http://www.asyura2.com/14/senkyo165/msg/792.html
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※ まず、上の表は、意図的なゴマカシと思われるが、誤解を招くものである。
「妻の年収」という項目で65万円という数値が出てくるのはおかしい。「65万円以下」というのは、年収103万円−基礎控除38万円=65万円(給与所得控除と同額なので所得税非課税)を意味していると思われるからである。一方、141万円という数値は、「配偶者特別控除」が適用されるアッパーリミットの年収と思われる。年収と課税所得額をごちゃまぜに使っているおかしな表である。
さらに、「65万円超141万円未満」のところだけ「負担増」になっているが、配偶者控除がなくなるのだから、「65万円以下」も「負担増」である。
(年収65万円であれば、基礎控除がなくても、給与所得控除だけで課税所得はゼロになるから、「夫婦2人の控除額」が「現行」76万円という説明自体が間違いで、38万円が正しい。扶養配偶者の年収が65万円未満だからといって、扶養主の基礎控除は増額されない)
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記事を読む限り、現状の所得税制度についての説明方法が違うだけで、「配偶者控除」及び「配偶者特別控除」を廃止するという他、何を見直そうとしているのかわからない奇妙なアイデアである。
「夫婦それぞれが基礎控除(38万円)を持ち、働く妻の年収にかかわらず控除額は合算され、一律76万円になる仕組みだ。「家族控除」とも呼ばれる」、「家族控除は、配偶者控除などをなくす一方で、夫婦それぞれの基礎控除(38万円)を合算できるようにする仕組みだ。妻の収入にかかわらず、夫婦の控除額は76万円。「年収103万円の壁」を意識せずに働ける」と説明されているが、所得税については個人ごとに最低でも65万円の給与所得控除と38万円の基礎控除があり、現状でも、年収レベルで変わる給与所得控除は別として、夫婦が揃って働いていれば合算すると78万円の基礎控除がある。
だから、この見直し案は、何を言いたいのかさっぱりわからない。
現状では、38万円ずつ合計76万円の基礎控除に加え「配偶者控除」(ないし「配偶者特別控除」)があることを考えると、この見直し案を端的に言えば、「配偶者控除」及び「配偶者特別控除」を廃止する所得税増税策である。
このような目くらましのようなわけのわからない見直し案を出してきた背景には、「自民党は2013年参院選で配偶者控除の維持を公約した」ことがあるのだろう。
その一方で、家族控除という微妙な概念や「妻の収入にかかわらず、夫婦の控除額は76万円」という表現があるので、ひょっとしたら、いわゆる専業主婦世帯にのみ、実質として配偶者控除と言える控除が残るかもしれない。
(記事に、「配偶者控除は、最低生活費分を課税対象から外す考え方だ。妻が103万円以下で働く場合、本人は基礎控除(38万円)と給与所得控除(最低保障65万円)の両方が適用され、課税額がゼロになる。妻の年収が103万円の世帯は控除額が最も大きくなる」とあるが、配偶者控除がなくなれば、103万円の世帯の控除額が最も大きいわけではなく、給与所得控除の額が控除額の大きさを決することになる)
1)専業主婦(夫)世帯は増税
夫婦一方の年収がゼロでも家族控除という名の基礎控除が適用される可能性はあるが、「働く妻(夫)の年収にかかわらず」とあるから、夫婦のいずれかしか所得がない世帯は、配偶者控除がなくなることで世帯の最終可処分所得が減少する。端的に言えば増税である。
それに伴って落ちる生活水準(預貯金を含め)をカバーしようと思ったら、夫婦共稼ぎにならざるを得ないので、“女性(男性)の社会進出促す”ことにはなるかもしれない。
2)世帯の一方が103万円以下年収レベルの世帯も増税
夫婦共稼ぎで少ないほうの年収が103万円までは、扶養主の所得に「配偶者控除」が適用されるから、「配偶者控除」38万円×所得税税率の分だけ最終可処分所得が減少する増税となる。
