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2014年05月27日
ウクライナ大統領選が混乱の中実施され、親米派の富豪ポロシェンコが勝利したことになった。欧米各国は、予定の成り行きに安堵し、一斉に歓迎の意を表している。当然、金魚の糞・日本の政府も同様に歓迎の意を表した。しかし、ウクライナの新大統領が、ウクライナを充分に治めきるには、一番重要な隣国ロシアとの関係が改善しない限り、単なる仲間内の学芸会に過ぎないと云う事実を、マスメディアは明確に伝えるべきである。
ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ大統領選挙前に「結果を尊重する」と述べていたが、この発言に関し、ロシアのメディアはプーチンは「我々は、これが(ねつ造される大統領選)何らかの現代のスタンダードに合致していない事を理解しているが『仕方がない、もうあのようにやらせておけ』と黙って見ているのだ」と述べている。プーチンの「ロシアはウクライナ国民の選択を尊重するだろう」という発言だけ、西側メディアは大きく報じているが事実は違う。
当然、暫定政権を「ネオナチ集団」と理解しているプーチンにとしては、暫定政権のヤッエニュク首相の退任がみられない事から、ウクラナ・ポロシェンコ新政権は「ネオナチ集団」の勢力内にあると判断、選挙の承認を留保した。また、ポロシェンコ新大統領は、ティモシェンコ候補のように、あからさまにNATO加盟を叫ばないが、南部クリミア半島のロシア編入に猛反発している態度を変えない限り、暫定政権時代と変わらない混乱が続くものと思われる。
東部ドネツクのドネツク空港を巡り、ウクライナ軍と独立を主張する親ロシア勢力が激しい戦闘を繰り広げている。ポロシェンコは親ロシア勢力が独立を宣言した東部での対テロ軍事作戦を強化する方針を表明「効果的かつ短期的に行わねばならない」と宣戦布告した。暫定政権時代からのヤツェニュク首相を続投させた。そのヤツェニュク首相はアメリカお得意の「対テロ作戦」はなんでもOKの手法で、東部ウクライナで展開する親ロシア勢力せん滅作戦に出ている模様。これに対し、ロシアのラブロフはウクライナ新政権による軍事作戦継続は「重大な過ちとなる」と激しく警告している。ロシアの出番が接近してきた臭いも漂う。
そんな状況下で、以下のアンドレイ・イワノフのコラムを読んでいるうちに、或る疑問が筆者の脳裏をかすめた。それは、最近の日本のナショナリズム喚起の材料は「尖閣諸島」「対中」にかなり限定されているのだが、「尖閣の岩礁」と「北方領土」のどちらの方が日本にとって重要なのだろう、と云う疑問だ。「竹島」に、筆者は興味がない。爆撃してしまえば粉々になるような岩礁なのだから。わが国論陣の中で、「尖閣領土問題」と「北方領土問題」のどちらが重要なのか、と云う比較論的論争が繰り広げられた記憶はない。ありきたりのナショナリストは、馬鹿者、どちらも大切だと答えにならない恫喝を繰り出すだろうが、それは無知蒙昧の争いであり、論じる相手ではないと云うことだ。先ずは、イワノフのコラムを読んでもらおう。
≪ 日本にとってのウクライナという「罠」
先日、菅官房長官は「日本は、ウクライナの新政府が政治的及び経済的改革を実施するのを援助する用意がある」と述べたが、もし日本政府が、ワシントンに追随して、キエフ当局を無条件で支援するなら、日本は、ロシアとの関係を複雑化させるリスクを負うことになる。
ウクライナの選挙の合法性を認める決定を日本が下すのは、公式結果が発表され有権者へ報告がなされた後の事だろうが、菅官房長官は、ウクライナの新政権 は、民主主義的手法によって選出されたと、すでに認めた。恐らく日本政府が、選挙は成立し公正なものだと認める事は、ほとんど疑いない。なぜなら米政府が 「チョコレート王」ペトロ・ポロシェンコ氏を勝利者と見なし、すでに事実上そうしているからだ。
一連の野党候補者が脅迫や暴力によって選挙戦から排除された事について、ワシントンでは、目を向けない事がよしとされた。ウクライナ南部・東部での選挙キャンペーン中、戦闘 行動が続けられた事に、目をつぶったの同様にだ。しかし先に、キエフ当局からの独立に自主的に賛成した南部・東部の人々は、今回の大統領選挙を単に無視したのだった。
