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集団的自衛権と政治の劣化
http://m-hyodo.com/political-situation-98/
2014年05月24日 兵頭正俊 兵頭に訊こう
公明党の井上幹事長が、5月20日に名古屋市で講演した。
「先の衆議院選挙で民意を受けて連立政権ができた。その民意に応えることがいちばん重要であり、連立離脱や衆議院の解散はまったく次元が違う話だ」、「先延ばしは考えていないが、慎重な議論が必要だ」。
つまり、集団的自衛権で連立政権から離脱することはないと語ったのである。
最初に政権離脱がないと公明党の幹事長が語ったうえに、先延ばしもしないというのだから、もはや集団的自衛権に関する自・公の協議は、単なるパフォーマンスである。
これで集団的自衛権は決まり、戦争への道をわが国はひた走り、いずれ原発と戦争で経済的に破綻し、国民が酷税に、のたうち回る国になる。
もっともこの事案だけで公明党を見るのも間違っている。公明党が自民党と連立を組んだ期間のうち、1997年から2012年の15年間に、日本は実にひどい国になっている。(一部に民主党政権時代を含む)
1 まず労働者の平均年収は446万円から377万円と、85%に減っている。
2 逆に大企業の内部留保は142兆円から272兆円と、2倍近くに激増している。
3 さらに非正規雇用者数は1261万人から2043万人へと、1.6倍も激増している。雇用に占める割合は、今や38.2%が非正規雇用者である。
これで福祉の政党を揚言しても仕方がなかろう。
ネット上には、識者を中心に公明党批判が強いが、集団的自衛権賛成によって、公明党に対する認識は、日本維新の会などと同じものになるだろう。
ところで小沢一郎が生活の党の定例記者会見(5月12日)で、集団的自衛権について本質的なことを語っている。こういう話を聞くと、やはりこの国の政治家のなかでは、小沢一郎が頭ひとつ抜き出た存在であることがよくわかる。
小沢一郎が語ったことのポイントは以下の13点である。
1 「集団的自衛権」といってみたり、「集団自衛権」といったり、メディアも用語からして混乱している。
2 米国とだけ共同歩調で、日本と直接関係のない海外でも武力の行使をできるとするのか、米国以外の国とでも共同して国際紛争の解決にあたるというのか、明確になっていない。
3 集団的自衛権の解釈は、法制局でさえいい加減だし、メディアもはっきりわかっていないので、国民は正確に理解していない。
国連とは、まったく別に、どこかの国と一緒に国際紛争を解決するため海外に軍を派遣できるという話になってしまうのだが、そこを国民も法制局もメディアもわかっていない。
だから、なんとなく「いいんじゃないの」という雰囲気があるのではないか。
4 集団的自衛権とは、簡単にいえば、米国と一緒にアフガン、あるいは、イラクに行くということだ。
5 限定的とは戦争をどういうふうに限定できるのか。戦争はどんな形でどういうふうに起きるのかわからない。今のロシアとウクライナも戦争といえば戦争だ。それで、米国が行くのなら日本も行くのか。
国連の決定ではなくて、米国もしくはNATOの決定に従って日本も行くという、理屈上はそうなる。
6 地球の裏側までは行かないといっても、どこまでが裏なのか。わかってなくていっている。地球の裏は、真下に掘ればブラジルかアルゼンチンか。それならウクライナもアフガンも、すぐ日本の側ではないか。
7 軍を動かすのは、政治の最終の手段である。政治の最終の手段を、いい加減なことで決定してはいけない。戦前の昭和史の悲劇もそれで起きた。
8 国連で決定をして参加することは、わたし(小沢一郎)は大いに積極的に考えるべきだと思っている。しかし、政府の集団的自衛権は、国連ではなくて米国その他の一国が、武力を使ってやるといったら、それに同調することになる。
9 戦争は、どこまでなどと限定できないし、どうやって起きるのかもわからないものだ。しかし、集団的自衛権で認めて、簡単にいうと日米安保、あるいはその他協定でもいいが、同盟国と共同歩調をとるという理屈になる。
10 米国は、そうでなくたって日本に戦争に参加しろといっている。アフガンもイラクもそうだった。
11 米国はブッシュ・ジュニアが、アフガンは米国の戦争だと、とやかく他の国にいわれる筋合いはないと戦争を始めた。集団的自衛権をやってしまうと、それに協力するという話になってしまう。
12 戦争を地理的に制限することは事実上不可能だし、戦争の形態でもって限定することも不可能だし、あらかじめ戦争について、これが日本の自衛権の発動として妥当かどうかということを文章で決めておくことも不可能である。
13 わたし(小沢一郎 注 : 兵頭)は、集団的自衛権を否定してはいない。ただ、日本とまるきり関係のないところに行って、紛争解決のために自衛権の発動、軍を派遣することは、憲法9条がある以上できない、やるのであれば9条を改正しなければいけない、もしやりたいのであれば、といってきた。
小沢一郎が定例の記者会見で、集団的自衛権について語ったことのポイントは、以上であるが、そのなかで、とりわけ「12」の考え方が大切である。
戦争ほど、時間の推移とともに政治家や官僚の考えと乖離していくものはない。いや、軍人の考えとも乖離してゆく。いったい、太平洋戦争の初めに、政治家や官僚・軍人の誰が、この戦争で330万の同胞の命をなくし、広島・長崎に原爆を落とされて敗戦を迎えることを予想しただろう?
ひとりもいなかったのである。
戦争を必要最小限度に限定して始めることなどはできない。戦争には相手がいるからである。しかも尖閣で日・中の偶発的な軍事衝突が起きた場合も、米国・北朝鮮・韓国・台湾・ロシア・ベトナム・フィリピンといった諸国の複雑な利害と介入を招き寄せる。
スノーデンによれば、NSA(米国国家安全保障局)の国家的格付けは、イギリス、カナダ、オーストラリアなどは「A層」とし、日本は、それに準ずる「B層」であり、盗聴と監視対象国であった。
おそらく米国に貢いでいる金は「A層」の国とは比較にならないほど多いだろうが、いくら貢いでも、わが国の国家としての格付けは「 B層」なのである。その「 B層」を見る目は軍事にも適用されている。
戦略・予算分析センター会長のアンドリュー・F・クレピネビッチは「緊縮財政時代の米国防戦略 ― 日本の安全保障とA2・AD戦略」のなかで、次のように書いている。
ちなみに「A2・AD戦略」とは、接近阻止・領域拒否(Anti-Access/Area Denial)のことで、2009年に、アメリカ国防長官官房が議会に提出した年次報告書「中華人民共和国の軍事力・2009」において提唱された、中国人民解放軍の軍事戦略の名称である。
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