主要課題を浮き彫りにしている。すなわち、日本の周辺地域は危険が増しており、日本はより強硬な外交政策を打ち出す以外に選択肢はないというものだ。日本は長年、受け身の外交と米国の下位同盟国というイメージが定着している。首相は2012年12月の政権就任以来、そうした日本のイメージを変えようと試みている。
その一環として、首相は30日、シンガポールで開かれるアジア安全保障会議(シャングリラ対話)で日本の首相として初めて基調演説を行う。また、6日に行われた北大西洋条約機構(NATO)本部での演説では、欧州の軍部首脳に対し、アジアでの中国の領有権争いをウクライナに対するロシアの行動と同種の問題として考えるよう促した。
安倍首相は、タカ派で国家主義的だと一部で批判されており、そうした傾向を警戒する有権者に自身の真意を理解してもらうのに時折苦労している。
5月15日、自衛隊に課されている厳しい制限の緩和につながる憲法解釈変更案を進める計画を発表したが、これによって今までで最も激しい議論が巻き起こっている。安倍首相の目標は、アジアの秩序を保つ上で、日本を米国のより対等なパートナーにすることだ。米国防総省が予算削減に直面する一方で中国が国防費を増やしており、米国は日本に立ち位置の変化を促している。
首相はインタビューで、「国民には理解しにくい課題であり、強い反対があることは認めざるを得ない」と述べた。
日本では無力で短命の首相が相次いだが、安倍政権は珍しく安定しており、首相の人気も高い。安倍首相が総裁を務める与党・自由民主党は衆院選と参院選で圧倒的勝利を収め、両院で大多数の議席を獲得した。だが首相の権力と人気は、長期にわたる景気低迷からの脱却を目指す経済政策「アベノミクス」によるところが大きい。
集団的自衛権の行使容認によってアジアで日本が米軍を支援する能力をどのように高めるかという質問に対しては、首相は連立を組む穏健派の公明党に不安を抱かせることなく、米政府を満足させるようなメッセージを作り上げるのに苦慮している様子だった。首相は「今、具体的に答えるのは困難だ」としたうえで、「(日米という)同盟国の力を合わせてそれが(アジア各地の脅威に対する)抑止力になっている。その考え方のもとに日本近海で発生するさまざまな出来事にどう対応していくか、という観点からも議論を進めていくことになると思う」と語った。
すでに安倍首相は日本の役割強化に動いている。南シナ海で起きている中国との領有権紛争では、フィリピンとベトナムを支持する公式声明をたびたび発表。尖閣諸島をめぐって中国と対立する日本の立場との類似点を示唆してきた。
これに対し中国は反発。外務省の洪磊・報道官は23日、「日本は自国の隠れた政治的目的を追求するために南シナ海紛争に干渉している」とし、「日本側はすべての挑発的な言動をやめるべきだ」と述べた。
日本は、中国と対立するフィリピンとベトナムに対し、規模は大きくないものの象徴的な意味が大きい支援を行ってきた。昨年12月、フィリピン沿岸警備隊に巡視船10隻を供与。同様の援助についてベトナムとも協議することを表明している。
安倍首相は22日にベトナムのブー・ドク・ダム副首相と会談した際、ダム副首相から「巡視船の供与についてぜひ早急にお願いしたい」と言われたという。安倍氏はインタビューで、検討を加速させたいと語った。
ベトナムと中国間の対立は最近、艦船同士の衝突や放水銃の発射など物理的な争いになっている。日本製の巡視船が現場海域に展開することを想定しているかどうかは明らかにしなかったが、「地域の安定・平和に資するという考え方の下にこの船を供与したいと思っている。しかし、これから造るということなので、すぐ出せるわけではない」と述べた。
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