プーチン大統領は、サンクトペテルブルグ国際経済ファーラムで演説に立った際、ウクライナでの選挙をコメントし「我々は、これが何らかの現代のスタンダードに合致していない事を理解しているが『仕方がない、もうあのようにやらせておけ』と黙って見ているのだ」と述べた。
一連の欧米のマスコミは、この発言に目を伏せ「ロシアはウクライナ国民の選択を尊重するだろう」という発言の方を大々的に報道している。
発言を、ロシア大統領が立場を後退させ「より深刻な制裁を避け、欧州との関係を修正するために、あるいは東ウクライナでの暴力行為がコントロールできないものとなったり、国境を越えてロシア領内に飛び火するのではないかとの懸念から危機に終止符を打ちたがっている」証拠として急いで取り上げたのだ。
しかしロシアが、ウクライナで今後生じるであろう全てを、甘んじて受け入れるだろうというのは、幻想である。残念ながら、そうした幻想は西側の専門家やジャーナリストの頭の中だけでなく、選挙で勝利宣言をしたポロシェンコ氏のもとにもある。彼はすでに「自分はクリミアのロシア再統合を認めない(ウクライナ南部・東部の住民が望んでいるような連邦制では決してなく)中央集権的な一つのウクライナを築く」と言明した。ポロシェンコ氏が、南部・東部住民の意見を考慮に入れることは、恐らくないだろう。東ウクライナ・ドネツク、ルガンスク両州の意向に反し、彼は、EUとの統合路線を続ける考えだ。
また、今回の大統領選挙で敗北したユリヤ・ティモシェンコ元首相も、ウクライナは一日も早くNATOに加盟すべきだと述べている。ウクライナのアンドレイ・デシッツァ外相は、読売新聞のインタビューに答えた中で「ロシアがウクライナのEU加盟を妨害しないよう、我々は米国やEU,そして日本に対し、ロシアへの制裁を続けるよう求める」と述べた。
こうした事すべては、キエフ当局の非建設的立場が変わっていない事、彼らにはロシアとも又自国の南部・東部住民とも対話する用意の無い事を意味している。
プーチン大統領は、ペテルブルグ国際経済フォーラムで、欧米による制裁を「全く実りのない逆効果」なもので「国際法や相互利益に合致しない国際関係の進展をロシアに押し付けようと無理強いする」ものだと呼んだ。
しかし制裁は、それを支持している国々の利益にも合致していない。例えば日本だ。日本は制裁を支持しているが所謂「北方領土問題」を解決したいと欲している。プーチン大統領は、十分な透明さを持って、この奇妙な状況について次のようにコメントした―「我々は最近、驚きを持って、日本が何らかの制裁に加わったと耳にした。おまけによく分からない事に、日本は、領土問題に関する交渉プロセスを一時中止にはしないという。我々はと言えば、交渉の用意はあるが、日本に用意があるのかどうか、今のところ私には、あまり確信が持てない。」
プーチン大統領は、ロシアを孤立させようとする欧米の試みを、無意味なものだと捉えている。つい先日行われた上海でのプーチン・習近平会談後、ロシアと中国の関係は、新しいレベルへと上がった。それを考えれば、ロシアを孤立させるなどという問題は、実際上「はかない幻想」に過ぎない。
≫(ロシアの声:アンドレイ・イワノフ)
「尖閣諸島領土問題」と云うのは、1968年の海底調査の結果、東シナ海の大陸棚に石油資源が埋蔵されていると指摘されことで、一時注目を浴びた。しかし、「北方領土問題」に比べれば、一般的には、北方4島に比べれば小さな領土問題であった。中国が勝手に海底油田基地を作った、その油田が日本領海内の油まで吸い取ってしまう程度の話だった。尖閣を中心とする海の漁業問題で争いは絶えなかったが、ここまで領土問題のテーマとして主役に躍り出てくりとは考えにくい地域であり、近時、国益を意味する「核心的利益」だと中国が言わざるを得ない状に至った経緯を思い出しておく必要があるだろう。
