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内閣人事局を巡る大手マスコミの「ポチ」ぶり
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39303
2014年05月25日(日) ドクターZ 週刊現代 :現代ビジネス
5月30日、内閣人事局がいよいよ発足する。
マスコミから出てくる声は、政治家による公務員人事に対する過度な介入への懸念ばかりだが、これは明らかに人事をされる現役官僚側の「懸念」だろう。上司である政治家に思うような人事をさせないで、自分たちだけで人事をやろうとする魂胆がミエミエ。サラリーマンであればわかるだろうが、上司ではなく、自分で勝手に人事ができればうれしいに決まっている。
内閣人事局の設置根拠となっている公務員制度改革法案は、昨年閣議決定された。そのとき、公務員制度改革に取り組んできた改革派の元官僚たちの「懸念」は、政治家の人事介入ではなく、別のところにあった。
彼らの「懸念」の中で、特に大きかったのは次の三つ。一つ目は「人事院の焼け太り」、二つ目は「幹部公務員の身分保障が過保護すぎること」、そして最後に「天下り禁止の骨抜き」である。
まず、人事院の焼け太りについて見てみよう。
本来であれば内閣人事局は、人事院、総務省などに分散された人事関連の機能を統合し、内閣主導の幹部人事を支えることのできる体制を作ることを目指していた。しかし、今回は人事院の機能を温存したまま内閣人事局も作ることとなっており、実際、人事院は「お取り潰し」にあわず、焼け太りになっている。過去の改革プランでは焼け太りは許さなかったのに、今回は大甘だといえる。
次に、幹部公務員の過保護は今まで通りだ。
現行の公務員制度では、次官・局長などの幹部公務員も係員レベルの職員と同じ身分保障の対象であり、よほどのことがない限り免職も降格もされない。その結果、民間人や若手を幹部に起用しようとしても、幹部ポストにある職員の身分保障に阻まれ、結局、年功序列型の順送り人事によるしかない・・・・・・というのが実態だ。過去の改革プランではこれを改めることになっていたが、ここでも大甘な結果となっている。
最後に、天下り禁止も抜け穴だらけ。
民主党に政権交代した時、現役出向という天下りの「抜け穴」が作り出されたが、今回それを改めるどころか、逆に抜け穴の拡大が行われている。
公務員人事の実質的な最高責任者は官房長官。今の菅義偉官房長官は公務員人事にかなり厳しいので、以上のような制度の欠陥もあまり目立たない。しかし、官僚に甘めの官房長官になったとき、官僚天国になるだろう。
つまり、政治家の人事介入を許さず、官僚の官僚による官僚のための人事になる。その上、人事院などの役所組織は温存されているので、官僚が自由に活動できる場が確保されている。また、幹部公務員の身分保障もあるので、政治家もおいそれと手出しができなくなり、官僚が守られる聖域になる。これだけでも現役官僚には居心地がいいだろう。しかも、天下りも抜け穴が多くなって、退職後も官僚天国を満喫できるというわけだ。
官僚は、菅官房長官がいる間はひっそりと息を潜めてあまり派手なことはしないだろう。しかし、時間をかけて、徐々にその本領を発揮し、安倍政権が代わったら、したい放題振る舞うはずだ。
これが、今回の内閣人事局を「利用」して、その結果起こってしまう「最悪のシナリオ」だ。政治家による過剰な人事介入なんていう記事を書いている記者は、官僚の「ポチ」である。現役と退職後の官僚天国を悟られないための偽装戦術に過ぎない。
『週刊現代』2014年5月31日号より
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