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公的年金の受取開始年齢について、個人の希望と言いながらも「75歳」にまで踏み込んで発言した田村厚労相
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140525/dms1405250830001-n1.htm
2014.05.25 大前研一のニュース時評
田村憲久厚生労働相はNHKの番組で、公的年金の受取開始年齢について、受給者本人の判断で75歳まで延ばせるよう検討したい、という考えを明らかにした。
現在、国民年金の受給開始年齢は原則65歳。厚生年金は60歳から65歳まで段階的に引き上げている最中。本人の希望で60歳に早めたり、70歳まで遅らせられる。時期を前倒しすると受給額は減り、逆に後にずらすと額は増える。
そこで、まずは仕事を続けられる金持ちを対象に、さらに受取開始時期を遅らせてもらおうということなのだろう。
ただ、「個人の希望」ということになっているが、「75歳」という数字が出てきたのは初めて。だんだん寿命に近くなってくるようだ。近い将来、「年金支給開始は、あなたが死んでからです」というブラックジョークのようなことにもなりかねない。そのくらい、すごい発言だ。しかし、ほとんど無視されている。
たとえばフランスでは、1歳でも2歳でも年金受給開始年齢を延ばすと、「われわれのリタイアする権利を奪うのか」と、すごいデモが起こる。フランスの場合、受給開始は60歳だったのが、段階的に2017年までに62歳に引き上げるということになっただけで大変な騒ぎになった。
一方、ドイツは65歳と1カ月が開始年齢で、段階的に引き上げる。イギリスは男が65歳で女は61歳。女性が長生きをする日本でこのルールを持ち込むと、大変なことになるだろう。
オーストラリアも男は65歳、女が64歳だが、段階的に67歳まで引き上げ、約20年かけて70歳までにするという。毎年、数カ月ずつ延ばしていき、年金が逃げ水のようになって、いくら追いかけてもどんどん離れていき、そのうち寿命が尽きてしまう…ということなのだろうか。
どこの国も、年金の状況と国家財政から考えると、年金の支給額を減らして開始年齢も遅らせるしかない。特に少子高齢化が進行中の日本は、計算しなくても大変なことになることはすぐわかる。しかし、現役世代に辛くなるような話はしないので、借金の返済は次の世代に繰り越すことになる。
年金受給の議論では、国民の怒りで政府の1つや2つが倒れる国もあるのに、日本の場合は全然盛り上がらない。だから今後、日本では受給開始年齢を一律に引き上げることも考えられる。確かなことは支給額が減り、支給開始年齢が繰り下げられる、ということだ。そうしなければ国家財政が破綻するからだ。
今回のような「個人の希望」ではなく、一律75歳ということだってあり得る。その場合は定年も60歳から70歳へと延ばす作業を一緒にやるべきだろう。
ただ、学者に年金の試算をさせると、前提が間違っていることが多い。かつて埼玉の大学の某教授が担当していた頃は、人口は4%ずつ増加して、給料もやっぱり年率4%ずつ増加するというあり得ない前提で制度を設計していた。そういう調子のいい御用学者に計算させるというのが、これまでの厚労省だった。
厚労相自身がこういう正直な発言をするというのは、厚労省も少し変わってきたのかなという感じではある。
■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。
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