中国にとっては、太平洋進出の核となる海域であり、輸出入の海上ルートとして、軍事作戦遂行のルートとしても、国益上要所だと捉えたのだが、そのように叫ばした布石がある筈である。「尖閣領土の帰属は明確にすべき」が持論だった、当時東京都知事であった石原慎太郎が、突如アメリカのネオコン財団ヘリテージで「都の尖閣買い上げ論」をぶった辺りから異様な盛り上がりになった。ナショナリズムの喚起である。折角、「領有権棚上げ論」で占有していた尖閣諸島領土問題に火をつけた。この石原の火付けに便乗し、油を注いだのが、日本史上最悪の総理と言われる「野田佳彦」である。あろうことか「尖閣の国有化宣言」をしてしまったのである。
ウクライナ問題における米国の関与は赤裸々なものでEUの腰抜けは当てにならない、もっと単純な暴力を勢力の直接的パワーの方が役立つと云う認識の下に実行された状況が半ば公然となっている。なぜかオバマの陣営と共和党の一部人間の共同作戦である。民主党、共和党の別なく国家の利益のために。ウクライナをNATO化させる必要があったのだろう。大統領選で、オバマを上回る支持を確保していたマケイン共和党候補は敗れたが、敗北宣言の中で、非常に強い心で勝者オバマへの支持をマケイン支持者にも同調を求めた。
この大きな友情の表現は、マケインの人間の大きさの宣伝には十分だったが、本音がどの辺にあるのかは、充分な解釈がなされた試しはない。ただ、今回のウクライナ問題の火付け役「ネオナチ軍団」をコントロールする器量を発揮した行動が随所に見られる。このマケインの軍事顧問がロバート・ケーガンであることも事実で、そのロバート・ケーガンの妻、ビクトリア・ヌーランドがオバマ政権の国務次官補(欧州・ユーラシア担当)であり、ウクライナのNATO化に積極的役割を演じたのも東側陣営は百も承知だ。
ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ前大統領の追い落としクーデター、暫定政権樹立、ネオナチの監視下、政治を行わせる赤裸々な動きを披露した。ヤヌコーヴィチ追い落とし後は、ブレナン中央情報局(CIA)長官が「ネオナチ軍団」、ヤッエニュク首相に戦略の大筋を理解させる役割を演じたようだ。このCIA長官のウクライナ訪問は隠密裏に行われるべきものだったが、ウクライナの秘密諜報部の多くがロシア育ちで、ロシア諜報部に筒抜け、隠密行動には自ずと限界があった。ウクライナ問題にズッポリ頭から関与していると明示したのが、バイデン米副大統領のウクライナ訪問である。これだけの介在を、半ば公然と繰り広げておきがら、ウクライナ人の自発的選択を重んじるなど、強盗に説教されているようなものである。
尚、バイデン副大統領の息子はヤヌコーヴィチが掌握していたウクライナ最大の民営天然ガス生産会社、ブリスマ・ホールディングス社の取締役会メンバー兼法律顧問に就くと云う火事場泥棒も演じている。ウクラナ問題が、アメリカの介在なく混乱が起きるわけはなかっただけに、ウクライナ騒乱を煽り立てたのが、誰あろう米国政府である事実は隠しようがない。
「尖閣諸島領土問題」のクローズアップ、その固有の領土証明競争のようなものから、実質的小競合いが起こるべき状況を用意したのも、アメリカ様である。一部日本の官僚組織も動き、石原のヘリテージ演説から、野田の国有化に至るプロセスにアメリカの介在があったことは、今回のウクライナへの介在を見ても、あったと考えるべきだ。対中包囲が目的なのか、日中の融和が米国の国益に影響するのか、その答えは現時点で今一つ明確ではない。ただ、尖閣に血道を上げる結果、尖閣の何倍もの有効活用が可能な「北方領土問題」が領土問題の二の次にされたのは、わが国の国益に大きな支障を及ぼした。
この状況で、日ロが「尖閣領土問題」で前向きな緊急接近のリスクも米国は避けることが出来たと思っているだろう。この米国の腐っても鯛でいたい覇権国の穢い死にざまは、後世に名を残すに違いない。しかし、日中にしろ、日ロにしろ、このような赤裸々な介入手段した取り合えなくなった米国と云う国が、覇権力を自然発生的に持ちえた時代の終焉を知らせている。現安倍政権が、このように世界パワーがゲームをしている中で、どの目にチップを重ねるか、安倍晋三の命運が掛かっているのだろう。それにしても、筆者は、尖閣の岩礁の価値と北方4島の価値を同一化させる気には到底なれない。尖閣の岩礁の先には夢がない。北方領土には夢がある。
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