それに伴って落ちる生活水準を維持しようと思ったら、扶養対象だった一方が労働時間を増加させなければならないが、社会保険の適用問題(「130万円の壁」:参照投稿を参照)もあるので、130万円で抑える傾向は強まる。
2)世帯の一方が103万円から141万円の年収レベルの世帯も増税
夫婦共稼ぎで少ないほうの年収が103万円超141万円未満も、扶養主の所得に「配偶者特別控除」が適用されるから、「配偶者特別控除」※扶養対象の年収に応じ段階的に減少×所得税税率の分だけ最終可処分所得が減少する増税となる。
この世帯も生活水準を維持しようと思ったら扶養対象だったひとが労働時間を増加させなければならないが、社会保険の適用問題(「130万円の壁」:参照投稿を参照)があるので、それほどの期待はできない。
報じられている見直し案について結論を言えば、「女性(男性)の社会進出促す」ようなインセンティブはなく、たんなる増税策をゴマカシで持ち込もうというものである。
「家族控除」という制度が奇妙な方向に進むと、専業主婦世帯のみが現行と同じ優遇を受け続けるという倒錯した制度になるかもしれない。
※ 参照投稿
「自民 配偶者控除の見直しなど提言へ:見えてこない具体的な見直し案:世帯単位での課税最低所得基準が必要」
http://www.asyura2.com/14/senkyo165/msg/733.html
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所得控除、夫婦一体で
妻の年収問わず一律76万円 女性の社会進出促す 政府検討「103万円の壁」解消
配偶者控除の見直し問題で妻の収入がいくらになっても夫婦全体の控除額が変わらない新制度を作る案が、政府内に浮上してきた。夫婦それぞれが基礎控除(38万円)を持ち、働く妻の年収にかかわらず控除額は合算され、一律76万円になる仕組みだ。「家族控除」とも呼ばれる。年末の税制改正大綱決定に向けて議論になる。
配偶者控除の見直しは、安倍晋三首相が成長戦略で女性の社会進出を促す視点から指示した。首相の諮問機関である政府税制調査会の基礎問題小委員会は23日、論点整理で「夫婦2人で受けられる控除の合計額が同額となるような控除の仕組みを検討」と提起した。
配偶者控除は、最低生活費分を課税対象から外す考え方だ。妻が103万円以下で働く場合、本人は基礎控除(38万円)と給与所得控除(最低保障65万円)の両方が適用され、課税額がゼロになる。
妻の年収が103万円の世帯は控除額が最も大きくなる。上回ると控除額が減ることから103万円を年収の上限にして、働く時間を調整する主婦も少なくない。「103万円の壁」と呼ばれ、女性の社会進出の阻害要因ともみなされてきた。
政府税調が論点とした家族控除は、配偶者控除などをなくす一方で、夫婦それぞれの基礎控除(38万円)を合算できるようにする仕組みだ。妻の収入にかかわらず、夫婦の控除額は76万円。「年収103万円の壁」を意識せずに働ける。
ただ、妻の年収が給与所得控除の最低保障額である65万円を超え、141万円までの世帯では負担が増える。家族控除を提唱する中央大学法科大学院の森信茂樹教授は「激変緩和措置として、配偶者控除の廃止による増収分を子育て対策の予算などに使えば、反発は少ない」とみる。
配偶者控除見直しでは、課税単位を現在の個人から世帯に変える「世帯課税」案もある。世帯の総所得を家族の人数などで割って税額を計算するものだ。だが、政府税調の23日の論点整理では個人単位の課税を維持する考え方を示した。
控除対象の主婦の年収基準を103万円から下げる案も考えられるが、自民党は2013年参院選で配偶者控除の維持を公約した。党政務調査会には家族控除などに前向きな意見があるが、それも一筋縄ではいかない。
政府が6月にまとめる新成長戦略では、配偶者控除の見直しには触れる程度の見通し。年末の税制改正大綱決定に向けて政府・与党内で詰める。
[日経新聞5月24日朝刊P.5]
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